第三話 011
○元のさくらの祭り会場
知恵М「ほんと、変わらない……」
と、優しい顔で峰山を見つめて。
峰山「最近、時々自分の行動がそれで良かったのか、後になって考えることがあるんだ……」
と、猫の頭をなでながら。
知恵「え?」
峰山「若い頃は、そんなことを考えたりしなかったんだけどな……」
知恵「(笑顔で)ふふっ、お互い年とっちゃったね?」
「私も最近、ふとした時に色々考え込んじゃうの……もう若くないんだからって――」
峰山「そ、そんなことはない!! 河口は今でも――」
夏「やるなゴリ山ー!!」
と、後ろから峰山の頭をパシーンと叩く。
峰山「あいたっ!? って立花!? 何故お前がここに!?」
と、立ち上がって。
――「ニャー」と逃げていく野良猫。
夏「あっ、やべっ、つい声かけちゃった……」
春香「あーあ、バレちゃったー」
知恵「ハルちゃんに加奈ちゃん、それに湖太郎まで!?」
と、立ち上がって。
湖太郎「いやー、姉ちゃん!! それに峰山先生まで!! こんな所で合うなんて凄く偶然――」
知恵「(笑顔で)いつからつけてたの?」
四人「あ……。すみませんでしたー!!」
と、土下座。
知恵「罰ゲームは何にしよっかなー……?」
四人「ひええええ!!」
峰山「まあまあ河口、こうやってみんな謝っているんだから、今回だけは大目に見てやろう」
四人「ありがとうございます、峰山先生!!」
と、何度もお辞儀。
峰山「ただし、俺たちの邪魔だけはするなよ? 特に立花」
夏「合点承知!!」
と、親指をたてて。
× × ×
マイクアナウンス「えー、これから『第一回~河口湖の中心で愛を叫ぶ~告白大会』の参加者を募集します。ご参加希望の方は――」
と、河口湖楕円形ホールの方から聞こえてくる。
夏「ん? 告白大会って去年もやってたっけ!?」
春香「第一回だから今年から始まったんじゃない?」
湖太郎「なるほど、それでカップルが多かったのかー」
夏「ゴリ山ああ!!」
峰山「なっ……何だ?」
夏「(親指をたてて)行ってこい」
峰山「(赤面して)えっ……」
と、知恵を見る。
知恵「最近は人を集めるために色々とやってるのね?」
「なんか私、こういったテンションにはもうついて行けないかなー?」
「辺りも暗くなってきたから、そろそろ帰りましょ? 先輩」
と、戻ろうとする知恵の腕を掴む峰山。
知恵「(振り向いて)えっ!?」
峰山「か、河口!! 一緒に出てくれないか!?」
四人「おおー!?」
湖太郎「姉ちゃん、出たらいいじゃん!?」
――知恵、ムッと夏たちをにらんで。
知恵「みんな他人事だと思って……」
峰山「俺は本気だ河口……たのむ!!」
× × ×
――ため息をつく知恵。
知恵「じゃあ湖太郎と夏ちゃんも出なさい」
夏「えええええ!? 何でウチが!?」
知恵「ずっと尾行していた罰ゲーム」
「(微笑んで)二人とも嫌だとか言ったら――」
夏「出ます、出ますよ!! だからもう勘弁して下さい!!」
湖太郎М「ありがとう姉ちゃん!! 僕は今、生まれて初めて姉ちゃんからの愛情をひしひしと感じているよ……」
と、涙を流しながら。




