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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
第二話 『イチゴも人も』
32/206

第二話 012

○走行中の車(18時頃)

   道路を走る、マスタング シェルビー GT500。


○同・車内

加奈の父「こうやって加奈と二人で帰ったのは、保育園以来だな?」

   と、運転しながら。スーツ姿。

   助手席に加奈。

加奈「え?」


○加奈の父の回想・保育園の教室内~道路(18時頃)

加奈の父「すみません、秋園です」

   と、顔を出す。

加奈「パパー!!」

   駆け寄る、四才の加奈。

加奈の父「(抱きかかえて)加奈」

   × × ×

加奈「パパ、お仕事早く終わったの?」

   と、道路を歩きながら。

加奈の父「うん、そうだよ」

加奈「パパ、ちゃんと手をつながないと危ないんだよ?」

 「車いっぱい通ってるんだから」

   と、加奈から手をつないで。

加奈の父「ははは……そうだな」

   加奈の父の回想終わり。


○元の車内

加奈「覚えてたんだ……」

加奈の父「当たり前だ。加奈と過ごした時間を、忘れたことはないよ」

 「加奈、あのとき単身赴任って形になってごめんな……」

 「お前が新記録を出したよって電話くれた時も、仕事を優先して、ゆっくりと話せなくて悪かった」

加奈「ううん、それはもういいの……」

   ――沈黙。

加奈「お父さん、あのね!! 私――」

加奈の父「お父さん、戦隊モノのヒーローに憧れて医者になったんだ」

加奈「え?」

加奈の父「ヒーローみたいに戦えなくても、困っている人を助けられるから……」

 「でも一番守らなきゃいけない家族の事を、守れていなかった」

 「お前とちゃんと向き合えていなかった……」

 「一人で辛い思いをさせてごめんな、加奈」

加奈「(首をふって)ううん」

 「私も変に意地張っちゃって、お父さんと話すの避けてた……ごめんなさい」

加奈の父「いや、お父さんが全部悪かった!!」

加奈「そんなことない、私の方が!!」

二人「――ぷっ。あはははは」

   × × ×

加奈「ねぇお父さん」

加奈の父「ん?」

加奈「誰かを助ける仕事ってかっこいいね? 音葉先輩を応援するお父さんを見て、少し嬉しくなったんだ」

加奈の父「え?」

加奈「(微笑んで)私も誰かを助けられる仕事に就けたらなーって……」

加奈の父「加奈……」

   ――赤信号で停車。

加奈「やっぱ私、お父さんの娘だね。お父さんにソックリ」

加奈の父「フッ、イケメンになるぞー?」

加奈「女の子なのにイケメンって……」

 「ぷっ」

   と、吹きだして。

加奈の父「どうした?」

加奈「お父さんも冗談言えるんだなーって」

加奈の父「言ったこと無かったっけ? じゃあとっておきのおやじギャグを――」

加奈「(真顔)それはいい」

加奈の父「おおう……」

   ――青信号になり、発車。

加奈の父「立花さんだっけ? 彼女にガツンと言われなければ、こうやって前には進めなかった」

加奈「え?」

加奈の父「強引で、負けず嫌いで、ズカズカとものを言う」

 「でも彼女の言葉は、しっかりと的を得ている……いい友達を持ったな?」

加奈「うん!!」

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