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魔者転生~三つ巴の戦い~  作者: タカマツ
1章 始まり
7/30

脱獄(プリズン・ブレイク)

今回長いです、そして説明回

避けては通れないながらも説明多いです

でも王道要素盛りだくさんです!

一気に詰め込み過ぎかなーと思いつつ書き込んでしまいました

 結局町に着くまでの間試行錯誤したが成果は得られず檻の中で過ごすことになった。かといって何もせず捕まって居ただけではない。

 正直今の俺ではこの世界を生き残るのは厳しい。レベルは最弱であるし、自分のスキルすらよく把握出来てない。情報が足りなすぎる。


 俺は小さい頃は内向的で家に篭ってひたすらゲームをして一日を過ごす様な子供だった…それが忘れもしない中学生の時だ、あいつらに出会った。

 それまでの生活とは一変して俺はあいつらに怒られては外に(無理やり)連れ出されるようになった…凄く嬉しかったのを今でも覚えている。

 そこで多少は外にも目を向けるようになったのだから友達って大切だよ…まあ逆に彼らをゲームの世界にのめり込ませたのは俺だったんだけどね。



 そんな経験から言わせてもらうとこの世界の難易度は相当高い。なにせゲームの様な世界にでいきなり(チュートリアル無しで)放り込まれた様なものだ。

 まあ一度死んだと思えば寧ろラッキーだろう。文句なんて口が裂けても言えないよな、この世界はいわば二度目の人生(猫生)なのだ簡単に終わらせたくはない。


 幸いなことに俺は有利に戦闘を進める事が可能なユニークスキルを身につけている。【観察眼】相手のステータスを覗き見ることができる、これは非常に戦闘で有利に立ち回れる。何より強さが全てのこういう世界では絶対的な強者との戦闘を如何にして避けられるかが鍵となる。

 ゲーム脳な俺にはこのスキルは非常に便利だし、有効に活用できる自信がある。


 

 さてと…先ずは戦闘に役立ちそうな情報から得なければと子供たちに質問を投げ掛ける。その点に関しては四人(主にアービィンから)に道中聞くことができた。


 俺は先ずこの世界の仕組みの部分を紐解くように聞いていった。


「アービィン達は自分の能力値とかレベルって知ることはできるのか?」


 自分で言ってて凄くメタイ発言だと思う。そもそもその言葉自体がこの世界の住人に通用するのだろうか?


「はい、自分の能力値なら皆確認できます、えーと…貴方も見れますよね?」

 なにやら口篭るアービィンを見て初めて気づいた、そういえば俺はまだ名乗ってなかった、色々あったせいで完全に忘れていた。

 しかしこの姿格好で蒼紫ソウシという名前もどうなのか?と疑問に思ってしまった。うーん別に異世界だしちょっとかっこいい名前にしたいとかそういう訳ではない。だが折角だし少しくらい遊び心があってもいいんじゃないだろうか?

 どうせこの世界では戸籍名簿なんてものはないだろうし偽名だろうと名乗ってしまえばこっちのものだろう。

 そしてふと思い出した生前の飼い猫の名前…それでいいか、と安直に答えてしまった玲音レオンと。


 咄嗟にしてはレオンなんてかっこよすぎて名前負けしてるんじゃ?

 いやかえって中二病っぽいのだろうか?

 そもそもこの世界の一般的な名前なんてわからないし、そこまで悩んでも仕方ないか…と思考を放棄する。もう言ってしまったのだから取り消せないしな。こそっとステータスを見てみるとしっかりと名前が変わっていて驚いた。


 どうやらレベルの概念はあるようでますますゲームの世界みたいだがおおよそのこの世界のレベルに関しては聞くことができた。

 一般的なレベルの基準は思った以上に低いようだ、子供が1~3、大人でも戦闘経験が全くなければ3レベルでもおかしくないらしい、そんなものなのか?と思ったが魔物が住まうこの世界では町には城壁があるのが当たり前で城下町で暮らす普通の民にとって戦闘経験を殆ど積むことなく過ごす人もいるらしい。


 逆に戦闘経験を得られれば子供で10レベルといったレベルになれるようだが、それも滅多に起きない、そこまで鍛えられるのは親が金持ちで訓練を積むことができる子供や村に住んでいて日々命と隣り合わせの生活をしているような子供くらいだろう。そう聞くとアービィンのレベルは高い部類に入るのだろう。


 経験というのは戦闘で基本的には得るのだが、倒した際だけではなく戦闘中にも若干の経験値が入るそうだ。それを実践経験値というらしい。この辺がゲームとは違う様だ、詰まりは模擬戦闘など相手を倒さないような訓練でも戦闘の経験として経験値がもらえるといった感じだ。勿論倒した際の経験値の方が多いみたいだが。

 そしてスキルこれは相当な種類があり鍛錬の末に身につけたり師や他のものに教わるなど様々な方法で習得が出来るそうだ。これに関してはたくさんありすぎて分からない事の方が多いみたいだ。すごく楽しみである。


 戦闘に関しても重要だが、やはりこの世界のこと、歴史や国力、魔物に関しても知らなければならい。

 異世界での無知は死に直結しかねない、危険な国・宗教・軍・人物などなど有名なものだけでも把握しておく必要がある。いつどこで戦争や揉め事に巻き込まれてしまうかわからないからな。まあ既に凄い状況なんだけどね。


 今現在いる場所はアース大陸の北部の魔樹の森と呼ばれる森林で、この大陸で最も広大な大森林地帯となっている。大陸の約九分の一を占めると言えばその規模の大きさがわかるだろう。

 生息する魔物は数知れずその種類も多岐に渡る。

 普通の一般人は先ず立ち入らない。商人が護衛を雇って他の町へいくこともある様だが道中はとても危険な為、裏世界の住人や奴隷商人といった非合法の者たちが使うくらいで、この森は迂回するのが基本みたいだ。

 森に住むのは魔物たちだけでなくドワーフや獣人たる亜人種や森の民たるエルフなどが住んでいるらしい。


「僕たちエルフや亜人種は基本的に人間を嫌う傾向が強いんです、人間は皆エルフや亜人を攫って奴隷にするとよく聞かされて育ってきたから。実際攫って奴隷にする奴らがいるから仕方ないことなんですが・・・」


 そこで気まずそうに言葉を切るアービィン多分シャルトナやクラムを気遣ってだろう。

 優しい少年の姿に目を細めて自然と綻んでします。


「奴らは同じ人間ですら奴隷として扱う、そして僕たちにはもっと酷い扱いを虐げる・・」


 何かを思い出したようにそう呟く彼の顔は普段の彼からは想像できないような怒りの顔が現れていた。深い深いドス黒い怒りの瞳が宿るが、子供たちの怯え顔を見て直ぐにその瞳は鳴りを潜める。

 


 他にも魔物についてこの世界の魔物は知性を持つものは少ないとされており表立って人類(亜人含め全ての人類)に敵対するのは六大魔王と呼ばれる存在のみだそうだ。


 六大魔王は大陸の西側に広がる魔王界と呼ばれる土地で魔物を統治しており基本的には人間は無視している。

 よく聞く冒険譚では魔王と勇者は世界に一人なんだが、どうもこの異世界は魔物側が有利な設定みたいだ。六人もいるのでは勇者も堪ったもんじゃないだろうな。


 そして人類が住む東のエリア人間界には大きな国が六つ中小国がたくさんといった感じで存在する。


「魔王がいるということは勇者は今いるのかい?」


「はい、勇者を名乗る人間はいるみたいです、僕は見たことがないですが、数年前に四人の勇者が人間の世界から魔王界に向かい二人の魔王を追い込んだと聞いたことがあるくらいです」


 勇者が四人?

 そんなにいるなんて力バランスは相当魔物側にあるようだ、まあ普通に人間が魔王を倒すなんて話自体が凄いことなんだろうが、俺が知る話とは相当違った世界なのは確かだ。


「噂では勇者は四人のうち二人は死んで一人はなんとか逃げ延びて最後の一人は人類を裏切って魔王の手先になったとされてるます」


 二人も死んでるのか、人類やばいんじゃないの!?

 ん…てか

「裏切った勇者がいるの!?」


 何故か話を聞いてたシャルトナ達も驚いていた。

 まあ俺もそこが一番驚いたんだけど、意外と皆が知ってるわけではない話の様だ。にしても勇者が裏切りか、なんとも恐ろしい話だな。だが勇者も人間だったというだけだろう。

 人間なら生きるためにそういったことをしたとしても何ら不思議ではないわけで、たった四人で魔王達と戦わされた勇者達の方が俺としては可哀想だと思う。

 勇者も好きでなったかなんてわからないからな、運命だからとかで無理やり戦わされていたらたまったもんじゃないだろうし。


 そのまま話は人間界の方へと変わっていく。


「この魔樹の森は魔王界と人間界との丁度境界線になっててそれを分けるように北のヴァレンス帝国・南のエグバート王国に分かれていいます、今この馬車が向かってるのは多分南のエグバート王国の方角ですね」


 早速二つの大国っぽい国名だ、正直横文字系の名前は覚えにくい。

 その他にもオラド法国・ハーヴェイ連合国家・神聖皇国ライオドア・霧雨の国などが主要な国だそうだ。

 正直覚えきれないが、取り敢えず帝国と王国は覚えよう。

 この世界では人間同士も相当仲が良くないみたいだ、常にヴァレンス帝国とエグバート王国は争っているらしい。そりゃ魔物に勝てないわけだと納得した。


 圧倒的に戦力に差がある上に身内同士で足の引っ張り合いか、救えない。

 もしなんとかこの場から逃げたとしても帝国と王国に定住するのは控えたいな。

 戦争に巻き込まれたくないからね。そんな話をして情報を交換しているうちに馬車は次第に森を抜けて街道に出たようだった。


 それから暫くすると一度馬車は停止した。

 外の様子を探るべく聞き耳を立てると、どうやら門番に引き止められているようだ。

 もしここで助けを呼んで叫んでみたら助かるのでは?

 そう思いアービィンに聞いてみたが、どうやらこの世界の国のほとんどは奴隷制度を黙認しているのが現状らしい、信じられないことに自国の民でなければ奴隷にしてしまってもいいというのが暗黙の了解なのだ。


 他国の国力低下を狙っているのかもしれないが、この世界は人権など皆無なのだろう。

 公には奴隷制度は禁止されているが、貴族たちの間では奴隷を飼うのは当然であり権力の象徴ステータスの手段なのだそうだ。吐き気がする程ムカムカする話だ。


 門番とのやり取りが終わったのか、一人の門兵が荷台の幕から顔を覗けて中身を確認しに来た。多分積荷の確認だろう。

 さっきの話を前もって聞いてなければ信じられないような光景がそこにはあった。その時に確かに一瞬その門兵と目が合った、しかしその瞳はまるで『ああ、奴隷ゴミか 面倒だし無視するか』といった顔を一瞬だけ覗かせて直ぐに離れていった。


 わかっていても辛いのだろう子供たちの悲痛な顔が俺の良心に突き刺さる。あの野郎無事に逃げたらぶっころ___おっと子供たちの前だ落ち着かないとね。と眉間に寄ったシワを戻す。

 今この姿で怒りを表に出すと途轍もなく怖い、何たって肉食獣なのだから、気をつけなければ笑顔、笑顔と…


 暫くすると目的地に着いたのか馬車は停止して荷台に憎たらしいヤツが現れる。

「んー猫はちゃんと元気だな、こいつらを食べなかったのか、こいつらじゃ餌にもならないか」

 悩むように腕を組みながら何を食べるのか…などとブツブツと呟いていたが、直ぐに気を取り直して皆を移動させるべく準備していく。

 子供たちは手枷と猿轡、足枷を取り付けられてしまう。

 奴隷は主人に逆らうことはできない。それは特殊な魔法(呪法)によって主人の言葉が絶対の命令となってしまうからだ。子供たちの首元には首輪に隠れて見えないが奴隷の魔法の根源たる奴隷の印があった。


 これのせいで奴の言葉に逆らうことができないんだそうだ。

 俺にはそんな印は無かったので出そうとしたところを襲いかかるつもりだったのだが、用意周到なやつは吹き矢という安全圏からの攻撃(麻痺毒)で俺の体の自由を奪う。

 しかし俺の本当の目的は達成できていた、俺はしっかりと奴を睨めつけて観察眼で奴の情報パラメーターを把握する。



====================


名前:ローゼン

種族:人間

レベル:20

職業;奴隷商人 

スキル

追跡Lv3

剣術Lv3 

商売Lv3 

吹き矢Lv2

強奪Lv4

 

称号:

悪の心

奴隷たちの主


=====================


【観察眼のレベルが2に上がりました】


 お!どうやら今ので観察眼レベルが上がったようだ、そのお陰かローゼンのスキルレベルまで見れたようだ。

 見た目が肥満体型の割にローゼンのレベルは今まで見た中では最大の20レベル、さらに戦闘用の技能も持っている。

 間違いなく俺よりも強いはずだこれは綿密に作戦を練らねば勝ち目はなさそうだ。



 俺たちは檻から奴の隠れあじとの地下牢に移された。さっき入っていた檻よりも遥かに太い鉄格子の牢屋だ、奴は錠をかけると意気揚々と地下を後にした。

 地下は薄暗く明かりとなるのは一本の松明だけのみだった。

 牢屋の中に特に目立ったものは置かれ無くあるものといえば床に敷かれた汚れた布切れと異臭を放った汚い入れ物(多分便所)くらいだった。

 唯一の救いは見張りがいないことだろう。油断しすぎだと思うが地下から出たところがやつの寝室になっている為問題ないのだろう。詰まり逃げるには奴を倒すか気づかれないように逃げるしかないのだ、ほぼ不可能だろう。


 壁と床は冷たい石壁になって如何にも地下に作られた牢屋といった雰囲気だ。石畳は硬そうだが、全てを硬い石で作るのは大変だ、もしかしたらこの表面側にある硬い石さえ壊せればその下は柔らかい土壁になってるのでは?

 前に見た映画でスプーンを使って石壁に穴を開けて脱獄した脱獄者の話を思い出した。あの時はそんな簡単にいくのかよ!?と思ったけど…

 爪が折れるの覚悟で削っていけばもしかしたら掘り進めるかもしれない。

 淡い期待を込めて試しに削り始めてみる…


 切り裂き攻撃!

 ガキン!!ガキン!!


 強靭な爪と石がぶつかり合う音に子供たちは一瞬驚くがその意図を理解し、ただ黙ってその様子を見守る姿勢だった。

 何度も何度も爪を振るう、最初は石は固く全く削れなかったが、徐々に亀裂が生じ、それは次第に広がり深くなり石は少しずつだが確実に削れていった。

 これは!?行けるかもしれない。

 様子を伺っていた子供たちの目にもわずかながら希望の光が灯り出す。


「凄い!少しずつ削れてきているよ!」

「猫さん頑張って・・」

「音とか外に聞こえないかな?」

「どうやら外までは音は聞こえないみたいだよ、どうせここでどれだけ叫んでも外には漏れないように防音対策はしてあるだろうからね」


 クラムの心配を含んだ疑問の声をアービィンは冷静に説明してくれたようだ。

 なるほどますます胸糞が悪くなる話だが、今回はそれが助けとなった。


 地下牢に均一な音が響き渡る。掘り始めてから数十分で硬い壁部分を抜けた。

予想通り硬い石畳を抜けると見えたのは土壁だった、同じように掘り進むと途端にサクサク掘り進むことが出来始めた。


「これはいけるぞ もう少ししたら牢屋の外には出られるぞ」

 今のところローゼンが地下に降りてくる気配全くなかった、よく考えれば奴はずっと馬車を走らせていたのだ、ほとんど休憩もない長旅疲れてないわけがない、下手したら眠っていてもおかしくないのではないか?

 そこまでは流石に希望的観測すぎるかもしれないが。


「猫さんすごいすごいよ!あとちょっとだよ!」

「石の壁がみるみる削れていく、僕たち助かるんだね?猫さんお願いもう少し!」

「このままいけば外に出られます!後はさっき言ってた通りになれば・・」

「猫さん頑張れ・・」


 皆からの声援の声が心地よく耳に届く、俺のやる気が上昇し更に掘り進む速度が上がった。これが応援の力ってやつか体育会系のノリも悪くないな、いかんいかん、余計なことを頭の片隅に追いやりまた堀るのに集中する。


 牢屋の鉄格子の下側の石畳を掘り進みなんとか1時間ほどで小さな子が通れる程の大きさの穴が出来上がる。これならアービィン達子供だけなら通れるだろう。ザル警備で助かった、見張りが巡回してきてたりしたらこの作戦は破綻していた。


「やった抜け出せるよ!」

「あとはレオンさんだけですね」


 外に出れたアービィン達が笑顔を浮かべる。

 なんとかこの子達だけでも助けられて良かった。いやまだ牢屋の外に出ただけだそれにまだだここから俺が抜け出せなければならないし、地下から出れても奴の屋敷から出れなければ意味はない。


 ここからが執念馬だ。


【スキル穴掘りL1を習得しました】

【称号穴掘り初心者を習得しました】

 また頭の中に文字と声が響いてきた。

 スキルと称号ゲットだぜ。


 スキルを覚えたことでさっきよりも掘り進む速度が上がる。ものの十数分で穴は倍近く広がりレオンも出られるほどになった。


【才能開花によりスキル穴掘りがレベル2に上がりました】

【称号穴掘り初心者から穴掘り中堅者に進化しました】


 ん?

 スキルレベルが上がったのは嬉しいがユニークスキルによって?

 これは才能開花が効果を発動してレベルが上がったみたいだな。才能開花は能力向上促進効果とかがあるのかな?


 兎に角俺たちは鉄格子の外側に這い出ることができた。

 さーてここからが本番だ。


==================


 ギシリ


 沈んだ座椅子が重みで軋む音を立てる。


「っち」


 小さな舌打ちが部屋に響く。

 予定よりも早くに到着したローゼンは直ぐに自分の隠れあじとに商品を運び入れていた。


 今回はひょんなことから手に入った飛び切りの目玉商品がある。直ぐに売りつける手配をしようとするが問題が生じたのだ。

 あのレベルの高価な魔物ともなると買い手は限られてしまい更にある程度信用されていなければならない。


 今まで下級貴族たちとはよく取引きをしていた為に下級貴族には顔が効くが、あそこまでの大物となると売り捌くには相当なパイプが必要になる。

 下級貴族如きでは買うことなと到底不可能だからだ、最低でも上級貴族、町の大商人、王族クラスでなければ購入出来ないだろう。だがそんな大物との取引などしたことがなかったのだ、売る為にはパイプ役を頼む必要がある。


 ローゼンは考える、そしてどうやっても避けられない考え(こたえ)に辿り着く。

 そうその相手がいるにはいるのだが、あまり乗り気にはなれなかった。奴は信用ならない・・・噂で聞く限りいい話は聞かないのだ。


 しかし背に腹は代えられない、金に余裕もないローゼンにはそれしか方法が残されていなかったのだ。そういうわけで連絡をとり既に手配は済んでいる、割高ではあるがこれも必要経費だと思いその者を待つことにした。

 金さえあれば本来なら護衛も雇い、牢屋にも見張りを雇っている。

 地下からの入口に自分が控えているので先ず逃げられる心配はなく安心はできるが、それでも一人で全てをこなすのには不安が残る。寧ろこんな仕事柄いくら元冒険者といっても危険すぎる。


 この町では強盗なんて日常茶飯事の為対策として地下牢への入り口は隠してあるので滅多な事がなければ商品が盗まれる事は無いのだが、用心深いローゼンは家から離れる事が出来ずにいた。

 旅の疲労もあり、相当イライラしている状態だ。


 それにしてもここに着いてから結構経つ。奴らの様子もそろそろ見に行かねばなるまい、特にあの猫には食事も与えねばならない。

 何故あの様な野獣(ケダモノ)に私がとは思うが金の為なら仕方がない。

 まあ中にいる奴隷がそのまま餌になれば良いと思い一緒に入れている訳だが…

ちゃんとした餌は必要だろうと、町に着いた時にしっかりと購入していた。

 大金の為の些事だが、それでも結構な値段だった。


 まだ奴が着くには時間もかかるだろうしとりあえずは奴隷達が生きていれば調教しつけを施さなければならない。そうすれば多少は俺のイライラも収まるだろう。

 あの小娘以外は全て商品なのだから…

 いつも通り従順になるまで痛め付けて痛め付けて痛め付けてやる。ローゼンは調教の様子を想像してほくそ笑む。


 しかし流石に徹夜での魔樹の森踏破は堪えた。今にも迫り来る睡魔に身を委ねてしまいそうになる。このまま奴が来るまで寝てしまうか?

 疲れ顔のローゼンは暫くの間睡魔と戦いながらどちらにするか悩むのであった。


適当に改名してしまったが、結構重要ですよね名前って・・

そして見た目に反してローゼンはレベルが高い!これはあの森を通るのに護衛を雇わなかった理由です、彼は元冒険者ということもあり多少戦闘に自信があります。

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