第二話 002
○黒い画面~お花見女子高等学校・加奈のクラス(四月・午前)
黒い画面。
スマホのバイブ音。
――ハッと目を開ける加奈。周りは授業中。
加奈、机の中からスマホを取り、膝の上で見る。
夏『(メール)今なにしてる?』
加奈М「ふぇっ!?」
加奈『(返信)授業中ですよ!? 夏先輩も授業中じゃないんですか?』
――スマホのバイブ音。
夏『(メール)説教部屋』
加奈「ははは……」
○同・春香のクラス
春香、コックリ、コックリと、鼻ちょうちんを膨らませ、居眠り。
――スマホのバイブ音。
春香「!」
ビクン!! となりガン!! と、机で膝を打つ。
春香「あいててて……」
先生「霧島ー、寝てただろー?」
春香「(敬礼)ひざ蹴りの練習であります!!」
先生「休み時間にやれー」
生徒たち「あはははは」
春香「てへへ……」
――スマホに目をやる春香。
夏『(メール)学校が終わったら音葉の病院に行こうぜー?』
○春香からのメール~同・説教部屋
春香『(メール)ラジャ!!』
――夏、膝の上でメールを見る。
峰山「!」
教壇に立つ峰山先生。ジャージ姿。
竹刀で床を叩いて。
峰山「て、聞いているのか立花あああ!?」
夏「ちゃんと聞いてますよー。峰山先生が学生のころの話だろ?」
と、教壇手前の席に座って。
峰山「そうだ。先生が学生のころはなー、授業中に弁当を食べるなどもってのほかだったんだ!!」
「第一お前は――」
夏M「あー、早く終わんねぇかなー……」
と、窓の外を見て。
校庭の桜が、ポツリポツリと咲き始めている。
○同・夏のクラス~三年生の教室前の廊下(午後)
15時。授業終了のチャイム。
夏М「よーし、今日も一日がんばった!!」
と、一番後ろ、窓側の席で背伸び。
× × ×
生徒四人が、扉の前で話をしている。
生徒A「今日みんなでカラオケいこうよ?」
生徒B「いいねー。これから受験で忙しくなるから、今の内にいっぱい遊ばなきゃね!?」
生徒C「私『高丘 景』の曲を歌おっかなー?」
生徒D「あーっ、いいよねー? 顔も可愛いいし――」
夏「ごめん、ちょっと通らしてもらっていいかな?」
生徒A「うわっ!! どうぞどうぞ……」
――サササッと、端に避ける四人。
夏、呆れ顔でため息、教室を出る。
生徒Bの声「危なかったー!? 立花さんに近づいて怪我でもしたら、いっぱい遊べなくなっちゃうもんねー?」
生徒A・C・Dの声「ねー」
――廊下を歩く夏。
他のクラスの生徒たちが、端に避ける。
夏、呆れ顔でため息。




