#10 おっさん、新たな精霊(ナカマ)と出会う。
/* 前回のあらすじ */
おっさん居場所が解る
おっさん冒険者を夢見る
おっさん速攻夢破れる
/* あらすじここまで */
冒険者になって俺TSUEEEEE!の夢敗れるおっさん。
エルが言った、あるワードに引っ掛かりを覚える。
「エル、さっき君は [担い手様だけですと] と言っていたね」
「俺でも戦える手段があるのかな?」
[良いところに気が付かれましたね、担い手様。 勿論です]
[私達精霊を上手くご活用下さい]
[私達はク……神様(屑野郎)から世界の業務委託(仕事の丸投げ)を請けておりますが、ユニオンにより就業規則で護られております]
[1日6交代制、完全週休3日、有給休暇年50日他各種福利厚生を神様(屑野郎)より勝ち得ておりますので、暇な精霊がいつでも何処でも担い手様のサポートをすることが出来ます]
[また、私も後任に仕事を任せ(ブン投げ)て担い手様担当となりましたので、常に担い手様のお傍に居ります]
[ちょうど良いので、挨拶をさせましょう。 ヤク、ヤクは居りますか?]
エルがそう言うや否や、1人(?)の精霊がおっさんの前に現れる。
[お初にお目にかかるっす、担い手様。 自分ジャクリーンって言うっす]
[気軽にヤク、って呼んでくださいっす]
そう、ソプラノを響かせたのは癖っ毛の赤髪で所々をはねさせている、髪の色と同じ大きな赤い目が似合っているのだが、エルに仕事を任せ(ブン投げ)られた影響か、苦労性がうかがえる様な雰囲気をまとっている精霊さんだった。
[担い手様、この子がヤクです]
[ヤク、私が万が一、担い手様の傍に居る事ができない時には、貴女が私の代理として担い手様に尽くすのですよ]
そう、優しくヤクに告げるエル。
また仕事が増えるのか、と言う若干嫌そうな雰囲気を出すヤク。
[ ヤ ク ? ]
[誠心誠意お仕えさせていただくっす!! 担い手様、宜しくお願いするっす!!]
背中に棒を入れられたかの様に直立不動となるヤク。
新たな被捕食者仲間誕生の瞬間であった。




