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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第一話 『ウチと彼女の約束事』
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第一話 004

○お花見女子高等学校・校庭~校舎横の通路~運動場(朝)

   校庭の桜は、つぼみの状態。

   ――登校する生徒たち。

   校庭の真ん中に、背丈ほどの記念樹が数本。

   夏と春香、記念樹の陰から様子を伺う。

   制服姿、膝上スカート。

   夏は一本、春香は二本の竹刀を、背中に括り付けている。

夏「いくぞハル!!」

春香「ラジャ!!」

夏「うぉおおおお!!」

   と、記念樹から飛び出し、校門へダッシュ。

   生徒たちの手前で転倒。

夏「ぐわあああー!! 衛生兵!! 衛生兵!!」

   と、片膝を抱え、左右に転がる。

春香「なっちゃん大丈夫ー!?」

   同じく飛び出し、夏の横で転倒。

春香「うわあああー!! 衛生兵!! 衛生兵ー!!」

   と、二人でシンクロ。

   ――ざわつく校庭。

   二人を避けて、昇降口へ向かう生徒たち。

夏「(静止)おっかしいなー? 去年はこれで『あははー、面白ーい』って一人釣れたのになー?」

春香「だよねー? 今どきそんなバカいないよねー? ってどういう意味それ!?」

夏「いやバカとか一言も言ってないし……」

春香「おおう……」

夏「(立って)よっし、こうなったら次だ!!」

春香「ラジャ!!」

   と、夏と距離をとる。

夏「(竹刀を構えて)遅いぞ武蔵ー!!」

春香「そう慌てるな小次郎!!」

 「こっちは団子が喉に詰まってなぁ……ちびっ子たちが見てる前で、死にかけてたんだよおおお!!」

   と、竹刀を二本構えて。

夏「ハッ、そーんなことで死にかけていただと?」

 「笑止!! ならば拙者が引導を渡してやろう!!」

   と、竹刀を振り上げ、猛ダッシュ。

夏M「ここでウチがやられて、『大丈夫ですか!?』と介抱してくれる人を待つ!!」

春香「ほざけ、この水虫野郎があああ!!」

   と、竹刀を振り上げ、猛ダッシュ。

夏「うおおおおっ!!」

春香「きええええっ!!」

加奈「止めなさい二人とも!!」

   と、二人の間に入り、攻撃を止めようと両手を上げる。

   秋園 加奈【あきぞの かな】(高一・16)。

   が、二人の竹刀がしっかりと頭に入る。

夏・春香「えっえーっ!?」

加奈「こんな清々しい朝から喧嘩なんてダメですよ!! 警察呼びますよ!?」

   ――頭にはばんそうこう、煙が出ている。

夏「うん、警察とか呼ばないで!? 喧嘩といってもこれ、パフォーマンスだし!!」

 「なっ!? ハル!?」

春香「(笑顔で)そうそう、新入生を喜ばすためのー」

加奈「ふええっ!? そうだったんですか!?」

 「(お辞儀)途中で止めて済みませんでした!!」

夏「え、いや、そんな律儀に……」

峰山「くうぉおーら立花あああ!! まーたお前かあああ!!」

 「剣道部の竹刀を勝手に持ち出しやがってー!!」

   と、昇降口から竹刀を振り上げ、猛ダッシュの峰山先生(30)。

   ジャージ姿。

夏「やべっ、ゴリ山だ!! (校舎横の通路を竹刀で指して)ハル、逃げるぞ!!」

春香「(足踏み)ラジャ!!」

夏「あ、ウチ、三年の立花 夏」

加奈「えっ?」

春香「(足踏み)二年の霧島 春香だよー。ハルちゃんって呼んでねー」

加奈「私、一年の秋園 加奈です!!」

夏「あっそうそう、加奈は今何かして欲しいことないか?」

加奈「ふえっ!? して欲しいことですか!?」

 「んー……」

夏「早く早く!!」

加奈「無茶なお願いでもいいですか?」

夏「おう、何でも言ってみろ!!」

加奈「私、この町に引っ越して来たばかりで、いろいろ案内して欲しいんです」

 「町が一望できる場所にも行きたい!!」

夏「分かった!! 放課後、下駄箱前に集合な!?」

   と、走っていく二人。

峰山「(追いかけて)待たんか立花あああ!! お前は今日も説教部屋行きだあああ!!」

加奈「(見送って)ふふっ、おかしな人たち」

   × × ×

   春香、夏の先を走る。

   夏の頭を竹刀で叩きながら、追いかける峰山先生。

夏「いでっ、竹刀を勝手に持ち出してって……」

 「いでっ、だったら事前に借りるって言ったら、貸してくれたのかよ!? ゴリ山あああ!!」

峰山「峰山だああー!! 時と場合による!! 借りた理由を述べろおおお!!」

夏「いでっ、私用だよ私用ー!!」

峰山「却下あああーっ!!」

夏「何だよ!? どの道ダメじゃねーか!?」

春香「ああーっ!! なっちゃんこれっ!!」

   と、運動場手前で足踏み、二本の竹刀を放り投げる。

夏「ほいさっ、えっ!?」

   夏、竹刀を受け取り、追い越した春香を見て。

春香「(笑顔で手を振って)もうすぐ授業が始まっちゃうからー」

夏「えっえーっ!? この薄情者ー!!」

峰山「観念しろ立花ああー!! お前が逃げれば逃げるほど、説教の時間がグーンと伸びるだけだぞおお!!」

夏「いでっ、誰が決めたんだよそんなこと!?」

峰山「俺が今決めたあああー!!」

夏「何だよそれ!? めちゃくちゃじゃねえか!!」

 「ふざけんな峰山あああ!!」

   ――体を反転させ、束ねた三本の竹刀で攻撃を受け止める夏。

峰山「ゴリ山だあああ!!」

   と、上から力を加えて。

夏「(キョトンとした顔で)……え?」

峰山「……え?」

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