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悪役令嬢は魔王様の花嫁希望  作者: 星 くらら
第四章 アダルトに突入です
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69 天使とラブソングを(3)※リド目線

 エルと俺は馬を走らせ、ミストラスの街までやって来た。

 この街に俺にピッタリの働き場があるということだが、やはりただ娼館に行きてえだけじゃねえよな?


 ミストラスの街は、昔は薄汚れた夜の街という認識しかなかったが、道が整備されてからどんどん発展していき、今ではシャーリン領の繁華街として朝も夜も栄えている。

 アリスが考案した珍しい店が建ち並び、他領だけでなく他国からも観光客が訪れるようになった。

 表の通りは、お洒落なカフェやブティックなど、庶民が楽しめるリーズナブルな価格の店が多い。

 勿論裏通りには昔ながらの娼館や酒場が残っているが、以前のように汚い感じは全くない。“衛生”というものを、アリスが徹底したからだ。

 娼館などで働く者たちの為の寮や託児所、病院を設立して、女性が働きやすい環境になっている。


 馬を小屋に預け、大通りをエルと並んで歩く。

 道行く女たちが俺たちを見ると振り返り、何やらヒソヒソと喋っているのが目に入った。不躾な視線に不快感を覚えながら、俺は溜め息を吐いた。


「おい、エル。お前が顔を隠さねえから、王子だってバレてんじゃねえのか?」

「いや、あれはキミを見て胸をトキメかせているだけだよ」

「はあ?」

「……気付かないかぁー。あーー……似た者カップル…………」

 

 エルが残念なモノを見るような生暖かい眼差しを俺に向けている。

 その目ヤメロ。


「で? 俺にピッタリの仕事って何なんだ? 娼館の用心棒とかか?」


 それなら、この何年間かで何度かやったことがあるので目新しくもない。

 そんな俺を見て、エルの奴は立てた人差し指を左右に振りながら「チッチッチッ」と勿体ぶったように舌を鳴らした。

 あー。その顔、殴りてえ。


「そんな平凡な職を、俺が紹介すると思う? そんなの誰にでも思いつくよ」

「悪かったな、平凡で」

「最近ミストラスの街に出来た、最新スポット! 庶民が一時だけでも貴族気分を味わえる、特別なカフェがあるんだって!」

「…………ほぉ」


 エルが大袈裟に両手を広げて自慢げに言い放ったが、お前が考えたモンじゃねえだろ。

 “庶民が貴族気分を味わえるカフェ”なんて前代未聞だ。初耳だ。どうせそんな変なモンを思いつくのは……。


「アリスの発案か?」

「当たりー! “執事カフェ”っていうらしいよ。なんとね、そこで働けるのは、容姿の整った男子だけなんだって。リディアにピッタリだろ?」

「ああ!?」


 カフェの給仕だと!? 冗談じゃねぇ!!


絶対(ぜって)え嫌だ」

「えー? でも、日給五千ゼニーだよ?」

「は、はぁーー!? 五千ゼニー!?」


 なんだ!? その破格の給料は!? 身体でも売ってんじゃねえだろうな!?

 なんとなく、容姿の整った男たちに傅かれるアリスを想像し、嫌悪感が込み上げた。

 どんな男が働いているのか、確かめる必要がある。


「その馬鹿なカフェはどこだ」

「え? 何怒ってんの? そのカフェは今はまだキャスト募集中でやってないよ! 俺が行きたいのは、それの女の子版」

「……あ?」


 俺は思いっきり顔を顰めた。そういうコトか。このエロ王子が。


「行きたくねえ」

「えーー!? キミ、女の子大好きじゃん! 行こうよー!」

「断る。……俺は女が好きなわけじゃねえ」

「そう言わずに! ここまで来たんだから行こうよ!! そこは“メイドカフェ”っていうんだけど、めっちゃめちゃ可愛い女の子が揃ってるんだって!!」

「一人で勝手に行け」

「これはリディアの為なの! 俺の為じゃないよ!? そこに、“天使のような店員”って言われてる、一番人気の女の子が居るんだって!!」

「……“天使”?」


 ()()“天使”かよ……。

 “天使”の大安売りだな。


「リディアが探してる、婚約者の女の子かもしれないだろ? 会ってみたいと思わない?」


 会ってみたいのは、てめえだろ……とは思ったが、俺のことを考えてくれての行動なのかと思えば、少しは聞く耳も持てた。


「……しょうがねえな。行ってやる……」

「わーい! その“天使ちゃん”、めーーっちゃ可愛いんだってーー! たーのーしーみー!!」


 前言撤回だ。


「てめえは、毒女に刺されろ」

「ちょっ、ちょっと! 縁起でもないこと言わないでくれよ!! ホントに起こりそうで怖いからー!!」


 そのメイドカフェとやらで執事カフェの面接も行っているらしく、俺は渋々そのカフェへ向かった。




 

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