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神の下僕は世界を守りたい  作者: D沖信
精神と鉄機を操る神々
108/153

一つの真実1

一時の休息地として神楽の世界に降り立つ翔達、異世界の光景に初めて来る久坂やミハエル達は驚き頭を抱える。

「宇宙の次はファンタジーか…」

「すぐに帰してあげるから気にしないで頂戴、ただの経由地点よ」

説明するのが面倒臭いのかそそくさと次の地球への帰還の準備を始める。

その裏でアキトに金森と葉山が詰め寄る。

「どうして協力して頂けなかったんですか…」

「そうです、あなたが来ていればもっと楽だったでしょうに」

アキトは申し訳なさそう頭を下げて素直に謝る。

「すまない、ヤツの裏をかかなければ能力封じは叶わないと思って黙っていた…」

黒鴉の不在に死傷者が出たと気付き軽口も言えずそれ以上言い訳はしなかった。

そしてアキトは荻原が脚を引きずっているのを見て薬を貰ってくると神楽に伝えてシュメイラの元へ向かう。

研究所では急いで入ってきたアキトにシュメイラは驚きつつ歓迎する。

「お、おや?アキト君…どうしたのかな?ひひ」

「すまない治療薬一つ頼めるか?」

「えぇ…ま、まぁ仕方ないね」

シュメイラはため息をつきながら薬を取り出す。

「全く…用法容量は守って欲しいね…」

「…?」

様子のおかしいシュメイラに疑問を感じつつ薬を受け取り走り戻る。

薬に荻原は感謝し一気に飲み干す。

「不味い!」

飲んだ感想に味を知っている全員が苦笑いする。

「あ、でも痛みは無くなったぞ!?すげぇなファンタジーの薬!」

ぴょんぴょんと飛び跳ねて目を輝かせる。

それを見てすぐに金森が荻原を叱る。

「病み上がりなんだからあんまり動かないでくれよ、医者要らずの薬過ぎてぼくの立場が…」

「そうだな…まぁ飲めなければ助からない訳だが…」

アキトが遠い目をしてメンバーの欠員を憂う。

暫く沈黙が流れミハエルがここに居ない神に祈りを捧げる。

準備を終えて痺れを切らした神楽が翔に尋ねる。

「そろそろ良いかしら?あんまり歓迎出来なくて悪かったわね、異世界に興味があったら彼に頼んでちょうだい」

翔の背中を叩き手を振り翔達全員を地球へ帰還させる。

見送った後に神楽はガックリと肩を落として呟く。

「はぁー、なんて言うか残念ね…」

「…本当にそう思っているのか?」

アキトの冷ややかな目線に神楽は渋い顔をしてアキトを睨み言う。

「心外ね私がおちゃらけてるのは皆の前だけよ?心労を隠す事だって大事なんだから」

「そうか、人の生き死にに動く心があるなら兄妹の殺し合いについてもっと何か思うところ有ってもいいだろ?」

「あー、うん兄弟はなんというかある種の敵だし」

アキトの質問にそこだけヘラヘラとして答える。

「寧ろ皆消えてしまえばいい…」

「神楽、流石に冗談が過ぎるぞ」

「あはは、ゴメンゴメン」

神楽の不穏な雰囲気にアキトは気遣い休むよう伝えてもう一人気になっているシュメイラの所へ向かう。

アキトが再びやって来たことが予想外過ぎたのか目を丸くして悲鳴に近い声をあげる。

「ひぃ!く、薬はもうないよ?」

「…悪かったな、何か隠してたようだったから気になってな」

気まずそうにシュメイラは目を泳がせていると奥から黒鴉だけひょっこり顔を出す。

「お前!生きてたのか…」

黒鴉は静かにするように人差し指を口に当ててアキトの声がトーンダウンする。

「死にかけたのは私じゃないから…」

黒鴉はアキト以外居ないことを確認して手招きする。

その事をシュメイラが驚き「いいのかい?」と尋ねると黒鴉は頷き答える。

「少なくともアキトは信用出来るわ」

「何の話だ?」

棒立ちになったままアキトはもう一度黒鴉の手招きを受けて近付いていく。

奥には血塗れの服の神華が静かな寝息を立てて眠っていた。

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