18禁&その先(性を語る)
私が高校生の時、先輩が18歳になってパチンコ屋に行った話を聞いた。
ポルノも見れると笑っていた。(一人称が私ですが男です)
いわゆる18禁の世界に入った人とその手前の人の微妙な会話。
でも、私の子供時代、18禁という壁は意外に大きかった。
子供は見ちゃいけません、という世界。
今はコンビニで成人コーナーみたいなのがあるけれど、昔はもう少し遠かった。
今はなんとなく境界線が曖昧になった気がする。
私がこの(性を語る)という文章を書くにあたって、もしかすると18禁になるのではないか、という危惧は持っている。でも、別に性的興奮を起こさせる目的で書いているわけではない。むしろ、一般のハーレム話やファンタジーの方が18禁に近いと思う。
それに比べれば、文字で何を表現しても18禁にならないのではないかと思う。
性表現は本能的に強い刺激であり、激辛のラーメンを食べて汗が出るように、反射的に体が反応してしまう。そして、その感覚は繰り返すことで鈍化する。だから若い間は禁止するのもわかるのだけれど、今は見たければ見れる時代、禁止と言っても意味がないのかなとも思う。
でも、これは幸福なことなのだろうか。
18禁より前に日本の法律では性器を映像として見せてはいけないはず。
詳しい条文は知らないので正しくないかもしれないけれど、違法合法の境界はそこだと思う。
でも、ネットはその法律の壁ですら軽々と越えていく。
18禁の目的はなんだろう。それが形骸化したことで何が問題になっただろう。
ネットがある時代とない時代の子供の心にどんな違いがあるのだろうか。
性犯罪率はネット以前より減っている。
少子化とは無関係でないように思うけれども、要因として多いか少ないかはわからない。
肉体的な準備は18歳どころか10歳ぐらいから備わってくる。昔と違って栄養が不足するようなことがなくなり、平均での肉体的成長は早まっている。そこに18禁の壁の向こう側が入ってきたら、性行為年齢が下がりそうではあるけれども、近年の妊娠中絶率を20歳未満で見るならば安定していて特に増えた感じはない。
一応、インターネットが本格化した95年以降しばらくは急増しているが、ネットが原因であれば、そのまま上昇しそうなもの。でも今はそれ以前と同水準なので、18禁の壁がなくなることによる性行為の低年齢化、は言えないように思う。
性犯罪率も似たようなもので、全体量が増えているようには見えない。
ただ、デジタルで残る映像はコピーが容易で、消したい過去の性的映像が何年も何十年も繰り返し性的興味の対象としてコピーされ続け、その人を苦しめ続けるという今までにない問題は潜在的にある。
壁の向こう側にはプライバシーの侵害や意図しない性的搾取が蔓延している。それを助長するのがそれらを見る行為。そうとわかっていても、見たいと思う心。その心に呼応して見せてしまう人、そこでお金を稼ぐ人、そこにブレーキをかける方法がないネット。
実は違法コンテンツさえ消せれば、18禁なんて必要ないのかもしれない。
そして本当にマズイのは18歳未満が性的映像をネットを通じて他人に出してしまうという現象。児童ポルノ製造を18歳未満が自ら行っているという現実。
18禁は「見るな」より「見せるな」が今の時代に必要なのかもしれない。




