表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第五話『合宿』
85/206

第五話 018

○同・はなれのトイレ前の廊下(2時半)

   トイレ前の廊下で待っている夏。

   ――トイレから出てくる春香。

夏「な? 何も無かっただろ?」

春香「そうだねー」

   ――コツン、コツンと木の棒の音が響く。

二人「ひっ!?」

夏「き、気のせいだろ」

   ――コツン、コツン。

春香「やっぱりいたんだ!? 片足になった兵隊さんの幽霊!!」

夏「ばっ、お前そんなのいるわけねえだろ!?」

春香「でもなっちゃんにも聞こえてるよね!? この音」

   ――コツン、コツン。

夏「ちょっとまて、後ろから聞こえる。音が段々近づいてるぞ!?」

春香「これ振り向いたら絶対にいるパターンだよ!! 何があっても振り向いたら駄目だよ、なっちゃん!!」

   ――コツン。

   静寂。

春香「足音が……、やんだ……」

夏「ほらー、やっぱ空耳だったんだよー?」

春香「そ、そうだねー」

二人「あはははは!!」

北川「おい」

二人「ぎゃああああー!!」

   と、抱き合って振り向く。

北川「そこに立たれると邪魔なんだけど」

   ――後ろに立つ松葉杖をついた北川。

夏「(道をあけて)何だ北川かー……」

北川「何だとは何だ!?」

夏「まぎらわしいなー。早く行ってこいよ」

北川「はいはい……」

   と、トイレに入る。

   × × ×

北川「ん? まだ戻ってなかったのか?」

   と、トイレの前に立っている二人を見て。

夏「いや……お前一人だけ残して先に帰れないだろ?」

北川「は?」

春香「うんうん、三人だったら幽霊が出ても怖くないとか、全然思ってないから!!」

北川「あーっ!!」

   と、窓の外を指差して。

二人「(抱き合って)ぎゃああああー!!」

北川「何怖がってんだ? ほら、来てみろ」

   と、窓から外を見て。

   ――星空を見上げる三人。

春香「わー!!」

北川「学校の武道場でずっと練習をしていたら、こんな光景に気付かなかったかもな?」

夏「ああ……」

   × × ×

春香「なっちゃんもう行こうよー?」

   と、二人から少し離れたところで。

夏「おう、ちょっと待ってー」

 「なあ北川……」

   と、隣に立つ北川を見て。

北川「何だ?」

夏「今思い出した」

北川「何を?」

夏「ウチ、お前との約束……守れなかった」

 「……ごめんな」

北川「……え」

夏「でも少しだけど、一緒にスワンボートに乗れて良かった」

 「(星空を見上げて)凄く……楽しかった」

北川「(星空を見上げて)フッ……そうか」

   と、口元が少し緩む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ