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295話 焦燥と伝わりだした結果らしいです

 今日は変則時間更新だぁ!


 ごめんなさい、嘘です(泣)

 友達とご飯食べに行ってて帰ってくるのが遅かったから書くのが間に合わなかっただけでつ(号泣)

 早朝、欠伸を噛み殺しながら玄関のドアを開いたダンテは息を飲む。


 ドアに向かって手を伸ばした状態で倒れているスゥの姿を発見した為である。


 慌てて駆け寄ったダンテはスゥを抱き起こすと完全に意識が飛んではいるが息をしてる事にホッとする。

 だが、呑気に見てる場合じゃないと家の中に向かってアリアを呼ぶ為に大声を上げた。




 アリアを呼んだ後、アリアの指示でスゥを部屋に運んで、しばらくするとアリアと共に一緒に出てくるスゥも出てきた。


 スゥの姿を認めたダンテが声をかける。


「スゥ、大丈夫かい?」

「ごめんなの、少し気を抜いたら寝ちゃったみたい」


 その言葉を聞いたダンテだけでなく、ミュウとポロネ以外が膝から力が抜けるように膝を着きそうになる。


「分かります、分かります。私もちょっと油断すると歩いてる最中でも寝ちゃいそうになりますから!」

「いや、そんな愉快な事が通常なのはアンタだけだから?」


 ポロネが仲間だとアピールしてくるが、レイアに半眼で見つめられて、おかしいのはアンタだけ、と言われる。


 レイアの物言いに拗ねたポロネがダンテに抱き付いて泣いてくるので、困った顔をしながら頭を撫でつつ、スゥの隣に居るアリアに聞く。


「スゥはそう言ってるけど、どうなの?」

「ん、体に問題はないのは本当。ただのマインドエンプティになっただけ」


 そう言ってくるアリアが、「ダンテも体験済みのはず」と言われて頷く。


 このパーティでダンテとアリアは魔法を良く使うので、使い始めには加減が分からずに気を失うように倒れてた。


 しかし、スゥは生活魔法ぐらいしか普段から使わないうえ、それなりに使い慣れてるのにマインドエンプティになったのが不思議に思う。

 何より、生活魔法は魔力消費が物凄く小さいから余計である。


「スゥ、何をしてたのかな?」

「……ただの付加魔法の練習なの。昨日、ホーラさんが来た時にちょっとその話になって使えるようになった方がいいと思ったの。それで、しばらく基礎訓練以外は魔法を重点的にやろうと思うの」


 そうスゥが言ってくるがなんとなくシックリこないダンテにアリアが近づいてくる。


 アリアはダンテを少しスゥから離れさせようとしたがポロネが邪魔だったのでデコにチョップを入れる事でダンテを連れ出す。


 声を上げて泣くポロネを弱った顔で見つめるダンテに良く分からない自信を漲らせるミュウが、任せろと言いたげに胸を叩くとポロネの下に向かった。


 アリアはミュウに託したと言わんばかりに見送るとダンテに話しかけてくる。


「スゥ、少し嘘を言ってる色してる。でも、問い詰めてもきっと話さない。しばらく様子見た方がいい」


 ダンテも嘘とは言わないが、本当の事を話してくれてないと感じていたので聞き出そうと思っていた。

 だが、普段から一緒に居る事の多いアリアが様子を見ようというのは、そこまで緊急性がある状態ではないのかもしれないとダンテは判断した。


 ダンテはスゥの下に戻ると


「今は細かく追及はしないけど、マインドエンプティは体力が尽きて倒れてるのに似てるようで違う。一歩間違うと本当に死んでしまう事が多い状況なんだ。ここにはシホーヌさんもアクアさんもいないから、深刻なマインドエンプティになったら命に関わる事を忘れないで?」


 心配するダンテはスゥの目を見て訴える。


「ありがとうなの。無茶はする気はないから安心して欲しいの」


 申し訳なさそうにはしてるが目が止める気がない事を汲み取ってしまったダンテとアリアは頑固な仲間に苦笑する。


 仕方がないと諦めたダンテであったが、本日の早朝訓練だけは休むように言い聞かせて、ダンテ達はいつもの訓練に出かけた。





 冒険者ギルドでの仕事を終えて、夕食を食べている時の事である。


「そういえば、今日、ダンガから職人の先発隊が来たのを見たよ」


 食事をする手を止めてヒースが思い出して、そう言ってくる。


 同じように食事をする手を止めたレイアがヒースの言葉に追従してくる。


「食ってから話そうかと思ってたけどいいか。今日、アタシ達は山で栽培する為の開拓の依頼を受けてたんだけど、そこにアイツ、キッジがやってきたんだぜぇ?」


 スプーンを咥えながら嬉しげに笑うレイア。


 それに驚いた風のアリア達であったが、スゥが代表するように言ってくる。


「確か、ダンガで薬草の栽培の改良のプロジェクトチームにいたと思ったの。ああ、レイア達がしてた開拓は薬草畑になるの?」


 スゥの疑問に頷いてみせるレイアは過去のライバルであったキッジが立派になってたと付け加える。


 レイアがスゥ達以外の事で誇らしげに語る少ない人物がキッジであった。


 幼い頃のレイアはキッジと野菜の栽培で争った事があり、その結果、お互いに認め合う存在になった。


 そんな相手がペーシア王国を建て直す人物に選ばれる程に成長してる事を知れば嬉しいと同時に負けてられるかとやる気を溢れさせてる。


 レイアから見れば、凄い友人ぐらいだろうが、キッジは薬草栽培に関しては、プロジェクトチームの中でも抜きんでている。

 雄一のテコ入れに対する本気ぶりが分かるような人選であった。


「確か、鉱物資源が売りにできないから違うモノを、と言ってたのを薬草栽培や農業でやろうという事みたいだね」


 ダンテもキッジなら納得だ、と頷く。


「でも、だいぶ減ったと思った5の雑用依頼が急激に増えた理由も良く分かった」


 思い出すように口をへの字にするアリアが、「頑張って減らしたのに……」とぼやくのを聞いて、みんなが笑う。


 だが、ダンテは先発隊が来て雑用依頼が増えたが、おそらく、自分達以外も受ける者が増えて落ち着くような気がしていた。


 ペーシア王国に先がないと諦めて出て行った出戻り組は勿論、今後、活発に活動してくれる商人、職人に顔を売る為に率先して仕事を受けるのではないかと思うからである。


 やはり、誰がやってもいい、という依頼であれば普通に掲示板に貼られるだろうが、指名、冒険者ギルドの査定で信を置ける者に頼みたいというなどの理由をつける実入りの良い仕事を手にする為には頭が廻る者は先行投資とばかりに動くだろうからであった。


「多分、増えた以上にしばらくは減る状況になると思うの」

「えっ? なんでだよ? 確かに、アタシ達以外にも受ける奴は出てきたけどそれ以上に増えたんだろ?」


 レイアがアリアを見つめて問うとアリアはコクリと頷く。


 レイアの言い分も分かるが、スゥも同じ事を思っていた事を知ったダンテは自分の考えがそう間違ってない事を自信をつける。


「多分ね、僕達が雑用依頼を受け続けて、街の人から指名を受けて実入りの良い、それこそゴブリン退治よりやりたいと思えるような報酬を受け取ってる話が拡散し出したからだよ。でも、普通に雑用依頼を受けて貰えない。ならどうしたら貰えるかと考える人が増えてるからだよ」

「ああ、なるほど、信頼を積み重ねる事が必要と理解できる人が、今まで横暴にして底辺になってた住人の依頼は受け辛いけど、新しくやってきた商人、職人相手なら信頼がゼロスタートできるから必死に受けて、片手間に元々の住人の依頼を受けるんだね?」


 ダンテの言葉で理解に至ったヒースが納得して答えながら、今まで敢えて雑用依頼ばかり受けてた成果がこんな形で出てくると思ってなかったと破顔させる。


 2人の説明を聞いていたレイアがアリアのように口をへの字、眉をハの字にして呆れるように言う。


「2人の言葉で良く分かったけど、それって凄くセコイよな? 利益をチラついたから競うように新しい奴等に媚を売って、元々、住んでる奴等には心入れ替えたとアピールするんだろ?」

「気持ちは分かるけど、どんな高尚な訴えをしても響かない人は沢山いる。こういう形になって分かり易くされないと動かす事ができないのが現実だよ」


 ダンテの言い分は分かるが腹が立つらしいレイアが拗ねるようにテーブルを叩くのを見たアリアがボソッと言ってくる。


「そう分かったら、少し離れて見るように考えると私達もあまり変わらない。一番偉いのはユウさん」

「あはは、本当にその通りだよ。僕達も自分達のやりたい事をしたいなら、と縛りを付けられてなければ雑用依頼を受けなかったから分からなかっただろうし、レイアも現地の冒険者相手に喧嘩してでも討伐依頼受けてたんじゃない?」


 ダンテに痛い所を突かれたレイアは言い返したいけど言い返せないと悔しげに唸るのをみんなに笑われる。


 レイアが代表で笑われたが、みんな気付いている。


 自分達も大差ないと……


「はぁ、お父さんが凄く嬉しそうに語るユウイチさんと話してみたいのだけど……」


 ヒースがみんなに伺うように聞くが、ポロネを除いた全員が腕をクロスさせて×を黙って見せてくる。


 それを見てたポロネが嬉しそうに手を上げて言ってくる。


「私、私も良く分からないけど会ってみたいです!」

「言われてる僕も良く分からないけど……どっちにしてポロネは会う事になると思うよ?」


 便乗したいだけじゃないだろうか? と思わせるポロネに苦笑いが漏れるダンテであったが言葉通りに会う予定はあった。


 昨日、ホーラが来た時に事情を告げて、今、雄一がしてる事が一段落したらポロネの事を調べて貰うように伝えてくれると約束してくれたからだ。


 良く分かってないポロネは喜び、相も変わらずヒースは駄目と言われる事に項垂れる対照的な2人を見るダンテ達が楽しげ笑う食事は続いた。





 みんなが寝静まった頃、家の裏の崖上には昨日と同じく、スゥとハクの姿があった。


「これでも私も暇じゃないわ。今日、明日で入口をマスターしなさい。出来なければ諦めるのね」

「やってみせるの!」


 そう言うスゥはハクに指を突き付け、光文字を書き始めた。

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