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記憶は輪廻から外れる。  作者: *ラズ×ベリー*
✾友美✾の✾ 章 ✾
40/50

✾ 6 ✾

 チャイムが鳴ったので、友美は扉を開けてしまった。


 あっと思ったが、遅かった。又、陽藍に怒られると思ったが、其処に『居た』相手に呆気に取られるのと、『そいつ』に『叱られる』方が、『先』だった。


 「シュウ?!」と叫んだ此の後で。ーーーー


 ✾ ✾ ✾


 「実家、改装したいから、ともの好み聞きたいんだけど」

 と、陽藍に言われた。彼が子供時代を過ごした『家』が、もう相続済らしい。友美は当たり前だが、言われる迄、知らなかった訳で。新居を建てずとも、『実家』を改装して『新居』にすれば良いと言う訳だった。


 友美は反対した。


 「あのままじゃ、駄目なの?」と。


 「え? お前の使い易い様に、改築しようと思ったんだけど。俺は別にいいよ?」


 聞けば、陽藍に『譲る』時に、一度『リホーム』されているらしい。なら尚更『そのまま』で良いと、友美は思って、そう伝えた。


 友美は花撫子と一緒に、何度か掃除の為に、元の『月影邸』を、何度か訪れて居た。花撫子に言われて陽藍の『部屋』を掃除した時が、実は一番楽しかった。


 良く陽藍が『引き篭もって』在たらしい、『オーディオルーム』、本ばかりの部屋。『昔はピアノも置いたのよ』と、花撫子が言っていた、『応接室』。広かった。


 祖父や祖母が『暮らした』区域は、花撫子が掃除した。畳中心の部屋で、祖母小百合嬢は、茶や華や琴を嗜んだらしい。一部屋はその為か、茶室だった。


 掃除が済んだ其の部屋で、花撫子が茶を点ててくれた。『お義母様がきっとこうしたかったでしょうから』と。小百合の写真が在った。本当に美しい女性ひとだった。思わずそう言うと、花撫子は本当に嬉しそうに『ふふっ』とだけ笑った。其の笑顔も又魅力的だった。


 流石、陽藍の母と祖母だと友美は思った。茶が美味かった。花撫子が用意した茶菓子も。


 それをふと、『懐かしい』と感じたのは、友美の気のせいだと思ってしまったのだが、今思えばあれは『華月』の家で、食べた味だったのだと思った。茶も然り。


 『観察力、注意力』と陽藍に言われても仕方無いーーと。



 そうして友美と陽藍は、陽藍の『実家』に引っ越した。とは言うが、大した引っ越しでは無かった。家財道具は揃っていた。何しろ『かずいち』が暮らして『居た』のだから。



 『友ちゃん。冷蔵庫の中は(掃除しなくて)いいわ。後キッチンも大丈夫ね。』


 花撫子が言ったのは、『そういう』意味だったのかと、友美は『後から』思った。


 何も知らない友美を余所に、かずいちは、台所と寝床の『片付け』はしていたらしい。元々綺麗好きだった。でなければ陽藍も貸さないが。こんな事も在って、友美は若干かずいちを、憎んでいた。『憎らしい』程度に。


 返せば『羨ましい』とも言い変えられるーーそんな感情だった。『飼い主が他のペットを撫でて可愛がるのを、羨む』様な。



 他愛もない感情だった。そうでなくては困る。甲田 一一は、『人間として』魅力的なのだから。


 うらやんでいる位でないと、好きに成ってしまう、そんなレベルで、『お人好し』だった。そして優しかった。『良い人』過ぎた。



 友美は、陽藍と一一カズイチのやり取りを見て、思った。



 『犬と犬がじゃれてる』みたいなーーと。戯れている事は『正解』だが、『可愛い犬』等では無かったが。


 狂犬や駄犬では無い、『飼い慣らせない』モノーーあの二人は『其れ』だった。



 友美の言葉を借りて、わかり易く説明するなら、『可愛い犬のフリ』だ。


 狂犬が賢かったならば、尻尾をまいて、逃げるで在ろう。駄犬等は歯牙にも掛けない。



 対峙した『派遣会社』の責任者が面白い例えをしていたーー『死神』『疫病神』と。


 満更でも無いかも知れないーーただ、『そう』称された等、当人『達』は、『知らない』だけで。


 友美は『かずいち』を、『陽藍』と『正反対のひと』と捉えたが、陽藍とカズイチに言わすと『似た者通し』で在る。『規格外』『はみ出し者』『変わり者』、言い方は多々在れど。



 かずいちと陽藍に言わせれば、友美こそ、『自分達と否為る者』で在った。


 『闇』と『光』ならば、友美は『光』なのだが。『鈍い彼女は気付いていない』と。



 『純粋』な『光』が、やや眩しかった。



 ✾ ✾ ✾



 「よお、『昨日ぶり』だな」


 友美へ、甥っ子はそう言った。『何してんの? あんたは??』と、友美は『誰か』と似た様な感想を思い浮かべた。



 ✾ ✾ ✾


 「あんたーー何してーー」


 「じゃ、ねーよ。」


 言うよりも遮られた。


 「帰るぞ『馬鹿』。もういっかい、『捨てられる』前にな。」と。


 「あんたーー『何』言ってんの?」


 友美は、それでも『言って』やったーーだが、その後喧々と甥っ子の『小言』をくらった。


 要らないーーと思ったが、柊一の小言が終わらないので、友美は周囲の目を気にして、柊一を中に、引っ張り込んだ。



 そして陽藍が帰る迄『ずっと』柊一は友美に『はり付いて』居たーー訳だ。


 夕食の食材買いにも、風呂掃除中も。夕飯を支度してる間も、ずっと。



 本当なら、今日一日だけ、『新婚旅行』代わりに、陽藍と『ホテル』でゆっくり『過ごせた』筈の友美はーー『なんで??』とつい思った。



 陽藍が今日『だけ』はせめてと、有給を取ったのに、昨日状況が一変した。義父『小虎』が祝の言葉と共に『隠居』宣言をして。義母花撫子、祖父大虎は初耳だったらしく、茫然とする陽藍を他所に、喧々囂々だったが。



 祝の席に来ていた、月影デザインの『面々』の中で、若い連中が、陽藍に声を掛けて在た。


 中年軍団は、『重役』達。若手が『セカンド・ジェネレーション』。息子、甥っ子等だった。


 大虎に『時と場所を選べ馬鹿者共が』と、盛大に咎められたが、小虎軍団は引かなかった。


 セカンド・ジェネレーション軍団に宥められた大虎は、呆れ返って匙を投げた。『虎のじいちゃん、俺達頑張るから。陽藍は、大丈夫だよ』等と、励まされてーー在た。



 ホテルをキャンセルした陽藍は、『会社の方針』を固める為に、そのまま彼等と何処かに行って、そのままその日は帰って来なかった。花撫子に友美を『頼ん』で。



 本当は陽藍は友美だけ泊まる様に言ったのだが、友美に『要らない』と言われた。『又今度でいい』と。



 大虎も花撫子も友美を『連れて』帰ろうとしたが、『家』に、帰るからと友美が拒んだ。大丈夫だからと。


 花撫子が『泊まる』と提案したのだが、友美はそれも断わった。



 ちゃんと『もてなせる』時に来てくれないと、嫌だと言って。花撫子は諭して無理強いしなかった。『大丈夫ね?』と言って。




 その『騒動』を『見ていた』柊一は、一晩『考えて』、やっぱり友美を『迎え』に来たのだ。




 「やっぱり俺、『あんなヤツ』に、任せらんねーよ」と。




 友美は思った。『コイツ』、目が『本気マジ』だなと。




 『……………どうしよう? この子。 …………………結構頑固なんだよね…………』と。



 兄義樹には『言って来た』と言う。『…………………………本当に?』と、叔母トモミは疑った。



 声には出さなかったが。陽藍から『逃げていた』自分も悪いので、柊一を否定し切れなかった。



 自分に帰って来るとは、この事だ。少し反省した様だ。




 夕食はちょっとだけ、『豪華』にしたかったのに、友美はとんかつを揚げていた。柊一にスーパーで『食べたい』と連呼され、恥ずかしくて、豚肉を握り締め、逃げる様に買って帰って来た。勿論、卵、小麦粉、パン粉を忘れた訳ではないが。サラダの材料は『質素』に成ってしまったのは柊一のせいだと思った。


 『ステーキとか……………焼きたかったなあ…………。今日位は。』あと、デザートとかも。



 陽藍は『甘いもの』が苦手らしいが、ヨーグルトベースのチーズケーキならどうだろうと思ったのだ。クリームチーズもサワークリームも、ヨーグルトすら無いので、作れない。『レアチーズケーキなら、混ぜて固めるだけで、簡単だったのに。………シュウのばか………。心配症。』



 もう、『大丈夫』なのに。友美は陽藍の帰りが、違う意味で待ち遠しかった。言う迄も無いが。

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