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74話 家族サービスらしいです

 ふと、気付いた事なのですが、今、使ってるキーボードは、高校デビューを書き出す直前に買ったモノなのですが、A、K,Oの印字が完全に消えてます(;一_一)

 結構、叩いて来てるんだな……と思ってしまう、今日この頃ですが、キーボードでこれなんだから、ファミ○ンとかのボタンは、どれたけ叩いたのだろうかと素朴な疑問がわきました(笑)

 次の日の早朝、雄一達は、いつも通りのメニューの訓練に汗を流した。


 最近のテツのやる気が半端なく、もっと、もっと、と訓練の要求度が上がってきている。


 おそらく、こないだ来たティファーニアの手紙に、そろそろ引っ越しの目途が立つから、という内容を読んだせいであろうと雄一は判断する。


 それが理由の1つというのも間違いないが、雄一は徹底的にテツの土台作りに専念するように指示を今まで出してきた。それが実り、形になり始めたようである。


 動き足らないとばかりに雄一達を中心に走るテツに、疲れてイライラしたホーラにボーラを投げつけられてコケさせられるとポプリに手加減された温度に調整された火の球をぶつけられる。


「ぎゃぁぁあ!! 熱過ぎるぅ!!」

「テツ、うっさい!」

「テツ君、あんまり騒ぐと騒げなくしちゃうぞ?」


 地上に上げられたエビのように元気よく跳ねるテツ。


 そして、剣呑な目をするホーラと剣呑な響きで語るポプリを横目に見た雄一は体をブルッと震わせる。


「テツ、お前、攻撃される事に慣れてきてないか? いくらなんでも、それを熱過ぎるで済むお前を尊敬しそうなんだが?」


 ホーラとポプリは、敵対してるようで息がバッチリで阿吽の呼吸を感じさせる事が良く見かけられる。


 今回も、ホーラがボーラを取り出している時点で詠唱が開始されていた。


 2人は、雄一に見つめられてたと気付いたようで、タイミングを計ったかのように同時に微笑をして雄一を見つめてくる。


 雄一は、そういえば……と思い出す。


 王都から帰ってくる1,2日目は、あの2人は仲はあまり良い様には見えなかったが、ダンガに戻った時点では妙に仲が良くなったような気がしてきたのだ。


 雄一は、戦慄する。


 ホーラだけでも扱いに苦労する場面があったのに2人になったら、どうなるのだろうと考えるだけで恐怖する。


 単純に脅威が倍という考えは危険だと本能が訴えていた。


 雄一は知らなかったというか、知らないほうが身の為の事実があった。


 2人は、『乙女同盟』というものを締結させ、物理的に雄一の出会いを潰そうという恐ろしい企みをされている事に。


 雄一は、忘れる事にする。

 昔の偉い人が言っていた事を思い出す。


『明日に廻せられるモノは、明日にしよう!』


 1つ頷くと雄一は、強く生きて行こうと煙を上げて静かにされてしまったテツを放置する。


 そして、家に帰って朝ご飯を作るという使命感を胸にダンガへと帰って行った。





 王都から帰ってから、ちっちゃい3人を除いて雄一の料理にクレームが付いた。


 そのクレームが分かり易いのがシホーヌが言った、「ユウイチの料理は見栄えが綺麗ではないのですぅ」である。


 王都でミランダが出してくる料理は、雄一も唸るような味をしていたので、アレに味で負けると言われると食べる人によってマチマチの反応があるだろうと納得できた。


 だが、綺麗じゃないとはどういう事だというと盛り付けもそうだが、色合いが単色、2色の料理が目立つということらしい。


 雄一が料理が得意であったのは天性のものだが、味はともかく、見栄えなど料理人でもなければ男料理をしてるつもりの雄一には無縁のモノであった。


 だが、雄一は、味が良ければいいだろう、と何でもないように答えた。


 すると女性陣の反応が激しい事になり、雄一は目を白黒させる事になる。


「主様、料理とは目でも楽しむモノ。そこに喜びを満たしたいというは美を求める女性には死活問題なのですよ?」

「しかしな? 食ったら同じだろ、栄養さえあればいいと不味いモノを食いたくないという気持ちなら分かるが?」


 アクアの必死の説得も流す雄一を見ずに手元の文庫本サイズの薄い板のようなものに指を這わせているシホーヌが呟く。


「幼い内から芸術的なものに触れる機会の多いモノは感受性が豊かになる傾向がり、情操教育に良いと見られている、と書かれてるのですぅ」

「ヨシ、やっぱり料理にも色合いは必要だな! なるべく3色は使うように心がけよう!」


 きっと雄一が元の世界で親になっていたら間違いなく『ひよ○クラブ』などを愛読して一々、戦々恐々していそうである。


 という話があったのが、昨日の夜の出来事である。


 雄一は、3色以上になるように意識して料理、サラダに力を入れる片手間、初日ぐらいと思い、遊び心を入れる。


 パンを普通に焼かず、動物などの形に作って焼き上げる。


 焼き上がると雄一の会心の作のサラダを中央に置き、飲み物の牛乳を入れてパンも各自の皿に置くと朝食が出来たとみんなを呼ぶ。


 お腹が減ったと駆けてくる者も居れば、欠伸を噛み締める者もいる。


 テツ達、早朝組は起きてからだいぶ時間が経っているので、お腹が減った組である。


 各自の皿にあるパンを見、楽しそうな声を上げる。


 各自、違うモチーフのパンでお互い見せ合いをするほど好評だったが、中央に置かれた彩りを意識したサラダは放置されて雄一はこっそりと涙した。



 そして食事が済み、テツ達が冒険者ギルドに行くのを見送った雄一は、画師が来るのをアリア達と庭で遊びながら待っていた。


 しばらくするとアクアが画師がやってきたと雄一を呼びにくる。


 肩にミュウを左腕にはアリアを装備すると雄一は画師と空き地を前にして、ああでもない、こうでもないと、1時間ほどの問答を繰り返して満足いく完成予想図が出来上がる。


 雄一は、完成した絵を商人ギルドに届けると言っている画師に銅貨20枚握らせる。


「報酬はギルドを通じて頂きますので、ここで報酬の交渉するつもりはないのですが?」


 少し困ったような顔をしてくる画師に雄一は、


「すまない、これは報酬じゃなくてチップみたいなもんだ。さすがにこれが報酬じゃ足らないだろう。ただの昼飯代にしてくれ、と渡しただけだ」


 雄一が、「また、何かあったら頼む」と言うと現金にも嬉しそうにした画師は、会釈をするとホクホク顔になって帰っていく。


 テツ達が帰ってくるまで、ちょっとあるな、と思った雄一は思い付きでシホーヌ達を呼び出す。


「どうしたのですぅ? ユウイチ」

「ああ、良く考えたら今日はモンスターを斬って倒してという話じゃないからピクニック気分でみんなで行くか? と思ってな」

「それは名案ですよ、主様」


 2人は、雄一の考えに支持してくる。


 雄一の肩の上では、久しぶりのミュウダンスが行われ、ガゥガゥと踊る。腕の中にいるアリアも頷いてくるのを見て、「でかした!」と言われたような気がする雄一は笑みを浮かべる。


「まあ、家に居るより、出かける方が楽しいかな?」


 明後日の方向を見つめて唇を尖らせて照れるレイアに萌える雄一は、レイアを右手で確保する為に目をギラつかせて跳びかかるが避けられる。


「まさか、避けられるとは……」

「いや、あんな目をしてたら来るのが分かるから……」


 これは、レイアの成長と捉えるか、雄一の煩悩が強過ぎるのか、微妙なラインである。


 やや拗ね気味の雄一は、馬車を借りる為に出かけてくるとみんなに伝える。


「では、帰ってくるまでに用意してきますが、日帰りになる予定ですよね?」

「ああ、でも服が汚れたり、濡れたりするからもしれないから替えだけは用意しておいてくれ」


 アクアに確認された雄一は頷いて答えると貸し馬車屋に向かう為に家を後にした。





 雄一は、貸し馬車屋で馬車を借りて途中で馬車を止めると道具屋で釣り竿などをテツ達3人分以外のモノを買う。


 明らかに子供用といった竿があったので迷わず3つはそれにした。


 釣り竿セットを馬車に積み込むと家に向かって馬車を走らせた。



 家に着くとテツ達は帰っており、雄一の下へとやってくる。


「ユウイチさん聞きましたよ。みんなでお出かけに切り替えて行くと」

「ああ、特に危ない事もないしな」

「まあ、アタイ達3人以外は、遊んでられるような状況さ。ちょっと羨ましいけど早く終われば合流できるしね」

「その可能性は薄いと思うけどね……」


 雄一達は、状況確認をサクッと済ませるとポプリの最後のセリフに苦笑する。


 用意はできたのかと確認を取る雄一にみんなが頷くのを見た雄一は、馬車に乗り込むように伝える。

 アリアとミュウは定位置なので特に問題ないが、レイアが馬車に乗り込むのに四苦八苦する姿に手を出そうとする。


「自分で乗り込むっ!」


 そう雄一に言ってくるレイアの言葉を脳内で「1人でもできるモン!」と変換されて悶えそうになる雄一は病気かもしれない。


 みんなが乗り込むのを確認した雄一は、馬車を出発させる。


 馬車の中では釣り竿に興味津々の面子の騒ぐ声を聞きながら笑みを浮かべ馬車を操る。


 休日に家族サービスするパパらしい事をしてる、と考えて照れ笑いに変化させる。


 照れ隠しに膝に座るアリアの頭を撫でて誤魔化して雄一達はスネ湖を目指して出発した。

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       雄一の孫の世代             こちら亜人ちゃん互助会~急募:男性ファミリー~  どちらも良かったら読んでみてね? 小説家になろう 勝手にランキング
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