2話~登校~
一の恋人くん登場回です!!!
申し遅れましたが同じ作者名でpixivに二次創作を投稿してます!!!
もしよろしければよろしくお願いします。
2話
親に捨てられた可哀想な子。それが僕—望木 真白の印象であり、実際僕だ。
そんな僕に最近恋人が出来た。
「ふわぁ…おはー真白」
「おはよう。一君」
花吹 一君、同じクラスの中心的な男の子。優しくてカッコ良い太陽みたいな人。
「今日はコンビニ?」
そう言って僕は片手ぶら下げたビニール袋を覗いた。
「あぁ、母さん達が寝坊しちゃって…びっくりしたよ。最近のコンビニって袋金かかんだな」
「うん。意外と不便だよね」
何気ない会話をしながらの登校も凄く楽しい。一君は一緒に居るだけで僕の世界を明るく照らしてくれる。
「そーいや昨日さ」
「うん」
「母さんと姉さんにバイだって宣言してきた」
「…え?」
喉の奥がキュッと絞られたような感覚がした。
「んで、恋人が居るのかとか色々聞かれて、面倒だったからその場では答えなかったんだけど…」
耳が遠くなる感覚がした。一君は普通の人なのに、僕のせいで一君が…
「金曜、俺ん家来ない?」
「…え?……行っていいの?僕なんかが」
「いいのいいの、ってかダメなら誘わないっての。多分大喜びだから2人とも」
「だって僕女の子じゃないし…」
「(だからいいんだよ)…そーいうの気にしないでいいから、本当に。ってかその、孤児院って急に用じででかかるっての大丈夫そ?日付もう少し後にずらそうか?」
「大丈夫だよ。楽しみ!」
「良かった。ってかさっき『僕なんか』って言っただろ?アレ禁止な」
「あっ、ごめん」
恋人には多かれ少なかれルールがある。僕たちのルールは2つ。『僕なんか』の禁止と隠し事の禁止。主に僕が我慢しない為に一君が作ってくれたルール。本当に恋人のお手本のような人だと思う。
「あっあと、今日俺貴也達と飯食う約束してるからゴメンな」
「…うん。」
今日は一緒に食べれないんだ…。まぁ一人は慣れてるけど、今日は本持ってきたっけ?
「飯食ったら残りの時間お前んとこ行くから、今日どこで食う?」
「えっと、旧校舎の屋上前の階段」
「りょーかい。お前ホント分かりやすいよなぁ。可愛い」
クシャッと頭を撫でながら一君は僕に向かって笑顔で言った。『可愛い』その言葉が胸をくすぐって温かくなった。