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青春取り戻しプロジェクト!  作者: 静月 野架 
第一部 七瀬の青春
1/6

プロローグ

 恋愛禁止。部活禁止。テストでは毎回3番以内に入ること。

 「お母さんとお父さんはあなたの事を思って言ってるのよ」。「言うとおりにしてごらん。幸せになれるから」。「学生は勉強だけをしていればいいの」。

 反論したかった。そんなわけないって叫びたかった。今ではもっと思う。点滴に繋がれて、整えられたベッドに寝るか勉強するかしかない今では、もっと。

 

 突然だった。まだ高校2年の私。死ぬことは眼中にもなかったのに、いきなり目の前にやってきた。もう、手遅れだった。あとは死ぬのを待つだけ。そんな状態になっていた。なのに、両親はまだ言う。

「勉強しなさい」。「退院した時、みんなに置いていかれると大変だぞ」。

 いや、もう学校に行くことなんか無いから。本当は自分たちのためのクセによく言うよ。

 子供は意外と大人を見ているものだ。両親が我が子のことはお見通しなのと同じで、子供もまた、両親のことはよく分かっていたりする。

 父と母は、二人とも志望した高校、大学、会社に入れなかった。自分の子には同じ思いをさせたくない、というのもなんとなくだが解かる。つらいとわかっていることを好んでやる人は、そうそういないであろう。けれど、


―――押し付けないでよ。


 これは、私の人生だ。あんた達のやり直しのための道具ではない。自己満足のための道具ではない。私がやりたいようにさせてくれ。

 と、いうのが私の本音である。




「美奈ー。サボらないでやりなさいよ。自分の為よ。あとで困るわよー!」


 今日も言う。

 もう、我慢の限界だった。17年も耐えたのだ。最期に言ってやってもバチはあたらない。と、思いたい。


「あとでって、いつの事?」

「そりゃあ、大学受験よ」

「私はできないよ。そんな遠くの未来は持ち合わせてない」

「そんな後ろ向きな気持ちじゃ、治るものも治んないわよ」

「元から治んないんだよ!! 手遅れだったの! 聞いてたでしょ!? 何もかも、もう無駄なんだよ! やりたい事をやらせてよ!!」

「美奈、落ち着きなさい!」


 焦りを含んだ母親の声がした。

 点滴が抜け、腕から血が飛び散る。息がし辛い。「感情的になってはいけないよ。呼吸困難になるかもしれないからね」そんな、担当医の言葉が蘇る。

 どうでもいいと思っていたが、やっぱり、やっぱり、


―――まだ、死にたくない。もう、もう終わりなの? 


 まだ17だ。高校生だ。青春だなぁ、という事をしている歳だ。なのに、私はそんなことの思い出は、私の中に皆無だ。私の青春を


「か、え、して……」


 まだ、まだやりたい事がある。やっと母に意見できたのだ。これからなのに……。

 もう、目の前が真っ暗だ。遠くで何人かの人がバタバタしているのが、なんとなくわかる。名前を呼ばれている気がする。だが、もう私にそれに応答する気力は無かった。

 また、手遅れだ。


―――決めた。


 もし、転生というものがあって、それができるのならば……


―――取り戻してみせる。何がなんでも、私の青春を取り戻してみせる!



   ◆◆◆



「やるぞぉ!」

「え!?」


―――え……?


 転生するの早すぎませんか、神様?

新連載スタート!とかカッコイイこと言ってみます。

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