第一話 002
○お花見女子高等学校・校庭~夏のクラス~廊下~夏のクラス(五月・朝)
校庭には、桜の花びらが落ちている。
夏、教室の扉を開け、席に座る。
ざわつくみんな。
生徒D「あれ、立花さんだよね……」
生徒E「あー、入学式に鬼島とかいう番長といざこざを起こして、一ヶ月停学してた人でしょ?」
生徒D「なんか空手やってたみたいで、番長をボコボコにしちゃったんだってー」
夏M「(キョロキョロ)きっ、キタキタキター!!」
M「停学処分になったけど、結果的にはみんなのヒーローに!!」
M「いじめられるどころか、一気に学校の人気者に――」
生徒E「ボコボコってヤバくない? 近づかない方がいいよねー?」
夏M「あ、あれ……」
生徒D「うんうん。私たちも何されちゃうか分からないよ?」
夏M「(汗)えっ、何か違うんですけど。私の思っていた展開と何か違うんですけど……」
と、教科書を整えながら。
× × ×
休み時間、廊下を歩く夏。
生徒たち、慌てて端によける。
夏M「こ、これって私……さけられてる? しかも他のクラスの人にまで……」
× × ×
放課後の教室。
生徒F「ねーねー、これから『ノック』寄ってかない?」
生徒G「いいねー!! あそこのクリームあんみつ、チョー美味しいよねー!?」
生徒F「うんうん。私は本日のケーキセットにしよう」
生徒G「(リュックを背負って)じゃあ早く行かないと、ケーキセット売り切れちゃうよー!?」
生徒F「えーっ、ちょっとまってよー」
生徒G「あはははー」
と、出ていく。
ポツンと一人、席に座った夏。
――グッと拳を握る。
○立花家・全景~夏の部屋(夜)
二階建ての一軒家。
駐車場には車が二台。
駐輪スペースには、50ccのバイクと自転車。
――自分の部屋をぐちゃぐちゃにする夏。
夏の母の声「(ドア越しに)どうしたの夏!? 学校でまた何かあったの!?」
夏「(ドアを蹴って)うっせー!! 何でもねーよ!!」
× × ×
夏、頭を抑え、ベッドに座る。
夏「(息を切らして)結局、何も変わらなかった……」
「……もう知らねぇよ」
と、正面を睨みつけて。