第五話 006
○同・はなれの前
バーベキュースペースの奥にある、古いはなれの前で立ち止まる恵介。
恵介「ここだ!!」
みんな「はいいいい!?」
恵介「安心しろ、みんなが好きないわく付きの建物だ」
みんな「ぎゃーっ!!」
恵介「よーし、まずは建物の掃除からだ!!」
野宮「えーっと、今からですか!?」
恵介「何か問題でも?」
大木「あのー、朝ご飯は……?」
恵介「ああ……食べたい?」
みんな「はい、物凄く!!」
恵介「ダイエット中で朝ご飯とか――」
みんな「抜いてないです!!」
恵介「分かった。じゃあ各自持参した弁当を食べてから掃除開始なー」
みんな「良かったー」
× × ×
はなれの前でグループごとにブルーシートを広げ、朝ご飯を食べる。
――弁当を食べる夏・音葉・春香・加奈のグループ。
夏「朝ご飯がお弁当ってなんか違和感があるなー?」
春香「なっちゃんは毎日早弁してるから、そんなに変わりないじゃん」
夏「ばっ!? ウチは昼休みにゆっくりと寝たいからだよ!!」
「まぁゴリ山に見つかった時は説教部屋行きだけど……」
音葉「私も学校に戻ったんだから、これからは昼休みにみんなで集まって食べましょ?」
夏「えっ!? でもほら、お前らにもほかの友達との時間が――」
春香「無理しなくていいよなっちゃん、友達なんだから」
加奈「こうやってみんなで食べる方が楽しいですからね!?」
夏「お前ら……ありがとう」
春香「それよりなっちゃん!! みんながどんなお弁当を持ってきてるか気になるから見に行こうよ!?」
夏「はぁ? 知らねーよ、ハル一人で行って来いよ?」
春香「団体戦はチームワークだよ!? みんなのこともちゃんと知っておかないと!!」
加奈「一理ありますね」
音葉「うんうん」
夏「うっ……」
× × ×
みんなのお弁当を見て回る夏と春香。
春香「わー、三人とも可愛いキャラ弁ー」
と、一年生三人グループにお邪魔して。
一年生A「(笑顔で)今私たちの中でブームなんですよ」
夏「へー、手が込んでるなー」
× × ×
夏「おっ、煮物かー。真中は渋いなー?」
と、真中・南グループにお邪魔して。
真中「日本人は和食に限りますから」
春香「なっちゃんなっちゃん!! 南ちゃんのお弁当凄いよ!?」
夏「本当だ!!」
南「わ、私が作ったんじゃないんです。全部お姉ちゃんが作ってくれて……」
春香「羨ましいなー、こんな立派なお弁当を作ってくれるお姉ちゃんがいて」
南「や、やっぱりそうですよね? お姉ちゃんは私と違って何でもできて……」
「(うつむいて)それに比べて私は……」
夏「あ、ハル!! 次行こう、次!!」
× × ×
野宮「お? どうしたの夏ちゃん? あー、あれでしょ?」
「『激突!! 隣の晩ご飯!!』みたいな?」
夏「はは……まあそんなところ」
と、野宮・大木・北川グループにお邪魔して。
夏「うわ!? 肉ばっかりじゃん!?」
野宮「やっぱ朝から肉食べないと、生きてるって感じがしないからな!?」
大木「(野宮を見て)お前もちょっとは野菜を食べろ」
野宮「大ちゃんは逆に肉食べないとー」
春香「おおー!! 大木先輩のお弁当は野菜だらけ!!」
大木「まあ女子の基本だな」
野宮「羨ましいなー、野菜ばっか食っててもそんなにデカくなるんだから」
大木「遺伝だよ遺伝!!」
夏「ははは……」
「(反転して)よし、帰るか」
春香「えー!? 北川部長のお弁当がまだだよー?」
夏「(ヒソヒソ声で)あいつはいいだろ?」
と、北川に背を向けて。
北川「聞こえてるぞ」
夏「おほっ」
北川「まあ、私はコンビニ弁当だけどな……」
夏「手抜きかい!!」
× × ×
お弁当を食べる四人。
音葉「そういえばコーチは?」
夏「内川さんが中で用意してくれてるから食べてくるってよ。一人だけズルいよなー?」
加奈「いいなー、お二人そういう関係なんですかねー?」
夏「いやいや、それはないだろ。ウチも今日初めて紹介されたんだから」




