第二話 013
○加奈のマンション・外観~地下1Fの駐車場~エレベーター内~敷地内(18時15分頃)
六階建ての高級マンション。
車から降り、ドアを閉める二人。
加奈「ねえお父さん、指切りしよう」
と、エレベーター前に並んで。
加奈の父「指切りか、懐かしいな……いいぞ!!」
二人「指切りげんまん嘘ついたら針千本飲ーます、指切った!!」
加奈「へへっ」
加奈の父「でも何の約束だ? 今の指切り」
と、エレベーター内で。
加奈「あー……じゃあ今度の休みに、お母さんと三人で写真撮ろう?」
「それを新しいお守りにするんだ」
加奈の父「よし、約束だ!!」
――エレベーターの扉が開く。
加奈「それとー、美味しいものも食べに行こう!?」
「ショッピングしてー、その後カラオケに行ってー」
と、敷地内を歩きながら。
加奈の父「(追いかけて)おいおい、そんないっぺんには――」
加奈「(振り返って)イチゴ狩りにも行きたいなー」
○同・玄関前
加奈の母「(笑顔)二人ともお帰りー」
と、マンションの玄関前に立っている、加奈の母(38)。
エプロン姿。
加奈「ただいまお母さん!!」
と、父の腕を掴み、駆け出す。
加奈の父「ちょっと加奈……」
加奈M「これから少しずつ、思い出を作っていこう!? お父さん」
○霧島家・リビング(夜)
春香「父ちゃん肩叩きするよー」
拓蔵「おっ、ありがとうハルー」
春香「トントントン!!」
と、拓蔵の頭を叩いて。
拓蔵「おう……そこ、違うぞー」
○お月見総合病院・音葉の病室
音葉「――うん、大丈夫だよお母さん。お父さんにも、いつも有難うって伝えといて」
と、スマホで話しながら。
音葉「――うん、おやすみ」
○立花家・リビング
夏「親父、お疲れ様!!」
と、父にビールをつぎながら。
夏の父「何だお前、気持ち悪いな……」
夏「うっせぇ!! 親父もお袋も、いつもお仕事ご苦労様です」
夏の母「どうしたの夏?」
夏の父「ふっ、やっぱ気持ち悪いな?」
夏「うおい!!」
○加奈のマンション・玄関前(日曜日・朝)
加奈の父「二人とも、もっと右にー」
と、カメラスタンドにセットした、一眼レフを覗き込んで。
マンションの玄関前に並ぶ加奈と加奈の母。
加奈「お父さん早く早くー」
加奈の父「今いくー」
加奈の母「あなたー、そこでつまずくパターンよー」
加奈の父「ふぇええ!?」
加奈の母「ふふっ、転んでもまた立ち上がればいいじゃない?」
加奈「つまずいたら、私達が支えるから安心して!!」
加奈の父「もー、二人とも冗談きついんだから……」
加奈「早く早くー」
加奈の父「おう!! ――おっとっと」
と、つまずいて。
慌てて支えにいく二人。
――カシャッ!
家族写真のカット。
――終わり――




