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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第一話 『ウチと彼女の約束事』
5/206

第一話 005

○同・昇降口の上にある時計~三年の廊下~説教部屋前の廊下~屋上のドア前スペース(午後)

   15時。授業終了のチャイム。

   廊下を歩く夏、加奈、後ろに春香。背中に鞄。

   生徒たち、慌てて端によける。

夏「ここが三年生の教室なー」

加奈「何だか皆さん、怯えているような……」

夏「まぁ細かいことは気にするな!!」

   × × ×

夏「で、ここが説教部屋。今日もあの後、小一時間ほどゴリ山の演説を聞かされたよ」

加奈「ははは……」

夏「(振り向いて)誰かさんが裏切ったせいで」

春香「ごめんねなっちゃん!! 今日、日直当番だったの!!」

 「ハルはいっつも、号令と学級日誌を出すことだけはちゃんとしてるんだよ!?」

夏「それだけかい!!」

春香「てへへ……」

夏「まあいいや。えーっと次は……」

春香「ねーねーなっちゃん、さっきから何で校内を案内してるのー?」

 「かなちゃんは町を案内して欲しいって言ったんだよ?」

夏「まあまあ春香さん、町を一望できる場所がここにもあるじゃないですか?」

   × × ×

   屋上のドア前スペースに到着。

春香「あー、屋上があったかー」

   夏、取手に手をかけて。

夏「よし加奈!! 思う存分、町の景色を堪能しろ!!」

   と、勢いよく。

   ――ガチャガチャ。

夏「あれ……?」

   ――ガチャガチャガチャ。

三人「……」

夏「うっそーん!?」

春香「開いてるわけないよー……漫画じゃあるまいし」

夏「フッ、あっはっはっはっは」

   と、腰に手を当てながら。

夏「(優しい顔で振り向いて)加奈、ウチら頼りないけど、困ったことがあれば何でも言ってくれ……」

加奈「えっ」

夏「(手を差し出して)一緒に楽しい思い出、作ろうぜ」

加奈「……はい?」

夏「えええーっ!?」

春香「ほらー、だから言ったのにー。なっちゃんはいっつも強引すぎるんだってー」

 「しかもかなちゃんの頼みごと、まだ何にも解決してないしー」

夏「ばっ!! ウチだって音葉との約束を守るために、一生懸命やってんだ!!」

加奈「約束?」

春香「あっ、言っちゃったー……」

   ――夏、口を押さえる。

加奈「(怪訝な顔で)……」

   夏、あぐらをかいて。

夏「……そうだよ!! 口うるさい友達との約束だったんだよ」

 「『一年に一人、友達を作る』って……」

   × × ×

夏「ウチが一年のころ、暴力事件を起こして停学処分になったんだ」

加奈「暴力って……!?」

春香「あー、なっちゃんが絡まれて仕方なくだよー?」

   夏の隣に春香、向かい合って座っている加奈。

夏「相手が不良だろうが、ウチが手を出した事実は変わらない……」

加奈「それでその後、どうなったんですか?」

夏「学校に戻ったら、『ウチと関わったら危険だ』って噂になっていて、学年から孤立していった」

加奈「(神妙な面持ちで)……」

夏「でもそんなある日、あいつが転校してきたんだ――」

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