第六話 008
アナウンス「ここで、トーナメント二回戦までに30分の休憩をとります」
――巨大モニターに、一回戦のダイジェスト映像が男子の試合から流れる。
夏「すっげー!! 一回戦のダイジェストじゃん!?」
と、2Fの観客席に座りながら。
音葉「男子の方がスピードが速いんだね?」
春香「(マッチョポーズで)筋力が違うからね!!」
加奈「どちらが先に当てたのか、スローじゃないと全然分からないですね?」
北川「選手と選手の間を見ていると、どちらが先か分かり易いぞ」
春香「へー、そうなんだ」
夏「そういえばさっき、知恵姉たちが来てたんだって?」
音葉「うん、さっきまで一緒に応援してたんだけど……どこに行ったんだろう?」
× × ×
知恵「なっちゃんのところにお祝いに行かなくていいの? 湖太郎?」
と、夏から離れた2Fの観客席に座りながら。
湖太郎「のんのんのん。分かってないなー? 姉ちゃんも」
「ヒーローってのはヒロインがピンチの時に現れるんだ。僕がなっちゃんに声をかけるのは今じゃない!!」
知恵「(呆れ顔で)さっきはハイタッチしたいって言ってたのに……」
× × ×
真中「ホントすごかったよ南ちゃん!! 相手が引き分けで逃げようとしていたところに、最後決めちゃったんだから!!」
南「そ、そんな、まぐれだよ。でもここで逃げたらお姉ちゃんに追付けないと思って――」
観客たち「おおおおお!!」
――モニターに山梨学園の先鋒、松沢のダイジェスト映像。
野宮「あのスピード……男子並みの速さだな」
と、松沢の高速上段突きを見て。
大木「ああ……いい突っ込みだ」
観客たち「おおおおお!!」
――モニターに次鋒の竹谷のダイジェスト映像。
大木「蹴りには絶対的な自信があるんだろうな」
と、前足を上げて片足で立った状態(鷺足立ち)から、上段を蹴る竹谷を見て。
北川「しかも体のバランスが全く崩れていない」
観客たち「おおおおお!!」
――モニターに中堅の梅田のダイジェスト映像。
真中「す、すごい。開始位置から全然動いていない……」
と、蹴りと上段突きのカウンターで、相手を寄せ付けない梅田を見て。
北川「まるで子供を相手にしているようだ」
観客たち「おおおおお!!」
――モニターに副将の南のダイジェスト映像。
南妹「お、お姉ちゃん……やっぱりすごい」
と、面白いように突きや蹴りを当てる姉を見て。
観客たち「きゃああああ!! 柏原さあああん!!」
――モニターに大将の柏原のダイジェスト映像。
余裕の動きで次々に突きや蹴り、投げ技を決めていく。
編集長「(スケッチしながら)さすがに全国レベルは動きが違うな……」
記者A「ホント、惚れ惚れしちゃいますよ」
と、モニターの写真を撮りながら。
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