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49話 降臨した舞姫? いつでも挑戦を受けるのですぅ

 地平線にかろうじて太陽の名残を感じさせるが星の輝きが強くなり始める、そんな時間の王宮の近くの広場で3人組の旅芸人の男女が集団に囲まれていた。


 いや、囲まれていると表現するのは正しくない。


 踊る少女を眺める為ににその周囲に人、ほとんどが男であるが相当な人数が集まっていた。


 妖艶さを感じさせる挑発的な笑みを浮かべる少女は薄布のベールで口許を覆い、履いているズボンは完全に透けており、美しい白い肌に黒いビキニパンツが映える。

 細身の体で胸は豊かとは言えないが透けそうな生地で前に垂らすだけといった様子から下着は着けていないようだ。


 踊る少女が背後で踊る少女よりだいぶおとなしめの衣装で笛を吹く黒髪のポニーテールの少女と白髪エルフの男の太鼓が奏でる音とリンクさせるように踊る。


 テンポをアップさせたり、ダウンさせたりするのに合わせるように静と動を使い分け、ゆっくりと体を反らしていき、倒れないのが不思議な角度で維持させると歓声が上がる。


 反らせる反動で胸や際どい場所を期待するスケベ野郎が飛び付くように正面に廻り、生唾を飲み込んで見守る。


「見える……!! ああっ!!」


 下乳がチラリと見えた所で姿勢を戻す少女に悔しそうに舌打ちする音が響く。


 胸を抱くような動作で腰を魅惑的に揺らし、悔しがる男達に手招きするようにして艶っぽく笑ってみせ、ウィンクすると男達は熱い吐息を洩らす。


 背後で音を奏でる男女のテンポが徐々に早くなっていく。


 それに合わせるように踊る少女もテンポを上げると胸を覆う薄布も大きく動き始めた。


 それに歓声を上げる男達に微笑を浮かべる。


 今度こそは見てやるとばかりにヒートアップする男達の見逃した、と叫ぶ悔しげな叫び声が響き渡る。



 その光景を離れた場所で隠れて眺める旅芸人達より幼さが見える少年少女の姿があった。


 踊る少女を真剣な眼差しで見つめる褐色の少年が下唇を噛み締めながら苦々しく語る。


「何故、見えない……おおっ! 頭頂部を俺様の目が捉えた……ような気がする」

「はぁ、見える訳ないの。あの動きは戦う時の位置取りの応用なの。あんな分かりやすい行動をする相手に不覚を取るような人じゃないの」


 少しでも近寄ろうと本能が訴える褐色の少年、デングラの襟首を掴んで行かさない赤髪の少女、スゥが呆れるような声を洩らす。


 デングラが熱い視線を向ける相手はホーラである。


 ちなみに後ろで楽器を扱っているのはテツと梓であった。


「しっかし、ホーラ姉、あんな踊り出来たんだな?」

「ん、ホーラ姉さんとポプリさんの2人がホーラ姉さんのツテで色街で踊る仕事をしてる人から習ってた」


 以前、アリア達が冒険者見習から冒険者になる本試験を心待ちにしている頃、2人が習いに行ってる事にアリアとスゥは気付いた。


 本当は2人も勉強しに行きたかったが、冒険者に成り損ねたら雄一にどんな顔をして会えばいいか分からなかった2人は諦めた。


 まるで別人のような妖艶な少女に変身しているホーラを見つめる2人は悔しそうに口をへの字にする。


「やっぱり両立させるつもりで行くべきだったかもしれないの」

「同意」


 その女としての艶を出す術を知る機会を逃した事が悔しいらしい。


 同じように見ていたダンテは頬を引き攣らせながら呟く。


「あれって本当にホーラさんだよね? 化粧って怖い。楽しそうな笑みを浮かべてるからといって内心はどうか分からない良い例を見た気分だ」


 震える体を抱くようにするダンテの耳に、いや、この場にいる者達にもレイアの呟きを捉える。


「アタシも化粧したら綺麗になるかな?」


 レイアが見た目、女としての容姿についての発言をする事が珍しくてダンテが目を丸くするが、アリアとスゥは少し嬉しそうに目を交わし合う。


 そんな事は知らないデングラは何でもなさそうに口にする。


「なるだろうな。だが、レイアの場合、見せる相手が男か女で変わると俺様は思うな」


 一切、ホーラから、いや、見えない何かを求める求道者のように真摯に見つめ続けるデングラが言うのを聞いたレイアがドモリ気味に聞いてくる。


「お、男の場合は?」

「むぅ、見えない……いやいや、そうだな、レイアは健康美人になるタイプだから肌を綺麗にする化粧水だけでもいいと思うぞ。してもナチュラルメイクだな」

「さすがデングラ、伊達にスケベじゃないの! ダンテもだいぶ鍛えたけどその領域じゃない」

「しかし、女としてどちらに寄せるかは永遠の議題……」

「僕の場合、荷物持ちと実験台の間違いだよね?」


 デングラの言葉に感銘するアリアとスゥにその内にあった発言に疑問を呈するダンテ。


 ヒースと生活をするようになり、自分が漸くアリア達に実験されてると疑惑を持ち始めた遅すぎる12歳の少年。

 姉があんな感じなうえ、育った環境が勘違いを誘発させていたが変な所で鈍いダンテであった。


 当然、反応を示さない2人に肩を竦めているとサラミを食べていたミュウがホーラ達がいる方向と反対側を指差して声をかけてくる。


「動いた」

「早くないか!?」


 ミュウの言葉に反応したレイアが指差す方向に目を向けると「急げ、巡回が来るのに15分とないぞ!」と叫ぶ男の兵士が消極的な態度はするが付いて行く満更そうでもない相棒の男に呼び掛ける。


「ばれたらヤバいぞ?」

「すぐに戻れば問題ないだろ? お前は見たくないのか? 見てる奴等のあの興奮度合いから相当な美人だぞ?」


 そう言われて、しょうがないな……という態度を見せる男が親指と人差し指で少し隙間を作って「少しだけだぞ?」と言うと頷き合うと走り出してホーラが踊る場所へと向かう。


 その兵士達を見送るレイアは踊り出して10分も経たずに離れた場所で警備してた兵士を引き寄せるホーラに驚嘆し、アリアとスゥは男の馬鹿さ加減に半眼になるのを抑えられずに肩を竦める。


「由々しき問題だ。俺様が国王になる時は模範になり、兵士の育成をせねば!」

「……無理だと思うよ。反面教師になるなら成功だろうけど」


 言ってるセリフはまともだが、グヌヌゥ! と唸りながらホーラの艶姿を覗くデングラに模範になるのは可能には見えない。


 その兵士達が行くのを見た他の見張り達も我慢できなくなったようで見張りを放棄していく姿があちらこちらで見られた。


「でも、ホーラさんの威力は半端ないね。予定よりだいぶ早いけど第一段階始められるよ」


 魔物の住処になっているのは王宮の地下で、そして、そこにはデングラの妹が生贄にされる祭壇もあった。


 しかし、ホーラ達が確認した限り、ばれずに侵入するのは不可能で切り崩しが必要になった。


 なので1つの門の前に立つ兵だけでも引き剥がせたら、と期待した作戦であったが……


「まさか裏口から無警戒に歩いて入れる状況になるとは思ってなかったの」


 そのスゥの言葉にダンテも苦笑いが漏れる。


 見つめる入る予定で張っていた場所の裏口の兵士が全て居なくなっているの肩の力が抜ける思いで見つめる。


 ホーラの魅力が高いと判断するべきか、ゼグラシア兵の質の低さを疑えばいいのかは微妙である。


「男は馬鹿ばっか」

「あはは……でも結果オーライだよ。行こう、このチャンスを逃す訳にはいかないしね」


 そう言うダンテが歩き出すとアリア達も付いて行くが動かない人物がいたデングラであった。


 ホーラの方向を見つめて「もうちょっとで見えるのに!」と悔しがるデングラである。


 今更であるが50m以上離れているのに見える、見えないと言っているデングラの目か、もしくは、エロパワーに恐れを感じるダンテ。


 そんなデングラに持っていたサラミを全部、口に放り込んで咀嚼するミュウが告げる。


「デンを見るホーラの目に殺気が宿り始めた」

「ば、馬鹿な! あんな沢山に囲まれてる上に明るい所から暗い所にいる俺様を視認出来てる訳が!」


 不可能だ! と断じるデングラであるが、この距離で見える、見えないと騒ぐお前が言うな、とアリア達の心の声がシンクロする。


「ホーラ姉さんの目を舐めちゃ駄目。口の動きも見えて、それから話してる内容も把握してるはず」

「……マ、ジ、で、す、か」


 目を泳がすデングラにアリアは頷いて見せる。


 デングラはここに来る前にホーラに3度、死んだお婆さんと会ったかもしれない体験をさせられていた。

 アリアがいなければ3度の経験もせずに1度して帰らぬ人になっていただろう。


 ホーラが今、着てる衣装を縫い合わせて試着するのを覗く勇者がいた。


 当然、そんな馬鹿はデングラだった訳だが、2度、体験しても懲りずに頑張り、最後は脳天に軽くナイフが刺さる体験をして漸く学習した。


 3度目の治療をしたアリアは語る。


 さすがに助からないと思った、と……


 それを思い出したらしいデングラが身震いをするのを見て、ダンテが話す。


「今すぐ動けば、大袈裟な事にはならないってホーラさんも鬼じゃないから……鬼より怖いかもしれなけど……」

「ぐぬぅぅ!……後、1回だけ!!」


 踵を返して見に行こうとするデングラの襟首を掴むミュウ。


 掴まれたデングラがカエルが潰れたような声を上げる。


「もう時間ない。見に行ったヤツ、後ろを気にし出した」


 ずるずると引きずって裏口に向かうミュウの仕事ぶりに満足そうに頷き、着いて行くアリア達。


 デングラは玩具売り場から引き剥がされる幼児のようにホーラがいる方向に両手を伸ばして悲しそうに呟く。


「ああ……俺様のオッパイが……」


 そう切なそうに呟くデングラに「お前のじゃないだろう?」と突っ込まないのはアリア達の優しさ、ではなく、当然、相手にするのが面倒だったので放置して裏口に向かった。

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