第六話 009
恵介「よーし二回戦、都留我【つるが】高等学校との試合は、先鋒 南、次鋒 野宮、中堅 大木、副将 真中、大将 夏、以上だ」
みんな「はい!!」
恵介「ここからは3勝したチームの勝利だ。忘れるなよ、あくまで目標はほうとう杯優勝だ」
「合宿とその後の厳しい練習を乗り越えてきたお前らなら、必ず出来る!!」
みんな「はい!!」
× × ×
南「えいっ!!」
と、中段突きを相手に決める。
× × ×
野宮「うらぁ!!」
と、高速上段突きを相手に決める。
× × ×
大木「そぉい!!」
と、上段蹴りを相手に決める。
――アリーナ外観を写す。
ブー!! と試合終了を知らせる長いブザー音。
○同・アリーナ内の試合会場(昼休み)
――2Fの観客席でお弁当を食べるみんな。
野宮「うまーい!!」
知恵「おかわりもあるからいっぱい食べてねー」
野宮「(手をあげて)唐揚げおかわりー!!」
春香「(手をあげて)米おかわりー!!」
大木「ピンポイントのおかわりはやめい!!」
加奈「それにしても凄かったですね!? 二回戦も3連勝!!」
恵介「(うなずいて)今のところみんな負けなしだな」
北川「むしろこのタイミングで昼に入れて良かったのかもしれない、浮かれた気持ちをリセットするためにも」
「(見渡して)まぁみんな浮かれてはいないと思うが……あれ? 立花はどうした?」
音葉「ちょっと外の空気を吸ってくるって」
湖太郎「(泣きながら)せっかく夏ちゃんと一緒に食べれると思ったのに……食べるの速すぎだよ夏ちゃあああん!!」
○同・アリーナ駐車場
石段に腰掛けている夏。
――子供が3人、アリーナから駐車場へ駆け出してくる。
子供A「さっきの試合すごかったよなー!?」
と、空手ごっこを始める。
1人が審判役、2人が向き合って試合のまねごと。
――子供たちを優しくつめる夏。
北川「ここにいたか立花」
と、後ろから。
夏「北川!? どうした? メシ食うの速いな?」
北川「あんた程ではないが。それより次の準決勝、あんたまさか……」
夏「ああ、ウチが兄貴に頼んだんだ」
「日本青空の出場順位は一回戦から浅井が大将で固定だった。だから準決勝の大将をウチにしてくれって」
北川「本当に大丈夫か……? もしまた――」
夏「心配するな!! ウチにまわるまでにみんなが決めてくれたらいいことだし」
「それにもし浅井との試合にもつれ込んだとしても、今度はしくじらない」
北川「……本当はあの時、武道場で浅井にガツンと言ってくれて……少し嬉しかった」
と、子供たちを見つめて。
夏「え?」
北川「私の代わりにほうとう杯に出るって言ってくれて、すごく嬉しかった」
夏「……北川」
北川「(夏を見て)だから私はあんたを信じる。あんたの空手道を信じている」
夏「ありがとう」




