スマートフォン
この作品にはホラー作品である為、通常作品より多くの恐怖表現が含まれている可能性があります。
この話は初夏を過ぎてもジメジメした熱気が残る、そんな夜の話しだ。
それは僕こと佐藤が自宅の部屋でWeb小説をスマートフォンで見ていた時に起きた。
スマートフォンで何を見ているかだって?
諸兄の期待を裏切るようで残念だが、エッチな小説ではなく『怖い話し』なんだ、ゴメンな。
いつものようにスマートフォンで『怖い話し』を見ていると強い違和感を感じたんだ。
一行が二行、二行が三行になるにつれて違和感が強くなり、やがて中盤に差し掛かって理解したんだ。
「この怖い話し、読んだことがあるな」思わず僕は呟いた。
まあそうなるとページをブラウザバックで戻すわけだけど、戻したら僕の横から唐突に。
「まだ早い」との言葉の後に白い右手がページを戻したんだ。
僕は部屋の中を見渡してはみたんだけど、人なんて部屋のベッドに腰掛けた独身の僕しか居るはずはないんだけどさ。
スマートフォンの画面が戻ってる事から何かがページを戻したのは確実なんだ。
ソレを理解した瞬間に「ヒッ」なんて叫んじゃったんだ、本当に情けないよね。
古来から日本では百物語の際に『得体の知れないモノ』が一緒に百物語を聴いてるという話しを聞いたことがある。
恐らく僕のスマートフォンをいじったモノも同じ類いだと思う。
僕の話しもこれで終わりなんだけど、実は最後まで読んでくれた人にはもう一つ謝らないとならない事があるんだ。
ソレはこの話が『実話』って事なんだ。
ひょっとしたらこの小説を読んでいる貴方の隣にも居るんじゃないかな、画面を覗き込む『得体の知れないモノ』がさ。
今回が初めての小説になります。
よろしくお願いします。