第三話 007
○ノックの駐車場(日曜日・夕)
――建物の陰から様子をうかがう四人。
夏はジャージ姿。
春香は花柄の私服。
加奈はカジュアルな私服。
湖太郎はスーツ姿。
――車で知恵を迎えにくる峰山。
夏「(ヒソヒソ声で)ぷっ、あいつピッカピカのスーツ着てるよ。靴もおニューじゃん」
春香「対照的に知恵姉は、春らしい淡い着こなしが凄く似合ってるねー?」
加奈「まさに春の野に舞い降りた妖精って感じですよね!?」
湖太郎「まっ、僕の美貌に比べたら、まだまだだけどねー」
と、髪をかき上げて。
夏「てかお前もおニューのスーツかよ!?」
湖太郎「いやー、まさか夏っちゃんからさくらの祭りに誘ってくれるなんて、全然思ってなくって」
「昨日慌てて買いに行ったんだよー? なけなしのバイト代をはたいて!!」
夏「さっき言った通り、今日はあの二人の尾行が目的だ」
春香・加奈「うんうん」
湖太郎「あ……聞いてない系?」
夏「(湖太郎を見て)それと、会場が遠いから湖太郎に運転手を頼んだだけだからな? 勘違いするなよ?」
湖太郎「分かってるよー。夏ちゃんの頼みごとなら何でも引き受けちゃうよーん」
夏「だからいちいちくっついて来るな!! 面倒くさい!!」
と、スリスリと体を寄せる湖太郎を両手でガード。




