第五話 020
○お花見女子高等学校・武道場内(午後)
――武道場内で練習をする部員たち。
音葉の手帳のカレンダーに次々と斜線が引かれていく。
北川の松葉杖はとれ、音葉も松葉杖一本になる。
○お花見女子高等学校・武道場内~校舎(五月下旬・大会前日・土曜日・夕)
――武道場内で恵介の前に整列している部員たち。
恵介「みんな今日までよく頑張った!! もう俺から言うことは何もない」
「あとは明日、練習したことをすべて出し切ってくれ」
みんな「ありがとうございました!!」
恵介「こちらこそありがとう。少しの間だったけど、みんなと一緒に練習できた時間は、俺にとって大切な宝物だ」
――喜ぶみんな。
恵介「まあ、喜ぶのは優勝してからでも遅くないぞ?」
みんな「はい!!」
× × ×
北川「立花」
と、後片付けをしている夏に近寄って。
夏「ん?」
北川「明日……絶対に優勝しろよ」
夏「へっ、当たり前だ」
北川「優勝が無理でも、思う存分自分をアピールしてこい」
夏「え?」
北川「そして今度こそ、大学で一緒に空手をやろう」
夏「……北川」
北川「約束だ」
と、拳を夏に向けて。
夏「(小さくため息をついて)分かった……約束する」
と、北川の拳に自分の拳を合わせる。
北川「スワンボート、私も楽しかったぞ……」
――夏に背を向け、武道場玄関へ歩き出す北川。
夏「え? 何だって?」
と、北川の後を追いかけて。
北川「何でもない」
――校舎を写す。
夏の声「いやスワンボートがどうとか……」
北川の声「言ってない」
夏の声「おっかしいなー? ウチの聞き間違いか?」
北川の声「ああそうだ。トイレにまでついて来るな!!」
夏の声「あ、ウチもトイレ」
北川の声「……そっか」
――終わり――




