表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は魔王様の花嫁希望  作者: 星 くらら
第三章 奇跡の先のそのまた向こう
47/88

46 初恋の行き先(2)

 思えば……乙女ゲーム【迷鳥】でのアリスは、恋(“恋”というよりは執着に近い気がするけど)した相手には必ず自分(アリス)よりも大切な相手が居て、二番目……もしくは厄介者扱いされていた。

 なんの(ごう)か。

 【迷鳥】とは関係ない(ひと)を選んでも、(アリス)は二番目にしかなれない運命なのかもしれない。

 更に、今私はその男性(ひと)に、めちゃくちゃ疎まれてしまっている。


 私に「愛してる」と言いながら、リドには他に心に決めた女性(ひと)が居たなんて……。


 前世から合わせて二十八年。初めて恋をした男性(ひと)なのに。


「……不実だわ……」


 この世界、側妃、愛妾、愛人、二号さん……呼び方は違えど本命以外に浮気するのは別段おかしいことではない。身分の高い男性なら特に。

 現国王にも、正妃以外に何人も側妃や愛妾がいる。

 リドも、元王族。元王子様。

 そういう考えが根底にあって、ごくごく自然に二人とか三人とかを同時に愛することができるのかもしれない。

 それがこの世界の“普通”だとしても。


「私には無理……リドを誰かと共有するなんて……」


 リドには、私の髪を伸ばす呪術の所為で記憶を失ったことだけは話した。

 それが更に私への憎悪を深めてしまったのだが。


『たかがてめぇの髪を伸ばす為だけに、よくも俺の貴重な記憶を犠牲にしてくれたな』とか『“俺の天使”の記憶を今すぐ返してくれ』とか……数々の罵声を浴びせられ……。

 挙句の果てに『てめぇの顔見てると、イライラしてめちゃくちゃにしてやりたくなるんだよ。……うせろ』と言われてしまった。


 私のことを忘れられちゃうのは、ある程度覚悟していたけど、大好きな人から罵倒されたり、他の大切な女性(ひと)の話を聞くのは……結構キツイ。


 ヴィヴィに、“リドの天使”の話を聞いた。

 

『わたくしも、まだ四歳くらいでしたのではっきりとは覚えていないのですけれど、名前は確かシャーロット。辺境伯令嬢です。兄様の三つ歳上で、“天使のような微笑み”と呼ばれていたようですけど、わたくしは笑顔なんて一度も見たことがありませんでしたわ! 男性や身分の高い人の前とわたくしの前では、態度がぜんっぜん違いますの! わたくしいつも虐められていたので、それだけはよく覚えています』


 ヴィヴィはその彼女(ひと)のことを余り良く思っていないようだった。ヴィヴィのマシンガントークは止まらない。


『お顔だってとても平凡でしたから、美しいわたくしが気に入らなかったのですわ。転ばされて紅茶を頭からかけられたこともありましたわ! そんな時物凄く醜く笑いますの。わたくしは母の身分が低くて王宮でも蔑ろにされていましたから恰好の餌食だったのですわ』


『ヴィヴィ……』


 涙を溜めて震える彼女の肩を、抱きしめた。


『大丈夫よ。ここでは誰にも貴女を傷つけさせやしないわ。貴女は私が護る! 例え、リドと私の関係がどうなったとしても、ヴィヴィは私の妹よ』


 私がヴィヴィの顔を覗いて微笑むと、ヴィヴィは頬を染めて『……天使……』と呟いた。そして、反対にぎゅうっと強く抱き締め返される。


『“天使”はアリス姉様ですわーー! あんな女全然天使じゃないです! 兄様にも相応しくない! 兄様は騙されているんです! 国が無くなったのですから婚約だって無効ですわ! 姉様愛してますーー!』


『あ、ありがとうヴィヴィ』


 暫くヴィヴィにぎゅうぎゅうと強く抱き締められながら、私はぼんやり考えていた。

 国が無くなっても、記憶を失っても、それでも愛している人になんて、勝てるわけないーーーーと。


 さようなら。

 私の初恋……。

 ……早かったなぁー。好きを自覚してから、終わるまでが高速すぎる。


 好きな気持ちは止められないけれど、出来るだけ封印しよう。

 リドの記憶が戻って、それでもやっぱり私よりもシャーロットさんが好きなのなら、身を引こう。

 

 そう、最初の計画に戻るだけだわ。

 最初リドに偽装結婚を持ちかけたのは私だもの。

 その後、思い掛けず両想いになっただけ。

 側妃でも愛妾でも、この国を出て保護される立場を得ることを最重視させなくちゃ。

 私がリドに好きな人が居るのかも確かめずに、強引に結婚を迫ったのだもの。リドは元王族で、幼い頃から婚約者がいたっておかしくないのに。

 そうよね。最悪リドの側妃にしてもらって、ほとぼりが冷めたら離婚すればいいのよね。


 …………………………。



 嘘。



 あああーーーー!!

 やっぱ無理ーーーー!!

 やっぱり、好きな気持ちは止められないわ!

 きっと私は、諦めきれずにずっとリドのことを好きだ。

 今も、凄く凄く好き!!

 諦めたくない!

 リドがその婚約者の“天使ちゃん”のことを思い出したら、ちゃんと言おう! 私とその()と、どっちが好きなの? って。

 それまで、私のこと、いっぱいいっぱい見てもらおう。

 もう一度、私のこと好きになってもらって、私のことも考えて欲しい。

 諦めるのは、それからでも遅くないよね。

 私、頑張る! 努力する!


 

 神様。

 

 どうかこのリドへの気持ちが……この初恋が昇華されますようにーーーー。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ