猫と女の子part1
第3話
~名前はゲジゲジ!?~
河原につくと割と人が多かった。
夏休みのうちに家族でピクニックみたいなノリだろう。
零「・・・家族なんて。」
そんな楽しそうな家族を見ながら、苛立ちと少しの羨ましさをもち、陸橋の下の陰に行きビニール袋からシュークリームを取り出す。
零「シュークリームよ、俺の感情を和ませておくれ。」
シュークリームを眺め、少しの感傷にひたる。
さて、そろそろ袋をあけて食べようか。
零「ない。」
目の前にあった俺の幸せ袋、100カラットのダイヤよりも美しく、幼いときの幼稚園の先生よりも甘い存在!
そう!シュークリームが!!
にゃー。
そこには、俺のシュークリームを加えた黒猫がいた。
見事な程に真っ黒な毛並みと、左右の目は珍しい綺麗な翡翠のような色をしている。
そして、長いしっぽをクルッとまいてのんきにこっちに近づいてくる。
零「さあ、良い仔猫ちゃんだ今ならまだ間に合う。それを置いてさっさとどっか行け。」
こっちの気持ちを察してくれることなく、口からシュークリームははなさい。
ただ人に慣れているのか、すりよってくる。
よく見たら可愛い気がしてきた。
「ゲジゲジ-!ゲジゲジ-!」
遠くから、あまり聴き心地の良いフレーズとは言えない声が近づいてくる。
声質自体はすごくハツラツとして、元気のよさそうな声だ。
「いた!ゲジゲジ!!」
俺の目の前に、肩の高さくらいの茶髪で、整った顔立ちの女の子立っていた。
目も茶色く、顔立ちは日本人にしてややほりが深く鼻が高い。ヨーロッパ系の顔立ちと言えるだろう。
思わず少し見とれていた。
「すいません!ゲジゲジ返してください!」
ゲジゲジを返せなんて、一生に1度言われるかどうかの、台詞をまさかこんな子から聞くとは思っていなかった。
もしかして、この猫のことをだろうか?
零「もしかして、ゲジゲジってこれ?」
黒猫を指さしながら問うと、彼女はめいいっぱい首をさげてうなずいた。
それを見て、猫を彼女へわたした。
シュークリームとともに。
そして、気になっていた事を訪ねた。
零「この猫、なんでゲジゲジ?」
すると彼女は猫の目元を指して
「この子の眉毛とってもゲジゲジなんです!」
と笑顔で答えた。
零「なるほど」
たしかに、なぜかはっきりとゲジ眉のようになっていた。