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152話 怒れる女王は怖かったらしいです

 男性諸君に言いたい。美人が怒るとすごく怖くないですか?

 バイブルは、毅然とした態度でお腹を見せて降伏する漢気がありますよ(笑)

 睨め上げるようにする第一王女、サラが女王、ミレーヌを怨嗟の籠った声で罵倒する。


「戦争に勝ったからと言って、いきなりな力で捩じ伏せるようなやり口とは底がしれましてよっ!」

「ええ、確かに良いやり方ではないでしょうが、貴方達側の予定通りに事が進めば、そうされてたのが私と家族だったという事でしょう。ですが、単純に勝手の理由で攻め込まれた憤りだけでやってる訳ではないのですよ」


 先程みせたはっきりした怒りはナリを顰めているが、淡々と語るミレーヌの言葉の端から滲む怒気のほうが恐ろしいと見ている雄一は思う。


 それにどの程度の認識が出来てるか分からないが一瞬飲まれたような顔をするサラ。


「まだ、ほんの数時間調べただけですが、よくこれだけの事をしておいた国の代表である私にそんな口が聞ける。いえ、それを今まで防げてこなかった私だから馬鹿にされるのは当然なのかもしれません」


 そのミレーヌの言葉を聞いたサラとネリートの表情が固まる。


 ミレーヌは、自分を先導した騎士風、おそらく近衛騎士に頷いてみせる。


 近衛騎士はミレーヌに一礼すると鋭い視線をサラとネリートに向け、手にしていた資料を片手に朗々と語る。


「第一王女サラ、廃薬製造の首謀者である事は調べがついております。第二王女ネリート、奴隷売買の代表という調べも同時についております。まだ調べが完全ではありませんがこれから念入りに調べてさせて貰います」


 言葉尻は丁寧だが、意思の力で捩じ伏せて言っているのが分かる。です、ます調にするのに必死感が伝わってる為である。


 顔を青くする2人を見つめるミレーヌは嘆息する。


「まさかバレないとでも思っての強気な態度だったのですか? ああ、お二人は国外逃亡を計ろうとされた時に証拠隠滅したつもりになってたんですよね。その証拠隠滅された時、燃やしたモノが何かは確認されました?」


 ミレーヌは冷笑を浮かべながら玉座に肘立てに立てた手に顔を載せる。


 近衛騎士に目を向けるミレーヌの意図を受け取るとサラとネリートの前に書類の束を叩きつけるように放る。


 それを見た2人は驚愕な表情を浮かべて、思わずといった感じでネリートが「何故、ここに……」と呟いてしまう。


「貴方達が処分したと思った書類は貴方達の国の歴史を書いた本から外された紙ですよ」


 ゆっくりと腰を上げるミレーヌは「捨てる国の歴史まで処分する徹底ぶりには頭が下がります」と冷笑しながら続けて口を開く。


「戦争が始まる前の段階で気を利かせてくれた方が、こちらに草を放ってくれていましてね。浮足出した貴方達の目を掻い潜って集めてくれたんですよ」


 チラッと雄一を視線を一瞬向けた後、すぐに冷たい眼に戻りサラ達を見つめながら近寄っていく。


 ミレーヌの視線に気付いたホーラが小声で雄一に問う。


「ユウ、何かした?」

「ああ、リホウにできないかと聞いたら、手を打って成果を上げて女王に届けたとは聞いている」


 それを聞いていたホーラとテツは、リホウという男の恐ろしさの認識が甘い事を思い知らされる。


 普段、ヘラヘラ笑いながら雄一に泣きを入れられ、ヒィヒィ言いながら仕事しているイメージが強い。だからどうしても、できる男というイメージしづらかったが、今後は間違っても舐めてかからないようにしようと2人は顔を見合わせる。


 それを見ていた雄一は、この2人はその警戒心を逆手に取られてリホウに良い様に振り回されるだろうと思う。


 だが、リホウがこの2人を立ち直れないほどの事はしないと信じる雄一は良い勉強になるだろうから何度も騙されてヘコまされるといいと心で思い笑みを浮かべる。


 そんな雄一達のやり取りをよそに、近づいていたミレーヌは床にある書類の一枚を取り上げてサラに突き付ける。


「サラ王女、貴方は、廃薬製造してお金儲けするだけではなく、色んな薬品を作る事にも精力的だったようですね? 例えば、その薬を使われてると否定的な思考にならない、何でもイエスと答える人形にする薬とか、打ち続けると寿命が縮まり、最後には骨も残らないという薬と呼ぶのも汚らわしいですね」


 それを聞いた雄一から殺気が漏れる。


 声は出ていないが動く口がこう言っている。


「お前かっ!」


 ミレーヌの言葉を聞いただけで雄一はミュウの両親に使われた薬であると理解する。


 殺気をピンポイントで食らったサラは引きつけを起こし口から泡を吐き始め、失禁し出したので、ミレーヌは雄一が何かをしてると察知して目配せを雄一に送る。


 ミレーヌの視線に気付いた雄一は殺気を収める。


 解放されたサラは白目を剥いてピクリともしないのに隣で抑えつけられたネリートが悲鳴を上げる。


 近衛騎士がサラの容態を調べる為に首筋に指をあてる。そして、ミレーヌに振り返る。


「命には別状ありません」

「それは良かったです。例のモノを取り付けて退出させて閉じ込めておきなさい」


 漂う臭気に眉を寄せるミレーヌは兵に引きずるように連れて行かれるサラを見送った後、隣で抑えつけられているネリートを見つめる。


「さて、貴方のお姉様は退出してしまいましたが、貴方が消そうとして証拠を前にして何か仰いたい事がおありですか?」


 そう聞くミレーヌから忌々しそうに視線を切る。


 姉のサラがどうして、あんな風になったかは分かっていないが気位だけは高いようで虚勢を張る。


 その様子を見たミレーヌが近衛騎士に頷いてみせる。すると、近衛騎士はネリートの傍にくると首輪のようなモノを取り出す。


 それを見たネリートの表情が激変する。


「止めなさい、それが何か分かって……」

「勿論、分かってますよ。貴方が指示して魔法学者達に作らせたモノという事はね」


 冷たい目で見下すミレーヌは、近衛騎士に目配せをする。


 それに返礼した近衛騎士がネリートに首輪を持って近寄り、取り付けようとするとネリートが必死の形相をして暴れようとするが兵士に抑えつけられて身動きが取れない。


「止めなさい、止めろと言ってるでしょっ! お願いだから、それだけは止めてぇ……!」


 涙を流して懇願するネリートは顔立ちが良いだけに酷く醜くなったように見えた。


 その様子に憐憫の表情すら浮かべない近衛騎士が無表情に首輪の装着を終わらせる。


 着け終わるのを見守ったミレーヌは兵に拘束を解くように伝える。


「ご自身が作らせたから良く理解されていると思いますが、無駄な抵抗はされないほうがいいと思いますよ?」


 涙目ではあるがミレーヌをキッと睨むネリートは叫ぶ。


「この人でなしっ!」

「その言葉は貴方に言われても痛くも痒くもありません。では、質問をします。貴方は我が国の国民をどれくらい奴隷として売り払い……何人、生き残ってますか?」


 静かに問うミレーヌの言葉を聞いたネリートは口を閉ざして顔中に汗を浮かせる。


 すると黙秘して1分もしない内にネリートは絶叫しながら床をのた打ち回る。


「駄目じゃないですか、質問された事はちゃんと答えないと。それを製作された貴方なら知ってたでしょう?」


 片手を頬にあてて冷笑を浮かべるミレーヌはのた打ち回るネリートを見つめる。


 涙、鼻水と垂らすネリートは、濁音で叫ぶように痙攣を続ける。


 そんな様子を見て困った顔をするミレーヌに近衛騎士が進言する。


「女王陛下がお止めになられないとずっとこのまま痛みを与え続ける事になりますが?」

「あら、そうだったわね。うっかりしてたわ」


 かなり棒読みで本当に忘れてたのかアヤシイが誰もそれを突っ込む者などいない。


 必死に手を伸ばして、止めて欲しそうにするネリートに「何か仰いたい事がありますの?」と止める動作を止めて聞き耳を立てる。


 そして、反応が鈍くなってくると溜息一つ吐くと指を鳴らす。


 襲いかかる痛みが引き、荒い息をするネリートを見下ろして笑みを浮かべるミレーヌは再度質問をする。


「もう一度、質問します」

「し、知らない。正確な数字なんか把握してない。男女合わせて1000人はしてないとしか、生きてる数とかも売り払った後まで管理してない!」


 このやり取りを見ていた雄一はアグートの事を思い出すが、いくら、アクアに迷惑をかけないためだったとはいえ、少々甘かったかもしれないと少し後悔する。


 もうペナルティを伝えにリホウを出しているし、吐いた唾は戻せない。


 時折、嫌がらせのように顔を出す事でアグートのトラウマを抉る事で勘弁する事にする。


 そう叫んだネリートに底冷えするような声で「そうですか」と返事すると兵士にサラと同じところに閉じ込めるように伝える。


 連行されるネリートの背中に声をかける。


「貴方のお姉様にも伝えておきなさい。貴方達は簡単に死なせて貰えると思わないように。人として、女としての尊厳を徹底的に叩き潰すまで死ねると思わないように」


 その言葉を聞いたネリートが子供のように大泣きしながら部屋から退出する。



 今までのやり取りを見ていた雄一は、若干、アリアとミュウを連れてきた事を後悔した。


 だが、横に目を向けるとしっかりと見つめている2人を見て、どこまで理解できてるか分からないが強い子だと目を細める。


 そして、ミュウが、「パパ、ママ」と呟くのを聞いて、想像以上に理解していると分かり、雄一は黙って頭を撫でる。


 本当に自分がこういう時に無力だと感じさせられる。傷ついているこの子達を癒してやれない。ただ見守る事しかできない自分に苛立ち歯痒い。



 そんな雄一をよそに女王の話は進む。


「さて、第三王女、コレット。第四王女、シルフィ。貴方達の扱いは、この後、この国を任せるポプリ王女にお任せしましょう」


 ミレーヌは振り返るとポプリに頷いてみせると玉座に戻る。


 玉座に座るミレーヌに一礼したポプリは毅然な態度で前に出た。

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