プロローグ ~飛行機で行く大阪の昼飯~
「鳥精、イベリコブタ、激辛つくね、ナンコツ、ポンポチ、ひな革全部塩で」俺は友人と二人、いつもの焼き鳥屋で燻製になりそうなくらい煙を浴びている。この焼き鳥屋は、大手焼き鳥屋のチェーン店で一番小さい店だ。入り口に道路に向かって焼き場があり、中はコの字型のカウンターだけ。詰めても20人程しか入らない店で、いつも満員。一人客も多く最近は女性一人も珍しくはない。
まずは、友人の愚痴をビールの飲みながら聞き、さっき注文した焼き鳥が出てきたところで俺は、ある計画を友人に言ってみた。
「俺な、あることを計画しているんだ」
「なに、どんな計画だよ」
と友人は、その計画に興味を示した。
「明後日の土曜日、札幌から飛行機に乗って大阪でたこ焼きとお好み焼きを食べてすぐに帰ってくる。『飛行機で行く大阪で昼飯計画』だ!」
俺は半分冗談っぽく、話した。
「なんで!?」
と友人は短く問い返してきた。
「いや、贅沢な昼飯だよ。」
と俺は答えたが、その後の友人からの返事は予想通りのものでしかなかった。
バカじゃないのかとか、飛行機代がもったいないとか、この無駄遣いの意味を知ろうともしないで、ただ酒の肴にするだけだ。
その先にひょっとしたら待ち受けているかもしれない楽しみとかを説明しようとしても、耳を貸さず、そんな金があったらこれをしろとか、自分におごれとか、まったく自分勝手なものだ。
その後も、妥協点を見つけることができずにいつものようにグダグダになって飲み会は終わった。