第二話 011
○お月見総合病院・加奈の父の仕事部屋・室内
加奈「失礼します」
と、入って。
加奈の父、書類に目を通している。
加奈の父「その辺に座ってて、まだかかるから」
加奈「うん……」
と、家族や加奈の写真が飾ってあるのを確認し、ソファーに座る。
加奈の父「お友達は……帰ったのか?」
加奈「……うん」
加奈の父「そうか……」
――沈黙。
コンコンと、扉を叩く音。
鬼島先生の声「(廊下から)鬼島ですー」
加奈の父「どうぞー」
鬼島先生「失礼します。秋園先生、ちょっと」
と、扉を少し開け、手招き。
○同・加奈の父の仕事部屋前の廊下
加奈の父「どうしました!? 急患ですか!?」
と、廊下に出て、扉を閉める。
鬼島先生「いえ、今日は先生早く終わってください」
加奈の父「いや、そんな訳には……」
鬼島先生「実はリハビリルームでの会話、聞こえちゃいました」
加奈の父「え、あ……これはまたお恥ずかしいところを……」
鬼島先生「私も娘には手を焼いていましたから分かります。今は大学に行って落ち着きましたけど」
「だから今日は、私に任せてください」
加奈の父「……鬼島先生。またどこかで、必ず埋め合わさせていただきます!!」
鬼島先生「いえいえ、お互い子育て頑張りましょう!!」
加奈の父「はい、ありがとうございます!!」
○同・加奈の父の仕事部屋・室内
加奈の父「加奈、お父さん早く帰れるようになったんだ」
と、書類をまとめながら。
加奈「え?」
加奈の父「一緒に帰ろう」
加奈「うん……」