第二話 010
○同・廊下
加奈「あの、すみません。秋園先生は今どこにいますか?」
加奈、通りかかった白衣姿の鬼島先生(男46)に、話しかける。
鬼島先生「あれ? どこかで……」
「ああっ!! 秋園先生の娘さん?」
加奈「え? は、はい……」
鬼島先生「ほら、先生の仕事部屋に、あなたの写真が飾ってあったから」
加奈「私、今日遅くなってもいいので、お父さんと一緒に帰りたいんです!!」
鬼島先生「秋園先生なら仕事部屋にいるんじゃないかなー? ついてきて」
加奈「はい」
○同・加奈の父の仕事部屋前の廊下
鬼島先生、コンコンと扉を叩く。
加奈の父の声「(室内から)はーい」
鬼島先生「失礼します、鬼島です」
加奈の父の声「どうぞー」
鬼島先生「秋園先生、娘さんが今日は一緒に帰りたいと……」
と、扉から、上半身だけを覗かせて。
加奈の父の声「――分かりました」
鬼島先生「(加奈に対して)じゃ、失礼します」
と、扉を開けたまま、会釈して戻っていく。
加奈も会釈。
――太ももの横を、ポンポンと叩く。
○走行中の軽トラ・荷台
春香「ホントなっちゃんも学習しないなー」
と、ブルーシートを被りながら、パーにした手を見つめて。
○同・車内
拓蔵「どうだい夏ちゃん!? GKTも二回乗ると慣れるもんだろ!?」
ガガガガガと、車体が左右に揺れている。
夏「ははは、帰りは横揺れですか……」
拓蔵「がっはっはっ!!」
「夏ちゃんの胸も、横揺れしてるぜ!?」
と、親指を立てて。
夏「(呆れ顔)ははは……」
「危ないので、しっかりと前を見て運転してください……」




