言葉弔い
言葉になれなかったものが
体から追い出されていく
怒りの言葉になる予定だった
責める言葉になる予定だったもの
排水溝に吸い込まれてゆく
絞り出すときのあがきの音が
気道中をひっかきまわす
もっと言葉を
込み上げた思いに命を宿せる
言葉を見つけなければ
憤りが気道をのたうち
絡まりながら上って
落下してゆく
まだあるまだ出る
歯みがき粉のチューブを
平たくなるまでつぶして
押し出すように
粘り強くシツコク
追い出しにかかる
何もなれなかったものは
ヤマイダレと炎合わせた文字で
皆同じ名前で呼ばれるものになった