第四話 013
○道路を走行中のバイク
恵介がバイクを運転し、後ろの夏が恵介のお腹に手を回している。
――周りの風景を見つめる夏。
○夏の回想・お花見女子高等学校・校門前(夕)
桜が舞い散る中、校門脇に立つ夏と音葉。
夏「そういえば音葉は、将来の夢とかあるのか?」
音葉「うーん、まだ分からないけど……」
と、花びらを掴んだ手を広げて。
夏「だよなー? 将来の夢とか目標を持ってる人が羨ましいよ……」
音葉「でも私なら、何か一つでも目標が出来たら、その目標に全力で向き合うかなー?」
「たとえ誰かに反対されても」
と、掌に乗せた桜の花びらをフーッと吹く。
音葉「だって全力で向き合うことで、新しい自分に出会えるかもしれないし」
――風に乗り空に舞い上がる、音葉が吹いた桜の花びら。
夏「そっか……」
と、花びらを見つめる二人。
夏の回想終わり。
○元の走行中のバイク
――周りの風景を見つめる夏。
× × ×
[フラッシュ]
× × ×
北川「なぜそのとき素人に手を出した?」
× × ×
恵介「誰にだって間違いはある」
× × ×
鬼島「われはどうだ? あれから変われたっちゅうか?」
× × ×
夏М「ウチは……変わりたい。もう一度……もう一度空手がやりたい!!」
と、恵介のお腹をギュッと握る。
恵介「あいたたた!! 何だよ夏!?」
夏「兄貴……ウチ、ほうとう杯に出る」
恵介「何だー!? 全然聞こえないぞー!!」
夏「ほうとう杯に出て、ぜってー優勝してやる!!」
――ホッとした恵介の顔。
恵介「そっか……」
――夕日に照らされて走り去るバイク。




