神威の世界7
神威を倒すため上層を目指す翔達は道を阻むように飛び出してくる機械達を薙ぎ倒しながら進む。
「狙撃とか無くて助かるわね」
黒鴉が正面で戦う翔も焰鬼を見て呟く。
「お前も頑張ってくれよ!遠近両方行けるだろ!?」
「狭いところだとバハムート出せないのよね」
言い訳するように首を振る黒鴉を殴りたい衝動に駆られるも我慢して突き進む。
金森が奮闘する翔を心配する。
「彼一人で大丈夫なのかい?」
「大丈夫大丈夫、アイツ規格外だから」
黒鴉が余裕そうな表情に黒姫が怒る。
「流石に無理です交代しましょう」
黒姫の言葉に頷き金森と荻原が前に出て翔と交代する。
息を切らしながら足取りが重くなっている翔に黒姫が寄り添い回復を行う。
「はぁはぁ…本当にお前も戦って欲しいんだが」
翔が黒鴉を睨むがすぐに視線を前に戻して歩く。
「悪かったわ、そこまで疲労するなんてね」
黒鴉は正面で大斧で戦う荻原と騎士の精霊を使いしっかり守りを固める金森を見て翔に謝る。
後ろを警戒していた神華と葉山が横道を指差す。
「す、ストップ!階段です」
正面の二人が踵を返して戻ってくる。
金森の代わりに黒鴉が前に出ると志願する。
「黒鴉ちゃん無理しなくていいって俺様だけでやってやるさ!」
張り切る荻原が突進していく。
「ちょっと!足並み合わせなさいって!」
神華が怒鳴るが聞こえないのか荻原は先に進んでいく。
仕方ないと金森が呆れながら戦闘に立つ。
「まだ行けますからしっかり着いてきてください」
盾を構えながらゆっくりと警戒しながら階段を登っていき中層辺りで開けた場所に出る。
登り終えた金森に荻原がぶっ飛んで来てなんとか堪える。
「荻原さん!大丈夫ですか!」
金森の声に弱々しい声で強がるが武器の大斧が破壊され戦闘不能なのは目に見えてわかる様子だった。
翔達が遅れて到着したことに部屋の奥にホログラムで見た男が鎮座していた。
「あー良かった、我の相手はソイツだけかと思った」
「あんたが神威ね!案外早く姿見せてくれるじゃない?」
黒鴉が一歩前に出て剣を構える。
「塔の殆どがアンテナ代わりだからね…おや?」
神威が神華を不思議そうに眺める。
「なに?あんたとアタシじゃやり方も考えも違うのよ!」
「あっそう、精々頑張ってくれ」
神威が指を鳴らすと壁、天井、床、至る所からドローンが生成され向かってくる。
「機械は工場で生産されてるんじゃないのか!?」
金森が驚いて声を上げ翔が冷静に作り出された機械に重火器が無い事を見て答える。
「神威の能力かと、どうやら銃は付いてないみたいです」
「目敏いねぇ…でもさこれならどうかな?」
ガシャンと機械は刃物を振り回しながら向かってくる。
「うげ!」
エグい回転刃の数に翔がドン引きする。
「翔君、ここは任せてください」
黒姫が光球を一斉に放って次々に爆破していく。
「っち、神姫か…」
神威が忌々しいと呟き次の生成の為の指を鳴らそうとする。
それを阻止するようにヒュンと矢が神威目掛けて飛び瞬時に作られる鉄の壁がそれを防ぐ。
「防がれた!?」
葉山が驚きの声を出し神威がまた舌打ちをして腕を振り下ろすような仕草をする。
天井から鉄の柱が葉山を潰そうと落ちてくる。
葉山を押し退けるように水流が発生して柱に潰されずに済む。
「我の相手に相応しい…そう認めてあげるよ」
神威は大袈裟に腕を動かして登ってきた階段を鋼鉄の壁で塞ぎ腕を広げて見せる。
翔達の逃げ場は無くなり神威との決戦を迎える事になる。