第三話 006
○峰山の回想・ノック(夜)
カウンター席に座り、ビールジョッキをドンと置く峰山。
――カウンター越しに立つ知恵に対して。
峰山「(酔っ払いながら)河口ー!! お前は俺のことをどう思う!?」
知恵「んー……」
「(笑顔で)先輩は真面目で正義感が強くて、凄くいい人ですよ?」
峰山「それだけか?」
知恵「え……?」
峰山「……いや、ちょっと飲み過ぎた。悪かったな、変なことを聞いて……」
知恵「(少し引き気味で)う、うん……」
峰山の回想終わり。
○元の説教部屋
夏「あー、それはいい人止まりのパターンだな……」
峰山「だろ? そう思うだろ? だから別にふられては……いないんだが――」
夏「でもそこからグイグイ押してさ、男らしさを見せつけないと!?」
峰山「お前なー、この歳になると若いころのように勢いだけではどうにもならないんだよ……」
「その先にある結婚のことまで考えるとなおさら――」
夏「ゴリ山としいくつよ?」
峰山「三十路だ」
――夏、口に手を当て驚いた顔。
峰山「何だそのリアクションはああ!?」
と、教壇を叩いて。
夏「ごめんごめん、つい顔に出ちゃった」
峰山「ったく……」
夏「でも知恵姉との関係がこのままでいいのか?」
峰山「良くはない!!」
夏「じゃあさー、これに知恵姉を誘って一緒に行ってきなよ? 今週末が最後だからさ?」
と、さくらの祭りのチラシを見せて。
峰山「(受け取って)さくらの祭りか……」
夏「本当に知恵姉のことが好きなら、桜の木のように堂々と構えて、桜の花びらのようにはかなく散ればいいんだよ!!」
峰山「全然はげましにもなってないんだが……」
夏「知恵姉もゴリ山を心配しているってことは、少しでもゴリ山に気があるってことだろ?」
峰山「そ、そうか……そうだな!? 別に嫌われたわけじゃないんだからな!?」
夏「うんうん!!」
峰山「よし、今週末、さくらの祭りに河口を誘おう!!」
夏「頑張れゴリ山!! 応援してるぜ!!」
峰山「おう!!」




