開戦1
森のフィールドに移された黒鴉達は父の不在に困惑していたが地図と手紙が現れ憤慨する。
「ちょっと管理者だからって戦闘に参加できないってどういう事よ!顔文字古いしウザいし!」
おっさん構文の手紙をビリビリに破きながら黒鴉が叫ぶがそれをよそに久坂と遠藤が地図を見て分析する。
「僕の能力を最大に引き出すならこのフィールドは最高なんだがどう思う?」
「確かに、森はここしか無い…ならば動かない方がいいかもな」
黒鴉が割って入り地図を睨む。
「植物操作なら他でもいけるでしょ?うーん、遠距離いないし遮蔽物多いところ…」
「黒鴉様?市街地ありますが…」
「馬鹿ね、何があるか分からないのにいきなりそんなとこでバトるのは知能足りないわ」
遠くで翔がくしゃみする。
「どうせお父様の事だから罠あるに決まってるわ、周囲を探索して防衛陣地を形成するとしましょう」
黒鴉の話に全員が頷きじっくりと周囲の散策を行うことにする。
そこから少し離れた山との間を流れる小川に神鳴チーム三人が現れる。
「思っていた以上にリアルな世界だな」
八坂が落ちてきた地図を拾い上げる。
「どないする?移動するか?」
「人数少ないからまずはどこかの牙城をゆっくり削って仲間に引き入れない?」
神鳴が提案すると八坂が渋い顔をする。
「待て待て、交渉材料がなくないか?」
「シバいて言うこと聞かせるつもりか?」
神鳴は二人の意見を聞いて地図を指差す。
「面白そうなの何か無いの?」
「…至って普通な地図だ」
玉藻前が地図を奪って狐火で炙る。
「こういうんはな秘密が…あ!」
ボッと地図に火が付き慌てて投げ捨てる。
「馬鹿野郎!川があるだろうが!」
地図は燃えながら草むらに落ちゆっくりと燃え広がっていく。
「…嘘だろ生木なのに燃え広がってるぞ!」
「アカン…ゲームやからそういう設計されとらんのや!」
呆然とする二人を神鳴が怒鳴る。
「それより地図なくなっちゃったじゃない!」
「と、取り敢えず森から離れるんや!」
三人は急ぎその場から退散し山を登り始める。
山の反対側、砂漠エリア、金森達が地図を持って山へ向かっていた。
「周囲を見渡す為に高いところを目指す、基本だよね」
遠距離武器の弓と銃の使い勝手もよくなると判断しての行動だったが暑さにやられかけていた。
「み、水…」
ロゼットが渇きに早速やられそうになっている。
「頑張りましょう、山の反対側には川があります」
「本当は生水は危険なんだけど…」
葉山の励ましに金森が注意を付け加える。
「デモ、他ノ生物見当タリマセンネー」
ミハエルの言葉に四人は周囲を見渡す。
「砂漠よ?まぁ見付からないわよ…場所取りは速さ勝負よ」
ロゼットが呆れ先を急かす。
「そうだね高所は戦略的に大事だ!急ごう」
「高所…水不足…あれ?何か嫌な予感が…」
盛り上がる金森達の後ろで葉山を悪い予感が襲うのだった。