宝物6
世界の再編する権利を求め互いに言い争いを行っていた。
そんな中でダンが大きな欠伸をして起きてくる。
「おはようであーる…なんかまたたくさん居るであるなー」
呑気なダンに感化され全員脱力する。
「取り敢えず今日は下がるとする、結論は後日聞こう、黒鴉帰るぞ?」
「え?私お父様側なの?」
「馬鹿、公私混同するな。仕事があるだろうが、神華お前もだ」
竜司が腕を組んで二人を呼びつける。
「神楽、そしてプロトタイプいや神鳴だったか?しっかり考えてくれ?戦わなくても済む選択があればだが」
「アタシの意見は!?」
神華は蚊帳の外にされ憤慨するが竜司は大笑いして娘を諭すように頭を撫でる。
「お前は偶々生き残っただけだろ?大人しく結末を待て」
二人を先にリビングから追い出し黒姫を見る。
「お前も覚悟を決めるんだ、最悪の結末を避けたければ誰につくか…」
「私は…」
黒姫が俯いたのを見て竜司は去っていく。
敵が居なくなり翔をはじめ神鳴と神楽が崩れるようにテーブルに顎をのせる。
「父が生きていて最後に立ちはだかるなんて…最悪よ…しかも愛で狂って他の世界全否定…」
面倒臭いと言いたげな神楽の愚痴にアキトが不吉なことを言う。
「全て真実を話していると思うのか?急に掌を返すかもしれないんだぞ?」
「父が母を愛していたのは間違いないですし再会して家族で暮らしたい…多分それは事実です」
黒姫の言葉に全員が考え神楽が同意する。
「父が人として生きたのならきっと私と同じ…世界に、身内に愛着があるはず、それを裏切ることは無いはずよ…」
「アダムとイブで新世界するかもしれないぞ?」
アキトの言葉に否定できず黒姫が頭を抱える。
翔が黙る神鳴に話題を振る。
「戦わずに穏便に済ます方法か…神鳴なんか思い付くか?」
「わからない…元々私の世界じゃないもの…」
すっかり元気の無くなった神鳴はフラフラと立ち上がると散歩に行ってしまう。
「カナリン一人じゃ危ないでー」
玉藻前がその様子を心配して着いていき家を出る。
「我輩、二度寝するある」
どんどん部屋を離れていき残り四人、神楽は自分や他の神の世界は本当に異物で不要なのかと嘆く。
「私達神はやはり存在してはいけないのかもしれないわ…」
「なら最初から他の世界を引き受けるな!お前が救った命を見捨てるのかよ!」
アキトが弱気になっている神楽の肩を掴み揺さぶる。
「融和の道を目指すんじゃないのか!?たとえ歪でもお前の信じる道を示すんだ」
「うん、そうね…私はまだ諦めないわ」
父との対立を決め二人は立ち上がり翔達に一礼して去っていく。
残された翔は気まずいと感じつつ鳴るお腹を擦り昼食取るかと黒姫に問う。
「翔君…私も新世界の再編に声あげてもいいですか?」
想像していなかった言葉に目を丸くする。
「鍵を束ねれば記憶は消えてワタシは私じゃなくなる…そうずっと考えていました。そうなったら再編されても私達は消えます」
黒姫はゆっくり翔の手を取り真剣な面持ちで宣言する。
「私も愛で我が道を往きます!」
そう叫び口付けして顔を赤くして自室に逃げ込む。
一人残され困惑する翔だったが表情を固めたまま冷や飯を食べ部屋に戻り横になる。