Illusial Witch 幻実の魔女 Agent
少年はぼやけた視界で知らない真っ白な天井で目を覚ます。体は動かせず喋ることも出来ない。少し薬品の匂いを感じ体には無数の何かが取り付けられていた。
少し離れたところから聞いたことのある声が聞こえ。それに懐かしさを感じる。
父さんと母さんだ。
両親と誰かが話している。
そして僕の目覚めに気づいたのか両親はこちらに来て何かを言っている。
だが何を言っているかも分からない。
更には両親の姿は真っ黒でいくつもの線でぐちゃぐちゃに塗りつぶされているようにも見える。
あれ、両親の顔ってどんなだっけ。
そう思いながら眠気に襲われ再び眠る。
次に目覚めた時は体が動かせ薬品の匂いは無くなっていた。
横を見ると窓がありそこからは巨大な木が見えその上からは太陽の光が降り注ぐ。
起き上がると迎え合うように同い歳くらいの一人の少女が対面のベットに座って本を読んでいた。
いや、読んでいるというよりただ下に本を広げて下を向いているだけのようにも見える。
周囲を見渡すと病室のような空間だった。
少女に挨拶しようかと思ったが看護師の人が来た。
看護婦の顔も黒いモヤがかかってよく見えない。
だが対面にいた少女の顔はよく見えるのだ。
看護師に連れられ精密検査とリハビリのようなことをさせられた。
診察室に連れられ院長らしき人がそこにいた。名前はメトゥと名乗り他の人とは違い真っ白な顔ののっぺらぼうのような人に診察され特に以上はなかったと言われるがが顔のことを伝えると相貌失認症と診断された。
ここで自身の名前「アルフレット」と伝えられる
病室に戻り対面のベットにいる少女に話しかける。
だがその少女は言葉が通じてるのか通じてないのかよく分からない感じだった。笑いもしない楽しそうでもないと言って悲しそうな感じでもない。完全な無表情で感情というものがないのではないかと思う感じだった。
少年はめげずにその少女と一緒に本を読んだりと話しかけたりという日々を続けた。
すると少し少女に笑顔のような楽しそうなそんなものを感じ出し、そして少し喋れるようになった。
彼女が良く悩みながら最初に伝えてきた事は自身に指を指して「フェル」そういった。それが彼女の名前なのだろう。
それと同時にもやがかった人たちには顔ができ始めたといっても人の顔ではなく動物や無機物。担当の看護師さんは黄色い閉じた花だった。メトゥらしき人は変わらず真っ白なのっぺらぼうだった。
またしばらくして少年と少女は看護師に連れられ病室移動した。
そこには双子の少年がいた。
双子と言うよりもドッペルゲンガーのように良く似すぎてると言える二人だ。
兄の名前はエルド、とてもおしゃべりで活発な子でメルドは落ち着きのある子だった。一日を終え次の日には彼らに顔ができていた。エルドは振り子の顔、メルドは本の顔だった。その日からリハビリではなく看護師から勉学を付けられるようになる。授業の終わりには小テストが行われる。先にいた二人はそこそこ難しいテストが行われていてメルドは100点、エルドは85点と競い合っていた。次の日には下の階に連れられ50メートル走などといった体力テストが行われた。その後四人で仲良く遊ぶ一週間の日々 アルフはメトゥにエルドとメルドの別れの日を前日に教えられる。
メトゥには立ち合いはできないからこの病室でお別れを済ましてと言われた。別れを済ませ一時間が経ってフェルは何かに気づきエルドのベットを漁る。それを見たアルフは近づき立ち寄る。フェルが持って見せたのは双子が大事に持っていた、誕生石のお守りだった。
エルドは指輪、メルドはブレスレット。きっと忘れ物だとアルフは看護師かメトゥに届ければ渡してくれるだろう。
もしかしたらまだ近くにいて連絡を取ってくれたら取りに来るだろうと思い病室を出る。がいつも診察室にいるメトゥはいなかった。
アルフは困ったが近くに受付のようなところがあったのに気づきそこに向かう曲がり角の近くに行くと知らない人とメトゥが話しているのが聞こえた。
メトゥにはこの日ここには近づいてはいけないと言われていたため身を隠す。そうしているとメルドの返事が聞こえ。まだエルドとメルドはここにいたんだ。
メトゥには忘れ物を届けに来たといえば許してくれるだろうそう思い隠れるのをやめその場出る。そこにいたのは黒く塗りつぶされた大人二人とメトゥそしてメルドの声がしたであろう閉じられた本の顔ではなく開かれた本の中で振り子が静かにゆっくりと動いている。
そんな顔の少年が一人 何で一人なのだろうか疑問に思っているとメトゥに注意される。アルフは慌てて忘れ物を届けに来たと指輪とブレスレットを見せる。両親であろう者達はメトゥにまあまあとアルフにお礼をいい 指輪とブレスレットを受け取った。
アルフは近くにいた黄色い花に連れられ病室に戻される。不信感を感じたアルフは施設内を探索することにした。小さなことに気づきやすいフェルはアルフ導きロックのかかった部屋にたどり着く。
フェルはそのロック基盤を順に指さす。その通りにアルフは入力すると扉は白い煙を溢れさせゆっくりと開く そこはいくつもの巨大な瓶が並んで立っていた。緑色に透けた液体の中に眠る靄のかかった人間達 それを眺め進んでいくと半分人半分振り子顔を持った人間がつめられていた。エルドだ。
さらに進んでいくと違和感を感じる人間に出会うフェルに似たいや自身にもよく似ている人間だ アルフはフェルの親が来たことを見たことがないというよりアルフの両親を見てえ震えていたのを覚えており仮設を立てる二人のうち一人を決めこの瓶に入れるのではないかと考えていると奥の方から物音が聞こえたきがしてフェルを連れ急いで部屋に戻る。
その日は怖くなりフェルのベットで手を繋ぎ布団に潜るが一向に眠れない 恐怖 不安といった感情が頭の中を駆け回り涙が流れる。それに気づいたフェルはアルフを抱きしめ「大丈夫…大丈夫だよ」と抱き寄せ頭を撫でる。
目が覚ます。頭が少し痛く 体は少しだるい 少し重い体を起き上がらせて座る アルフは自分のベットに戻っていた。
対面のベットはなくなっていた。 いや元から無かった あった気がする…勘違い… 違和感がアルスをおそう。頭を抑えて考えていると。
「アルフ!起きたのね!」
聞き覚えのある声がしてかつかつと急ぎ足で誰かが近づいてくる。
人間の顔ををした見覚えのある…記憶の奥底に残っていた母の顔
後ろからゆっくりと歩いてくる父
懐かしい顔が優しい笑顔をこちらに向ける。
アルフは違和感がこみ上げ気持ち悪くなり嘔吐する。
診察室に両親と共に案内される。
メトゥはあと三日こちらの施設で預かるということとなり両親と分かれる。
アルフは病室部屋部屋を歩き回る 微かな記憶を頼りに歩く
ロックのかかった部屋を前にして看護師の人に呼び止められる。
軽く注意され病室に戻される。
アルフは看護師にお願いをする 皮のついたりんごとナイフが欲しい
看護師はあの部屋に近づかないことを約束として持ってくる
看護師はナイフとりんごを二つずつ持って来て目の前で皮のむきかたを見せる
リンゴは誰かがが良く食べていたものであることを覚えている
真似て皮をむき食べる。
三日後両親が迎えに来た 最後にりんごを食べたいと思い皮をむき始める
両親に剝いたりんごを食べてもらう
ナイフには事前に睡眠薬を塗り付けておいた 三日前の診断で寝付けないことをメトゥに相談し睡眠薬をもらっていた
両親は倒れるように眠りにつく
アルフは両親の心臓をナイフで刺し殺し顔が分からなくなるまで記憶のそこにある顔にかかれていた線の通りに切り刻む
アルフはゆっくりとロックのかかった部屋まで歩く 今日は人通りが少ない
ロックのを前と同じ通りに入力するがエラー表示が出てあかない
再び考えると 見覚えのない記憶のがにじみ出る
真ん中上から左に下右に回るように入力すると扉が開く
見覚えのある透けた緑色の液体と人間の詰まった瓶が並ぶ 歩いていると奥まで歩く記憶がある
そこにはさっきとは違うロック基板の扉がある
A~Zの並ぶ基盤 うっすらとした記憶を頼りに入力する
10桁の文字
SAKUKAREHA
その部屋が開くと更には10個の瓶が斜めに並んでいた。
右奥から二番目の瓶は明るく照らされていた
そこにはフェルが詰め込まれている
アルフはその瓶を前に立ち尽くす
ゆっくりと足音を響かせ誰かが歩いてくる
歩いてきたのはメトゥ
メトゥは前の記憶通り真っ白なのっぺらぼうだった
メトゥはアルフを称賛しフェルを瓶の横の機材をいじり
受け取りたまえよ
そうメトゥが言うと瓶は起き上がり緑色の液体は抜かれ扉が開きフェルが零れ落ちるように出てくる
フェルは意識がなく生きているのか怪しいが
生きているよ だが目覚めることはない
そういってタオルを被せる
君はもう生きる気はないようだね ならば君にはすべてを教えよう
キメラ細胞 代わり人のプロジェクトまで話し
頑丈に絞められた扉を開く
そこは真っ暗な部屋で崖の様で奥底は何も見えない
だが巨大な何かがある
サクカレハの花 ここに落ちることで安らかな死を迎えることができる
メトゥはアルフに願いを祈りながら死ぬとよいという
アルフはもし次の人生があるならば もしその世界で彼女に出会えたら 自分の全てを彼女に差出し共に生きていこうと
そう願ってサクカレハの中に落ちていき眠りについた
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目を覚ますと知らない世界で目を覚ました。
知らない親と暮らしていく。
その場所にはフェルは居ない。
アルフは成人し旅に出る。
十年、二十年、三十年歩き続け
ようやく出会う。
深い森の中、木にもたれかかる一人の少女に。
その少女は耳も聞こえず目も見えないようだ。
男には彼女の事を知っているが彼女は男の事を忘れ知らない。
男は花から得た情報を元に彼女、新たな魔女と契約を交わす。
いかなる全ての負を代わりに背負うと。
少女には視覚と聴覚を得た。
男は視覚と聴覚を失った。だがその代わりに彼女の視覚と聴覚を共有することが出来た。
男の提案で劇団をしないかと持ちかける。
少女は劇団が何か尋ね。
二人は話す。
少女は楽しそうだと思い賛成した。
二人は劇団の団長と魔女、演者としてその世界を生きていく。
アルフ
→ルトド・ぺルド
臓器に病気を持って生まれた少年
真実 フェルから生まれた男性クローン
Alf アルフ
相貌失認を持っており人の顔が認識できない
更にはほとんどの臓器に多少なりの欠陥があって
移植が行われた後
代わり人の少女 fer フェル
フェル・ぺルド
ラテン語 fer 「運ぶ」 自身をその者に運び渡す
少年の細胞から生み出された代わり人
真実 少年のために臓器提供することとなった者
彼女は生まれた時から記憶がはっきりと残っていた
生まれた時から両親からいないものとして扱われていた
研究の為とアルフのドナー物の為として生かされる
それらを知った精神的ショックを受け自身の能が人の顔を捨て感情を捨てた
両親はボールペンのような何かで塗りつぶした様に
自身は人形のような植物状態に
水のように透き通るような水色の瞳、所々寝ぐせなのか跳ね腰のところまで伸びた青がかった灰色の髪の毛、白い病衣からすらっと伸びる白い腕、すっきりと整った顔立ちで人形のような綺麗な少女
どことなく悲しげで無機質な本当に人形のような雰囲気
エルドとメルド
双子の少年
エルドは活発で運動能力が高い 振り子のような顔
メルドは落ち着きがあり知能的 本の顔
二人はどちらが代わり人として決められていない
実際は実子はエルドで代わり人はメルド
両親の依頼はこの二人に同じ教育を与え肉体的、知能的の平均を
競い合わせ優秀な方を実子として向かい入れるといったものとなっている
二人にはそのことは教えられていない
メトゥ
代わり人研究組織の一員でありこの施設の管理者
この組織の人間は皆偽名を名乗っている
サクカレハ
願望の花