第四話 003
○同・中庭
噴水に腰掛けている五人。
上手から春香・真中・夏・音葉・加奈。
夏「ほうとう杯!?」
真中「五月下旬に今年から開催される大会で、山梨県全ての高校空手道部が集う団体戦組手のみの大会なんです!!」
夏「へー、形をやらずに組手だけってのもめずらしいなー? しかも団体戦のみって」
真中「はい。うちの空手道部も参加したいんですけど、部長の北川先輩が練習試合で怪我をしちゃって……」
夏「北川って朝の?」
真中「はい。団体戦は五人制でして、三年の野宮先輩、大木先輩、二年の南ちゃんと私の四人は決まっているんですけど……」
「残りの一枠に一年生が誰も出たがらなくって……」
夏「折角いい経験ができる舞台なんだから、一年生でも出たらいいのに……」
真中「私もそれは言ったんですけど、三人とも空手を始めたばかりでして」
夏「白帯かー……それだと確かに不安の方が大きいな」
真中「だからあと一枠、北川先輩の代わりと言ったら失礼ですけど、立花先輩、よろしくお願いします!!」
夏「ええっ!? ウチ!?」
真中「立花先輩なら昔、市民大会で優勝もしてますし!! いえ、あの試合の立花先輩は凄かった!!」
夏「いやー、ほら、もう二年も空手やってないし――」
音葉「出たらいいと思うよ? 夏」
夏「おまえ簡単に言うけどなー」
音葉「だって約束事にも書いてあるよ? ステップ2の3『もう一度空手と向き合う』」
と、約束事を見せて。
夏「えええええっ!?」
春香「頑張れなっちゃん!!」
加奈「応援しますよ!!」
真中「お願いします!!」
夏「うっ……」
「あーもう!! 分かった分かった!! 出ればいいんだろ!?」
真中「ありがとうございます!!」




