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幕間 幼くても女の子

 幕間はもう1本あります。

「ホーラ姉は~鬼軍曹~!」


 レイアがそう口にすると残る子供達が「オニ、オニ、オニ」と力なく掛け声を口にする。


 ホーラの情状酌量の余地も与えない罰ゲームのマラソンをさせられいる子供達であった。


 勿論、罰を受ける理由は分かるし、与えられた事を文句を言えたスジではない事ぐらい子供達も理解している。


 だが、黙ってられるかどうかは別の問題である。


 しかも、ここでならホーラの耳に入る事はないとばかりに言いたい放題である。というより、そうでもしないと気力が持たないようだ。


「ホーラ姉さんはそろそろ諦めるべきっ!」

「そうなのっ! これからは私達のターン。私達には未来があるの!」


 それを口にするアリアとスゥの言葉を聞いて、近くにいるダンテは頬を赤くする。

 これだけのセリフで何故そうなるのかというと、3周目の会話であるからである。


「ホーラ、お風呂でいつもオッパイ揉んでる。でも、無駄」


 相変わらず、言葉にオブラートを包まないミュウが胸を張って続きを口にする。


「来年ぐらいにはミュウがきっと勝ってる」


 残酷な事実であるが、成長が早いビーンズドックであるミュウは既にホーラに迫る胸のサイズになりつつあった。


 それを見て、ホーラが何度舌打ちしたか知れない。


 確かに、ホーラの心を抉る術としてはこれ以上に効果的な事はないかもしれないが、ダンテは勘弁して、と言いたい。


 ダンテもそろそろ、女性に夢を見たいお年頃に突入する頃だが、若干、同じ年頃の他の子達よりは現実的な視線では見ている。


 アリア達を見て、現実的に成らざる得なかった部分はあるが、幻想と分かっても夢を抱きたいと思うから色々控えて欲しい。


「そう、これから、私達の時代。勝つのは私達」

「もうお母様も落ちるだけなのに、意外としぶとく頑張ってるの。早くホーラさん一人を相手に戦いたいのに困ったモノなの」


 アリアとスゥにとって他の面子、人外のメンバーは敵対しなければ共存できると思っている。


 だが、ミレーヌやホーラに関しては共存できない可能性が見え隠れする。独占を狙っている予感がするらしい。


 理由は女のカンだそうだ。


 これからも余計なライバルが増えるのを2人は手を取り合って阻止していく事を誓っているが、くるかどうかも分からないライバルより、もっと厄介な存在がいるのをこの2人は忘れていた。





 それからもホーラの悪口を言い続ける子供達は凄まじい体力である。


 だが、ダンテはだいぶ前から口を閉ざして走る事に専念していた。


 この面子では一番体力がないからである事も事実であるが、アリア達の赤裸々トークに精神力をガリガリと削られて必要以上に疲れていた。


 アリア達もあれだけ話をしていたら、体力はかなり疲弊しているはずだが、気力で体力をカバーしてるらしい。


 そんなダンテが石に躓きこけた。


 一度倒れると疲労が一気に襲いかかり、立ち上がれなくなっているダンテにみんなが集まる。


「ぼ、僕を置いて先に行ってくれ……」

「馬鹿野郎っ! アタシ達だけ先に行っても意味がないんだ! いつもなら喜んで放っていくが、1人でも遅れたら連帯責任なんだからな?」


 そう叫ぶレイアはダンテの為というオブラートも使わずにストレートに本音をぶちまける。


「そんな根性無しでは、ホーラ姉さんのように未来のない胸の嫁を貰う事になる」

「いや、胸は関係ないんじゃないかな? テツ兄さんも言ってたし」

「テツのは負け犬の遠吠え」


 しれっとティファーニアもディスるミュウ、意外と酷い。


 そして、「頑張れ」と気付のつもりだと思われるがマウントを取ったミュウがダンテを殴打する。


 それを見たスゥが慌てて止める。


「そんな事して立ち上がってくるのはテツさんだけなの。ああっ、ダンテが終わったみたいな顔して気絶してるの、アリア、レイアお願い」


 頷く双子は、ダンテに近づき、レイアはダンテの背中に膝を当てて両腕を引っ張る。

 すると、カエルが潰されたような声を上げるダンテに回復魔法を行使するアリア。


 なんとか意識を取り戻したダンテをミュウが手を引いて起こす。


「なんだか、とんでもない目に遭わされたような気がするんだけど?」


 一時的な記憶喪失になったらしいダンテは首を傾げながら悩む。


 みんなを疑うような目を向けるダンテに誰も目を合わさない。


「さあ、時間が惜しいの。急いでダンガに戻るの」


 スゥの掛け声と共に女の子達は走り出す。


 腑に落ちない顔をしながらもダンテも女の子達に追従する。





 それからは黙々と走り続けた子供達は朝日が昇る頃、遠目にダンガの城壁を捉える。


「みんな、ラストスパートだ。アタシに続けっ!」


 体力馬鹿のレイアが号令を上げるとまだ余裕のあるミュウはあっさりと横並びになるが、体力のないアリアとダンテ、そして、身に着けている装備が重くて体力を消耗してるスゥの3人は必死の形相で速度を上げる。



 そして、1時間後に家に到着した子供達は引き続いて罰ゲームの第2シーズンのお報せを聞いてその場で突っ伏したようである。



 罰ゲームが終わった後日、ホーラに走ってる間の悪口を全てを知られている事を子供達は命懸けのマラソンを受けて知る事になる。


「くぅ! 何故、ホーラ姉さんが知ってる……!」

「ホーラさんは、どれだけ距離があっても悪口は聞き逃さないの?」


 スゥがホーラの地獄耳説を力説する。


「そんな事より、僕は無関係なのに何で巻き込まれてるのっ!」

「つれない事言うなよっ!」

「そう、ミュウ達とダンテ、仲間」


 レイアとミュウに都合の良い時だけの仲間発言をされる。


 きっとそれを雄一が見たら、心の友よ、と叫ぶヤツかと笑ったであろう。



 結局、何故、バレたかの真実は子供達は知る事なかったそうである。

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       雄一の孫の世代             こちら亜人ちゃん互助会~急募:男性ファミリー~  どちらも良かったら読んでみてね? 小説家になろう 勝手にランキング
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