番外編 011
○同・玄関ロビー~外
夏「なんか今日はあっという間だったな……」
と、玄関ロビーを歩きながら。
加奈の父「(後ろから)立花さん!!」
夏「(振り向いて)加奈のおじさん」
加奈の父「看護師さんに聞いたけど、うちの患者さんを助けていただき、ありがとうございました」
夏「いえいえそんな……でも行動して良かったです」
加奈の父「はい。ヒーローは自分の為ではなく、困っている人の為に行動するんですよね!?」
夏「(照れて)ヒーローってそんな大げさな」
加奈の父「外は寒いですから、ロビーで待っていて下さい。後で家まで送ります」
夏「ありがとうございます。でも大丈夫です」
と、自分の胸に手を当てて。
夏「今はすごく温かくて……」
――外を見つめる夏。
玄関から見える三体の雪だるま。
大きな雪だるまの間には、小さな雪だるま。
夏「(微笑んで)だから外でタクシーを待ちます」
――微笑み返す加奈の父。
加奈の父「では、失礼します」
と、会釈して別れる二人。
× × ×
玄関ロビーから外に出る夏。
夏「へーくしょん!!」
――うーっと身震い。
鞄からスマホを取り出して。
夏「あーもしもし鬼島先輩?」
「あ、まだ病院にいます?」
「良かったー!! 今玄関にいましてー、良ければ先輩の超カッコいい車に――」
鬼島「おいわれ、あたしはタクシーか?」
と、すぐ後ろから。
夏「うへ」