第三話 015
○同・特設ステージ脇
盛り上がるステージに背を向け、一人ポツンと立つ湖太郎。
夏から貰ったお土産の包みを開ける。
――ウサギのキーホルダーが顔を出す。
湖太郎「ウサギか……」
と、手の平に乗せたキーホルダーを見つめて。
湖太郎「ウサギ!? ウサギと……カメ……」
「ハッ!!」
と、ズボンのポケットからスマホを取り出し、ネットで『ウサギとカメ』のお話を検索。
湖太郎М「あった、『ウサギとカメ』!!」
「昔々あるところに、ウサギさんとカメさんがいました」
「ウサギさんはカメさんに、山のふもとまで競争しようよと――長いので割愛っと」
スマホをポケットにしまう湖太郎。
湖太郎М「こっ、これはもしかして!!」
「ゴール前で待っているウサギの僕に、後からゆっくり追いつくから、今はまだそこで待っていてねってことなんだよね!? 夏ちゃん!!」
と、キーホルダーを胸の前で握りしめて。
峰山「湖太郎……まぁフラれたくらいでそう落ち込むな!!」
――後ろから肩をポンと叩く峰山。
湖太郎「えへへっ、落ち込んでなんかいませんよー?」
と、ニヤけながら振り向いて。
湖太郎「えへへへへ」
峰山「……なんだお前、立ち直りが早いな……ってか気持ち悪いな……」




