第三話 005
○お花見女子高等学校・職員室(昼休み)
夏「ゴリ山ー!!」
と、職員室の扉を開けて。
峰山「何だ立花? 今から見回りの時間だ」
――『漢』と書かれた湯のみでお茶を飲みながら。
夏「(大声で)ゴリ山、知恵姉にふられたんだろ!?」
峰山「ブーッ!!」
と、吹いて。
――ざわざわと周りの教師たちが峰山を見る。
峰山「(ヒソヒソ声で)おい、ちょっと来い!!」
と、夏を引っ張り職員室を後にする。
○同・説教部屋
教壇に立つ峰山。
教壇手前の席に座っている夏。
峰山「河口が何か言ってたのか?」
夏「何も?」
峰山「何だお前の推測か……てっきりギクシャクしたのがバレたのかと思ったよ」
――峰山を指差し、言っちゃったよ的な嬉しい顔をする夏。
峰山、思わず口を押さえる。
夏「何だやっぱふられたんじゃ――」
峰山「ふられてない!!」
と、教壇を叩いて。
夏「じゃあ何でノックに顔出さないんだよ!?」
峰山「そ、それは……」
夏「(ダンディボイスで)ゴリ山さんさぁ……もう何もかも全部吐いちゃいなよ?」
「楽になるぜ? お袋さんも一生懸命お前に語りかけてるじゃないか?」
「(裏声で)あんたもう全て吐いちゃいなさーい!!」
峰山「(泣きながら)……分かったよお袋」
夏「えええええ!? まさかのマザコン展開!?」
峰山「確かに俺は、高校のころから河口に惚れていた」
「部活で見せてくれるあの優しい笑顔、気遣い、そして何よりも人をこき使えるあの才能!!」
夏「いやそこ違うだろ」
峰山「一年半前のあの日、飲み過ぎた俺は、酔った勢いで河口につい本音をぶつけてしまった――」




