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青春取り戻しプロジェクト!  作者: 静月 野架 
第一部 七瀬の青春
6/6

従姉弟との対面

 まあまあ、私の家族は恐ろしいものである。自分で言うのもなんだが、父親も母親も姉も水城さんも、みんな私に甘い。そして、私のことならすぐに暴走するし、裏で組む。

 今回もその犠牲になったわけだが、まあ、このパーティー会場に来るのなら、これは良かったのかもしれない。普段着にはできないけど。


 今回のパーティーの主催者は、いとこ一家。私の父は祖父の病院を継いでいるわけだが、いとこの父、私から見ると叔父は起業したという。それも、かなり成功したようで、製薬会社をはじめ、ホテルや旅館の経営など幅広く行っている。


―――一代でここまででしょ? その人、人間じゃないよ。


 会場は、いとこ一家の別荘だった。うちもいくつか持っているが、ここはうちと比べられないほど大きい。


「兄ちゃん、いらっしゃい」

「久しぶりだな」

「な。夕陽さんと、一歌ちゃん、七瀬ちゃんも、久しぶり」


 叔父さんは、小鳥遊(じゅん)という。道と似て長身のさわやかマンだ。


「いっちゃん、なあちゃん!」

「ゆうちゃんー! あ、陸にいもー」


 潤とお話ししていたら、いとこの友菜(ゆうな)陸斗(りくと)がやってきた。会うのはお正月以来だ。友菜は一歌と同じ5歳で、陸斗は8歳である。8歳で、陸にい、と陸斗のことを呼んでいても、まだまだおこちゃまに見えるのは仕方がないだろう。うんうん。私は、中身は17歳だもんね。お姉ちゃんだもん!


「じゃあ、お父さんたちは挨拶に行ってくるから、いい子で待ってろよ。あと、水城さんや高橋さん、香村さんに迷惑を掛けないこと。わかった人ー!」

「「「「はーい!」」」」


 高橋さん、香村さんはゆうちゃん家のお手伝いさんである。

 今日は、大きな会社のお偉いさんも結構来ているらしく、お父さんとお母さん、叔父さんと叔母さんは挨拶周りに行った。その間、私たちは子供部屋で遊んでおくのだ。大人も大変だが、子供も大変である。この年の子たちは、異常に元気である。どこにそんなに元気を溜めているのだろうか。


「何するー?」

「鬼ごっこしよう!」

「えー、かくれんぼ」

「おままごとはー?」

「やっぱり、お人形で遊ぼー?」

「かけっこ!」


―――キリがない。てか、室内でかけっこはないでしょ! いくら広い部屋でも、それは……できそうだな。


「私、本読んどくね」

「うん」


 私はいつも通り本を読むことにした。以上に本が好きなわけではないが、小さいころから月に最低2冊は読むという教育をされて17まで生きたから、暇なときには読むことが癖になっているようだった。

はじめは、みんなに「えー! つまんない! 遊ぼうよ!」と言われていたが、最近は「だよねー。うん、知っている」という感じになっている。


 本を読むといっても、2歳児が読む本は絵本、それも簡単なものしかない。平仮名オンリーの本は逆に読みにくい。それに、全部ではないが、「あー、面白かった!」「何度でも読みたい!」となる本はなかなか見つからない。


 そういうわけで、かはわからないが、最近は図鑑を見ることが増えた。海の生き物の図鑑や、星の図鑑など、様々だ。字が解らなくても、写真を見ればわかる、ということにして私は図鑑を物色している。最近のお気に入りは、恐竜の図鑑である。これが自分の知らないことだらけで面白い。


 見開き2ページを熟読し終わったころ、ようやく何をして遊ぶかが決まったようだ。長いな。


「なぁちゃん、かくれんぼ、する?」

「七瀬お嬢様、本を読むことも大事ですが、お友達と遊ぶことも、同じくらい大事ですよ」

「わかった。一緒に遊ぶ」


 本当はもっと読んでいたかったが、遊んだほうがいいな、と判断した。なぜなら、ずっと遊ばずに本を読んでいるなんて、それは美奈(前世)と同じではないか。それは、絶対に避けたいことである。


かくれんぼは実はあまり好きではない。いや、かくれんぼに限らず、勝負事があまり好きではない。なぜなら、負けたらイラッとするからだ。

周りからはあまりそう見られないが、実は負けず嫌いである。だから、したくない。


わたしは他のみんなより小さい体を生かして、押入れの奥のほうに隠れた。扉はしっかり閉めた。一応、暇つぶし用の本と懐中電灯を持ってきた。これで大丈夫!

私は懐中電灯をつけ、本を開く。




しばらくして、周りの喧騒で、私は目を覚ました。


「んん。……寝ちゃってた……ふあぁぁ」


今何時だろう? と思って気づく。


---あれ、まだかくれんぼしてるの? 意外とそんなに時間たってないのかな。


そんなことを考えていると、少し遠くから水城さんの声が聞こえた。


「七瀬様ー! 七瀬お嬢様、どちらにいらっしゃいますか!?」


耳を澄ますと、一歌たちの声もする。


「なぁちゃん! どこ隠れてるのー?」


どうやら、うまく隠れすぎたようだ。なかなか私が見つからず、ちょっとした騒ぎになっているようである。

私は本と懐中電灯を手に、外に出た。


「ここー!」

「あ、いたー! もう、いなくなっちゃったかと思ったでしょ!……いっちゃん、いたよ!!」


最初に私を見つけたのは友菜だった。友菜の呼びかけに、一歌がすぐにやってくる。


「なぁちゃん! 駄目でしょ、いなくなっちゃ!!」


---いやいやいや! かくれんぼってそういうものでしょ? すぐにわかるようなところにいたら、それこそ駄目でしょ! え?


子供の思考は理解に苦しむ。地軸の別名が自分の名前だとでも思っているのだろうか。まあ、面白いからいいけどさ。


「楽しそうだな」

「お父さん!」


 子供たちでギャーギャー騒いでいると、お父さんたちがやってきた。どうやら挨拶は一通り終わったようだ。道たち保護者組が戻ってきた。


「さあ、ご飯を食べに行こう。皆の好きな物がいっぱいあるぞ」

「ホント!? 唐揚げある?」

「ああ。沢山あるから、一杯お食べ」


 わあ! と、子供たちから歓声が上がる。

 唐揚げは大人も子供も大好きな食べ物である。


「あ、待って。友菜と陸斗はご挨拶してもらうから。兄ちゃんたちは先に会場に行ってて」

「わかった」


―――子供なのに挨拶させるの!? どういうこと?


 混乱している私の心は誰にも気づいてもらえず、私は道に抱き上げられてパーティー会場へ向かった。


大変遅くなりました! 色々と忙しく、気付いたらこんな時期に……!


お楽しみいただけたでしょうか?

次は、初めてのパーティーです。


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