襲撃2
校庭中央で緑の鬼と対峙する翔、アキトの武器の破壊は精霊の死を思い出し金棒の一撃を受ければ自身も刀もただでは済まない状況に緊張で攻めれずにいた。
「怯えているのか?そっちから来ぬならば!」
焰鬼のサポートを受けながら金棒の間合いを見極めて当たらない距離を維持する。
「ほう、存外冷静だな、猪武者かと思ったが…」
(体格と武器のリーチ、駄目だ打ち込めない)
翔が想定する攻め手がどれも有効にならないと悟り隙を見極めるように睨み合う。
その時だった、鬼の横っ面を八坂が飛び込み拳で殴り抜ける。
「隙だらけだから一撃入れさせて貰ったぞ」
「使えぬ雑魚共が…余興が台無しだ!」
「っけ、タフガイ過ぎるだろ」
ピンピンしている敵に呆れながらも八坂は拳を構え直す。
「浜松!賞金は山分けだ、手伝え」
「ああ、チャンス到来かもしれないな…!」
緑の顔が赤く染まっていく。
「小僧の分際で!」
手前の八坂を狙い凪払うように金棒を振る。それを見切った八坂がひょいとジャンプして避ける。
翔も空振りになるのを読み前に飛び出し焰鬼の炎の乗った斬撃と焰鬼の右フックを脇腹に打ち込む。
姿勢を崩した所を八坂の拳の連打とトドメの回し蹴りが打ち込まれノックダウンする。
「魔石にならねぇ…まだ足りねえか」
八坂が少しずつ近付く中で焰鬼が警告する。
「…狸寝入りか、油断するな!」
鬼は倒れた姿勢から腰のバネだけで跳ね起き金棒をまた凪払う。
「…っち!」
八坂が防御姿勢をするが当たれば危険と判断して翔は氷雨を使い氷の壁で八坂共々守ろうとする。
目論見通り氷壁により減衰した金棒は八坂を捉えるも軽く吹き飛ばしはしたものの深傷にはならなかった。
「小賢しい…まだ搦め手があったか!」
「すまん、助かった」
(なんとか防げたが氷への警戒も作ってしまったな…)
翔が作戦を練り直そうかと思案したが生徒の避難先の体育館の方から大きな音がしてそれどころではないと気付く。
「体育館!?じっくりやれなくなった…氷雨も出し惜しみ無しか」
出番が少ないのを不満顔で翔に伝えながら氷雨も出現させる。
「先程の氷…貴様か、美しいな」
「仕留める!」
氷柱を射ちながら鬼の周囲を走る。
鬼は金棒で打ち落としながら翔の動きに合わせ体を動かす。
翔は急に向きを変え鬼に向かって走る。
「焦ったか!ソコだ!」
鬼が勝利を確信した瞬間いっそう分厚い氷の壁を作る。
それを鬱陶しそうに凪払い破壊するが翔の姿が見当たらず思考が停止する。
「どこだ!?」
翔は空中から文字通り敵を一刀両断する。
鬼は大きな魔石となって地面に転がる。
「八坂!俺は体育館へ向かう後は頼むぞ!」
脇腹を押さえながら八坂は親指を立てて翔に合図した。