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170話 計算外? 震えだしたら止まらないらしいです

 やっぱり、なろうのシステムは良いみたいですね……

 原本がある、なろうで素直に更新するのが賢いのかな。同じ場所だと水増し感が半端ないから避けたかったけど(泣)

 ダンテ達の戦いを後ろから見守っていたアクアは少し焦りを感じていた。


 決してダンテ達が劣勢という訳ではない。


 むしろ、ダンテ達の一方的な展開になってきてる。このままいけば勝利するのはダンテ達で間違いはないであろう。


 そんな事を考えていると念の為にレイアのフォローの為に洞窟の上にいたシホーヌが隣に帰ってくる。


「これはちょっと危ないですぅ。村長達がやってくるまでにゴブリンキングを倒すのは苦しいですぅ」


 そう、これが時間無制限勝負であれば、2人も呑気な顔をして事故がないように祈る程度で終わっているだろうが、これには時間制限、村長達がやってくるまでという縛りがある。


 少し、危険を覚悟をする必要はあるがアクアはダンテに指示を送る。


「ダンテ、ミュウが帰ってきたら誰かを召喚陣破壊に出しなさい!」

「はい、分かりました!」


 そう指示をしたものの、それまでにゴブリンキングを行動不能に陥らせられたらとアクアは唇を噛み締める。


 スゥ達が前線でゴブリンキング相手に奮闘してるとレイアが飛び降りてきたところから躊躇もなく、むしろ跳躍して更に高い位置から落ちてくる少女の姿があった。


 ミュウである。


「がぅぅぅ!!」


 それを見てた皆が同じ思いで顔を引き攣らせる。



 『黙って飛びかかって奇襲しろ!』



 案の定、それに気付いたゴブリンキングが落ちてくるミュウにタイミングを合わせて、ロングソードを振り下ろそうとする。


 それにドヤ顔したミュウが空中を蹴ると乾いた音と共に真横に飛ぶ。


 生活魔法の風を利用した足場である。現状、ミュウが唯一使える魔法であった。



「もうっ! 不意打ちのほうが効果高かったのに! ミュウのバカァ!」


 背を向けたゴブリンキングの脇腹を切り裂くように突っ込むスゥ。


 モーニングスターで膝裏を強打させて膝を着かせるアリア。


 屈むゴブリンキングの延髄を蹴り抜くレイア。


 3人の連携攻撃を決めるとアリアとレイアは双子ならではの息を合わせたアリアは掬いあげるようにモーニングスターを振り抜き、レイアは逆立ちするように屈伸を利かせてタイミングを合わせて吹き飛ばす。


「「「ダンテ、今」」」


 アリア、レイア、スゥと声を受けたダンテはそれに備えて準備していた特大のウォーターボールにトドメだと言わんばかりに魔力を込める。


「いっけぇぇ!!」


 空中にいるゴブリンキングに特大のウォーターボールを放つ。


 それに直撃したゴブリンキングは後方にあった大岩に激突して岩は砕ける。


 さすがはゴブリンキングと呼ばれるだけあって、それでもふらつきながらも立ち上がる。


 それを見たダンテが叫ぶ。


「アリア、洞窟に行って召喚陣を破壊して!」

「全部壊さなくてもいいのですぅ。線を途切れさせるだけでいいのですぅ!」


 完全な破壊には至らないが、少なくともすぐに使える状態には戻せないからと、シホーヌはアドバイスを送る。


 2人の言葉に頷いたアリアは洞窟に飛び込んでいく。


 それを見送ったダンテ達は、ゴブリンキングのトドメを刺すべく、攻撃を再開しようとしたところで後ろから怒鳴り声が響く。


「お前ら、動くなっ!」


 顔を真っ赤にさせた村長と宿の女将を拘束した大男が現れる。


 震える宿の女将を見て、スゥが叫ぶ。


「どうして逃げなかったのっ!」


 スゥが合図を送ったタイミングなら、自分から近づかない限り、間違いなく村から逃げられたはずであった。


 だが、宿の女将はこうして拘束されていた。


「ごめんよぉ、村長達が無関係なら大変な事になると思って……」


 そう涙ながら宿の女将は言うが、結局のところ、スゥ達の言葉を信じ切れなかった。


 その結果、後から責任が自分に来るのを恐れた宿の女将は村長に逃げる事を知らせに来たというスタンスを取る事で自分に非がないと言える状況を求めたのである。


 これはスゥ達が頼りなく見えた事とスゥ達もブレてるような不安を感じてる判断を下し、断言するように言い切らなかった事が原因である。


 これが雄一であるなら言い切り、俺が全責任を持つと宿の女将を安心させ、言われた通りに行動させる事ができただろうが、ここでも経験、胆力の差が出てしまっていた。



 囚われた宿の女将を見ながらどうしたらいいか悩む子供達の耳に悲鳴が聞こえる。


 聞こえた方向に顔を向けるとレイアが叫ぶ。


「アリアっ!」


 レイアの叫び声と共にアリアが吹き飛ばされるようにして飛び出してくる。地面を転がり、ふらつくアリアは洞窟の入り口を睨みながら自分の胸に掌をあてて回復魔法を行使する。


 洞窟から出てきたモノを見てアクアが声を上げる。


「レッサードラゴン!」


 ぎりぎりドラゴンと名乗れる地竜に分類されるドラゴン。オークキングよりは弱いが決して弱い部類ではない。ほぼゴブリンキングと同等の強さを誇るモンスターである。


 アリアは出てくるレッサードラゴンに詰め寄られるだけ下がり、スゥ達と合流する。


 正面はゴブリンキングとレッサードラゴン、後方は人質を取った村長と大男。まさに後門の狼、前門の虎である。


 そんなスゥ達の優位にたったと自覚した村長がイヤラシイ余裕を感じさせる笑みを浮かべる。


「さあ、宿の女将を殺されたくないなら武器を置いて降伏しろ!」


 そういうセリフが出ると思ったとばかりに嫌な顔をするスゥが先陣を切って片手剣を地面に置こうとする。それに倣ってアリアとミュウも動こうとするがそれを止める大きな声が上がる。


「駄目だっ! 僕達が丸腰になったら宿の女将を助ける術がなくなる。これだけバレた状態で僕達は勿論、宿の女将を生かす理由なんかないんだから!」


 そう叫ばれた3人は、びっくりしたような顔をしてダンテを見つめる。ダンテがこんな判断を下すとは思ってなかった為である。


 止めたダンテに苛立った村長が叫ぶ。


「本当にいいんだな、降伏のチャンスは今しかやらんぞ!」

「そんな気もないのにあるみたいに言うな! そんな見え透いた手で騙されるほど、僕を鍛えた人は甘くないっ!」


 啖呵を切ったダンテの背後からゴブリンキングの断末魔が聞こえる。


「良く言った。その通りだよ、ダンテ!」


 慌てて振り返る子供達の目の前ではゴブリンキングは真っ二つにされ、レッサードラゴンをツーハンデッドソードをバットに見立てて振り抜いて洞窟の隣の壁に叩きつける。


 真っ白な髪に赤い瞳のアルビノのエルフのテツが安心したような笑みを浮かべて、ダンテ達を見つめる。


「間に合ってよかったよ」


 優しく微笑まれた子供達はテツの名を呼んで、安堵の息を零す。


 それを見た村長は焦って、後ずさりながら大男に声をかける。


「宿の女将をしっかり抑えろ、逃げるぞ!」


 そう言うと後頭部に固く冷たいモノを当てられる。


 村長の横目には蹴り飛ばされたと思われる大男が地面を滑るよう転がると恐怖に歪んだ顔をして洞窟のほうへと逃げ出す。


「まったく、リホウの使いが来て、とんぼ返りさせられたと思ったら、家の愚妹と愚弟は揃いも揃って……」


 カチューシャを着けた少女は宿の女将に手を振って、「逃げな」と告げながら、村長のケツを蹴っ飛ばし、大男と同じように地面を舐めるように滑らせると突き付けてた魔法銃を仕舞う。


 テツを見た時とは正反対の反応を示す子供達。


 震え出した体は止まらない!


 コメカミに青筋を浮き上がらせた、長女、ホーラが鬼のような形相で子供達を睨んでいたからである。


「ユウは言ったさ、「また今度」って、アレはアタイの聞き違いかい? それなのに勝手に依頼を受けて出て、この始末……」


 ホーラの鬼気迫る目力に呼吸も厳しくなる子供達は思う。


 これならゴブリンキングとタイマンしたほうがいい、と涙目で許しを請うように首を横に振りながらアクア達の方へと後ずさる。


「アンタら、アタイがユウのように甘いなんて夢にも思うんじゃないよっ!」


 そう言われた子供達は、心の底から、思ってませんっ! と叫んだが緊張から喉がカラカラになっており、空気が抜けたような音しか出せなかった。


 北川家、最恐の姉、ホーラの登場により、違う意味で更に危険になった子供達は身を寄せ合いながら涙を流した。

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       雄一の孫の世代             こちら亜人ちゃん互助会~急募:男性ファミリー~  どちらも良かったら読んでみてね? 小説家になろう 勝手にランキング
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