第四話 012
○同・武道場前
夏「はー……みんなやる気が凄いなー、目が活き活きとしている。それに比べてウチは……」
と、武道場から出てくる。
鬼島「よぉ、いっこ下!!」
と、夏の後ろから声をかける鬼島 典子【きじま のりこ】(19)。空手着姿(黄帯)。
夏「(振り向いて)お前!?」
鬼島「やっぱりそうか、メガネを掛けてないから最初は気付かんかったわ」
夏「そっちも随分と優しい顔になったじゃねぇか、鬼島!!」
鬼島「あの時は悪いことをした……すまなかった」
夏「はぁ!?」
鬼島「われの友達にも伝えといてくれ」
夏「何言ってんだ今更!? それに何でお前が空手やってんだよ!?」
鬼島「(優しい顔で)あたしは――たんだ」
夏「は? 何だって?」
鬼島「あたしはここで、空手と出会って変われたんだ」
夏「はーっ!?」
鬼島「あたしは組手で全国を目指す!! われはどうだ? あれから変われたっちゅうか?」
――夕日が鬼島を照らす。
夏「(ハッとして)知らねーよ!!」
と、鬼島に背を向ける。
鬼島「うちに来たいなら、手を抜くんじゃねえぞいっこ下。じゃあな」
武道場に戻る鬼島。
――グッと拳を握る夏。
恵介「すまん夏、遅くなって」
と、武道場から出てくる。私服姿。




