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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
世界再編
113/153

宝物2

黒鴉は堂々と黒姫の頭を指差して宣言する。

「聞いたところによると大切なモノ…そして形として残していないなら記憶よ!」

「記憶…ですか?」

黒姫が自信満々な姉の方を見て信じられないと言いたげに聞く。

「ちょっと!なんで自信無いのよ!家族との記憶って宝物でしょ!?」

全員からしらけた目を向けられて黒鴉がしょんぼりする。

「私は大事に思ってるのに…酷いわ」

黒鴉の言葉に翔が答えを思い付く。

「そうか、記憶か!」

「直接会った翔は分かるみたいね!一体何?」

神楽が興味津々に聞いてくるので翔は自分を指差す。

黒姫も顔を赤くしながら小さくあっと声を出す。

「浜松ぅ!おんどれぇ!」

黒鴉が翔の胸ぐらを掴み揺さぶる。

「違う、多分そういうのじゃねぇ!」

「私よりお前が大事だとぉ!許せん!」

「そっちかー、いや、黒姫じゃなくて神姫という神の大切なモノだからー」

言い訳するように翔が答えると黒鴉は「ならばよし」と言いパッと手を離す。

神楽が記憶という事実を聞いてお手上げといった具合に首を振る。

「困ったわね…つまり黒姫の記憶を抜き出す事になるわけね」

「あら神藤家的には好都合じゃない?」

黒鴉の軽率な発言に黒姫が睨むように顔を向け無言の圧力を行う。

「俺の考えを語る必要も無くなったな、物理的に入手出来ないなら暫くは大丈夫って事だな」

アキトは神楽に遠回しに諦めるように伝える。

「そ、そうね…」

黒鴉が思い付いた指摘をする。

「集まってもどうやって世界を再編するのかしら?そもそもここに全部揃ってるんでしょ?」

一瞬の沈黙、すぐに翔達が距離を取る。

「そうだ、揃ってる…!」

神楽がニッコリ笑って否定する。

「残念、神斎のは今は無いわ、今も向こうで幸せに生活してるわ」

「そのとある魔物の…?」

翔の言葉にアキトが頷き答える。

「思い入れの強い最初の魔物…らしいな」

「ちゃんと話を終えたら解放してるわ」

神楽も笑って答えるが既に回収して保持していると思っていた翔達は疑いの目を向ける。

「ほんとよ、なんなら呼ぼうかしら?」

「それこそ揃うじゃないですか…」

クスクスと神楽は笑い冗談だと告げる。

アキトは話を切り上げるように神楽に尋ねる。

「もう集めない…それで良いよな?」

「そうね、これで話は終わり、思わせ振りな話してごめんなさいね翔君」

元の世界には戻れないと言う意味の謝罪に翔は悔しそうに拳を握るが堪えて笑顔を見せる。

「仕方ないですね、まぁつまりこれで世界は平和になって安泰って訳だ」

「あら、そうね、もう敵は居なくなってハッピーエンドね」

呆気ない幕切れに全員脱力し笑い声が上がる。

唐突に黒鴉の携帯に通知音がする。

「あら…うげ、お父様が!急いで帰らないと!良いわよね学生は!」

「三年だから受験か就職なんだよなぁ…まぁ頑張れ」

バタバタと駆けていく黒鴉を見送って神楽達も帰る準備をする。

「平和になっても会いたくなったら何時でも来なさい、歓迎するわ」

アキトと二人去っていき、いつもの浜松家に戻り翔は伸びをする。

「あ…私も父さんに挨拶すべきかな…?」

「行くのか?今なら車間に合うんじゃないか?」

黒姫は頷き通話をしながら玄関に向かう。

神鳴はあくびをして実感の無い「平和」という言葉を反芻していた。

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