第三話 014
○同・特設ステージ裏
知恵М「ダメだったか……。でもよく頑張った湖太郎!!」
と、湖太郎の背中を見つめながら。
峰山М「くそー立花め……。俺の前に変な空気を作りやがって……」
と、夏の背中を見つめながら。
○同・特設ステージ
司会「さて次は、峰山 真剣さんと河口 知恵さんのお二人です!!」
峰山「行くか」
知恵「(少しうつむいて)うん……」
夏М「頑張れゴリ山!! しっかりと桜の花を満開にしろよ!!」
と、春香と加奈の隣に立ちながら。
――ステージに立つ二人。
峰山「か、河口……俺は……」
――静まり返る観客。
夏М「おいおい、しっかりしろよゴリ山!!」
峰山「俺は……」
――うつむいたままの知恵。
ざわつく観客。
と、峰山が助けた野良猫がステージに現れ、「ニャー」と峰山の足元にすり寄ってくる。
峰山「お前……応援してくれるのか……?」
「ニャー」と鳴いて去ってゆく野良猫。
峰山「ありがとな……」
――大きく深呼吸をする峰山。
峰山「河口!! 俺は!! 高校のころ、初めてお前を見た時からずっと好きだった!!」
うつむきながらハッとなる知恵。
峰山「その気持ちは、今もこれからも変わらない!!」
「俺と付き合ってくれ!! よろしくお願いします!!」
と、知恵に手を差し出しお辞儀。[横からのアングルで]
――うつむいたままの知恵。
静まり返る観客。
知恵「私は――」
と、顔を上げた知恵の目に、峰山の頭に貼られたキラキラ光るハート型シールが飛び込んで来る。
知恵「ぷっ」
と、吹き出し表情がゆるむ。
峰山「え?」
頭を下げたまま知恵を見て。
知恵「私、あれこれ考えすぎてたみたい……」
「それに先輩はこういう人なんだって自分の枠に当てはめて、それ以上先輩のことを知ろうとしていなかった……」
「(笑顔で)でもこれを見て、そんな難しい考え、どこかに飛んでっちゃった」
と、峰山の頭に貼られたシールをとり、峰山に見せる。
峰山「ぬおっ!? 何じゃこりゃ!? まさかあの時!?」
× × ×
[フラッシュ]
夏「やるなゴリ山ー!!」
と、後ろから峰山の頭をパシーンと叩く。
× × ×
峰山「くうおおおら立花あああ!! あれほど邪魔をするなと言っただろうがああ!!」
と、ステージ下の夏を見て。
夏「やべっ!! このタイミングでバレた!!」
峰山「お前は明日の朝一から説教部屋いきだああ!!」
知恵「いいよ」
峰山「えっ!? ……説教部屋?」
知恵「(首を振って)ううん」
「お付き合い。よろしくお願いします」
と、峰山に手を差し出してお辞儀。
――静まりかえる観客。
峰山「うおおおおおおおお!!」
「ありがとう!! 河口ぃいいいいいい!!」
と、泣きながら知恵をお姫様抱っこ。
――凄い歓声と拍手で盛り上がる観客。
知恵「ちょっと先輩!! 恥ずかしいから……」
と、峰山の顔を見て。
峰山「夜桜が……凄く綺麗だな!?」
と、優しい顔で桜を見つめる。
知恵「うん……。さっきより……輝いて見える」
と、あふれる涙を指で拭いながら。
夏「へへっ、やるじゃんゴリ山」




