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ウチと彼女の約束事  作者: 畦道テツ
番外編 『あれから一年』
198/206

番外編 008

○同・売店~中庭のベンチ

夏「お待たせしてすみません」

   と、売店でカゴを持った孝一に合流。

孝一「いえ、お知り合いにでも会いましたか?」

夏「良くわかりましたね!? 大学の空手道部の先輩に偶然会いまして……」

孝一「すごい偶然ですね?」

夏「まぁ高校時代に色々あったけど、その先輩がいたから今のウチがあるって、少し感謝してます」

孝一「世の中には、目に見えない縁のような何かが、あるのかもしれませんね……」

   と、焼きそばパンを6つカゴに入れながら。


○同・中庭のベンチ

   ベンチの上には屋根があり、ベンチに雪は積もっていない。

   ベンチに座り、お昼ごはんを食べる夏と孝一。

孝一「――冬子は母子家庭だったんです。でも先輩にフラれた後にお母さんを亡くして」

   と、焼きそばパンをかじりながら。

夏「……どうして急にそんな話を?」

   夏、のり弁を食べながら。

孝一「僕は、一人になった彼女がかわいそうで声をかけたのに……更に彼女を傷付けている」

夏「(神妙な面持ちで)……」

孝一「……もうどうしたらいいのか分からないんです!!」

   と、焼きそばパンを詰め込んで。

夏「――焼きそばパン」

孝一「(夏を見て)え?」

夏「好きなんですか? そんなにいっぱい買って」

孝一「はは……同じものがいっぱいあると落ち着くんですよ」

 「たぶん昔から、好き嫌いが激しい大食いだったせいで、偏ったものしか食べてなかったから」

 「……ほんと、悪い癖です」

夏「ウチは一丸に悪い癖だとは思いません」

孝一「え?」

夏「場合によっては、その癖が良い方向に働くこともあると思います」

孝一「(少し照れて)ははは、そうかなぁ……」

   × × ×

男A「おう、厚木じゃん!? 相変わらず『厚着』してるなー?」

孝一「え?」

夏「あーっ!! さっきカツアゲされてたサラリーマン!!」

男A「(汗)カツアゲって……」

孝一「先輩!? どうしてここに!?」

夏「先輩?」

孝一「冬子の元カレです……浮気相手の」

男A「はー? 浮気相手って何の話だよ?」

孝一「僕は見たんです。先輩と冬子が一緒にハンバーガーを食べているところを」

男A「ああ、あの時な。店で冬子を偶然見つけて、声をかけたんだ」

 「じゃあ彼女、お前の子ができたってすっごく喜んでて」

 「俺の今の奥さんも出産予定日が一緒の時期でさ、その話で盛り上がってたんだ」

孝一「……え? 本当に……?」

男A「おう。彼女を幸せにしてやれよ?」

 「お前もこれから父親になるなら、しっかりしろよな?」

   と、親指を立てて。

夏「ありがとうございますカツアゲ兄さん!! その真実が聞きたかったんです!!」

男A「え? よせやい……って、だからカツアゲされてないって!!」

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